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「サウススマトラトリップ⑤」

2009-07-03 更新
海から上がって彼女に近づくと、インドネシア語で「マンディー」と平泳ぎのジェスチャー。
どうやら、「一緒に泳ごう」と言っているらしい。僕も須藤ちゃんも、あっけに取られたけど、なんだか付き合わなければいけない雰囲気だったので、一緒に泳ぐことにした。
それから彼女のニックネームは『マンディー』となった(笑)

彼女の子供ながらに眩しすぎる笑顔は、あと数年経ったら、きっと美人になってここに来るサーファーを魅了にするに違いない...。
横目にポイントを見ていると、良い波がブレイクしているが、僕らが泳いでいる間にソヨソヨとサイドから風が吹き始めてきてしまった。
しかし、クルイレフトのほうに目を向けると、この風をオフショアで交わしている。マンディーは残念そうだったけど、須藤ちゃんに促して早々にレフトに移動することにした。

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レフトはピークからボウル状に巻いてくる感じだが、ライディングの距離は短い。僕の場合はバックサイドで二回のトップターンでプルアウト。きっと、サイズが上がれば、もっとロングライド可能になるに違いない。
クルイライトと違ってブレイクが速くないので、凄く良い練習になった。レフトのポイントでも2時間ほどサーフして肩が上がらなくなった...。

海から上がり、しばらくの時間マンディーの家の前で休憩させてもらった。明日の午前中にはジャカルタに向けて出発だから、これがクルイでの最後のセッションだった。
当然、マンディーファミリーにも別れを言わなければならなかった。僅かなお金を渡してバイクを止めさせてもらっていただけなのに、なんだかとても後ろ髪を引かれる思いがした。
言葉はあまり通じないけど、沢山話して笑った3日間。サーフィンという遊びを通して旅に出てこそ起きる『一期一会』は本当に素晴らしい。
別れ際は少し寂しげだったファミリーに精一杯の笑顔で答え、僕らは宿に向かった...。

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宿ではサーフポイントに沈むサンセットを見ながら、他のゲスト達とビンタンタイム。近くにいたライアンたちが、今日の夕方の感じだと「明日のカランニンボールはきっといいよ!」と勧めてくれた。
波を見ていると確かに良い波がブレイクしている。最後の晩なので、この日はライアン達と23時くらいまでビンタンを飲んだ。

最終日の朝は6時に起床。すぐに目の前のカランニンボールにパドルアウトした。
波はオーバーヘッド、ラインナップまでは遠く、10分くらい掛かる。9時には出発だから、サーフィン出来るのは、1時間強しかない...。
ピークには僕以外に一人しかいないので、乗れそうな波にはすべてトライした。1本目と2本目はテイクオフしてボトムに降りたら前がクローズしてしまった。3本目の波はタイミングが合い、オーバーヘッドで300mくらいの超が付くロングライド!!プルアウトした瞬間に幸福感がギューっとこみ上げて来た。

すぐにラインナップに戻り、同じような波にもう2本乗ったところで、時間が来てしまった。ビーチに上がると、僕らを岸から見ていたライアンや同じ宿のオージーたちが「良かったな!」と肩をたたいてくれた。
シャワーを浴び、着替えてパッキングに取り掛かり帰る支度をしていると、順番を待っていたかのように僕らに別れを告げたライアン達がパドルアウトしていった...。

出発の時間が来た。エアコンの無い車に約5時間乗り、国内線に乗り継ぎ、ジャカルタに1泊、翌朝ジャカルタから更に2回も乗り継いでの帰路。
だけど、オジサン2人は全く疲れを見せず、まるで夏休みを満喫した小学生のような笑顔で成田に降り立った...。

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今回でサウススマトラの話は終了ですが、次回はハルさんの旅に関する注意点や、楽しむコツなどをお伝えします!

★BCMワンポイントアドバイス★
今回のコラムでハルさんが良く使っていた「ビンタンタイム」 インドネシアにトリップ経験のある方ならお分かりでしょうが、未経験の方に簡単に説明します。

まず、「ビンタン」とはインドシア産のビールで、最もポピュラー。軽い喉越しで飲みやすく、ビール好きのインドネシアトリップには絶対に欠かせません。
つまり「ビンタンタイム」とはビンタンを楽しむ時間。主にサーファーが使うスラングのような言葉なので、サーファー以外の人(特にインドネシア人以外)には通用しないと考えた方が良いでしょう。

ちなみに日本人同士のビンタンタイムには限度がありますが、欧米人が混じると限度が無くなることが多々あるので、十分に注意しましょう。
「旅の恥は掻き捨て」にならず、マナーを守って「ビンタン」を味わうこともお忘れなく!