コラム・特集企画
新たなる潮流①

~ASPワールド・ツアーが変わる!~

すでにご存知の方も多いと思うが、世界最高峰のサーフィンコンペティションを運営する「ASPインターナショナル」は、2010年シーズンから、「ワンランキング・システム」を正式に採用することを昨年の秋に発表している。

このリニューアルに伴う主な変更点を概して言うと、今後はWCTツアーとWQSツアーでランキング順位を分けず、単一のツアーランキングのシステムへ戻すことだ。

さらにWCTツアーに参加できる人数が、シーズン途中から現在の「45名+3名のワイルドカード」の方式から、「32名と4名のワイルドカード」へと、変更される。

(何故シーズンの途中かと言うと、昨シーズンにクオリファイを果たした45人全員にチャンスを与えるため)

こうして今後は「世界で誰が何位なのか」だけをシンプルに競うことになり、すべての選手は世界ランキングのTOP32を目指すことになる。

これまではWQSの最終ランキング上位15番までに入ればWCTツアーに上がることができたが、今後は世界でトップの32位に入る事が必要となる。
このトップ32に入るということは、簡単に言い換えるなら、WCTのTOP32に入るイメージと言えるだろう。

実際のところ、「WCT入りを目指す日本人選手にとってはさらに狭き門となったのでは?」という懸念の声もある。しかし、これが本当に日本人コンペティターにとって不利なことと言えるだろうか?

昨年の4月、マー(大野選手)はポルトガルでのWQS6スター「エストリル・クイックシルバープロ」で日本人初の2位入賞という快挙を果たしている。

photo: ASP Covered Images

自らの記録を塗り替え、6スターのファイナルを堂々と戦うマーの勢いには日本中が歓喜した。

シーズン後半のハワイ戦を終えた時点でマーの最終レイティングは53位であったものの、大野選手の様に、これまでには考えられなかった快挙を果たす日本人選手が現れてきたのも事実だ。

ツアーフォーマットが変更されたとはいえ、厳しい世界であること、チャンスはどの選手にとっても平等であることに変わりはない。

さらに、これまでWCTを回っていた選手が、より多くWQSのハイグレードなコンテストを狙って参戦することも増えることが予想される。
したがって、もし今後も6スター級のWQSが日本で開催されるならば、より多くのWCT選手達の顔ぶれを目の当たりにする可能性も高い。

私たちは無意識のうちに、「日本人初のWCT入り」という瞬間を待ち望んでいたかもしれない。

しかしどうにかWCT入りを果たす目標が、夢達成のゴールにすり変わってしまっていないだろうか?

「世界と互角に戦い、外国人TOPサーファーに勝利する日本人の姿を見たい」、そう願う素直な気持ちは忘れたくないものだ。

なお、2010年ASPメンズ世界ツアーの日程予定は、以下の通り。
※各大会名称は非公式名

●第1戦『Quiksilver Pro Gold Coast』
February 27 - March 10, 2010
●第2戦『Rip Curl Pro Bells Beach』
March 30 - April 10, 2010
●第3戦『Hang Loose Santa Catarina Pro』
April 21 - April 30, 2010
●第4戦『Billabong Pro Jeffreys Bay』
July 15 - 25, 2010
●第5戦『Billabong Pro Teahupoo』
August 23 - September 3, 2010
●第6戦『Hurley Pro Trestles』
September 12 - 21, 2010
●第7戦『Quiksilver Pro France』
September 25 - October 5, 2010
●第8戦『Rip Curl Pro Portugal』
October 7 - 18, 2010
●第9戦『Rip Curl Pro Search』
October 30 - November 10, 2010
●第10戦『Billabong Pipe Masters』
December 8 - 20, 2010

※詳細は下記サイトでも紹介されています。(PC用)

http://www.aspworldtour.com/
http://www.aspjapantour.com/


photo: ASP Covered Images


このコーナーでは、サーフボード・ウェットスーツなどの最新マテリアルや、ボード形状の進化、さらにはサーフィンミュージックやムービーシーンなどのカルチャーまで、サーフィン業界の最新動向をコラムで紹介していきます。

乞うご期待下さい!


[*]コラム・特集企画TOP