『Billabong Pipe Masters』メインラウンド初日はジョン・ジョンが優勢!
2017-12-12 更新
最終戦までタイトルレースがもつれ込んだ2017年のワールドツアー。
決着の舞台はベストシーズンの冬のハワイ、オアフ島・ノースショア。
現地時間12月11日、『Billabong Pipe Masters』がスタートしました!
3日前に行われたワイルドカードの2枠を決めるトライアルは元CT選手のダスティ・ペイン、QSハワイ・タヒチのリージョナルのチャンピオン、ベンジ・ブランドの新旧ハワイアンが獲得。
メインラウンドの注目はタイトル争いですが、まずシチュエーションを簡単に説明しておくと、チャンスがあるのはランキング上位4名、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真最上部)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)
その中でも有利なのはジョン・ジョン、ガブリエル。
実質はこの二人に絞られており、ジョーディ、ジュリアンは僅かに可能性が残されているだけ。
もし、ジョン・ジョンが優勝すれば他の選手の結果に関わらずタイトルが決定。
もし、ガブリエルが優勝した場合、ジョン・ジョンが3位以下であればガブリエルがタイトルを獲得。
もし、ジョン・ジョンが9位以下の場合、ガブリエルは2位、ジョーディは優勝でタイトル獲得。
もし、ジョン・ジョンが13位、25位の場合、ガブリエルは5位、ジョーディは2位、ジュリアンは優勝すればタイトルを獲得。
この中で『Billabong Pipe Masters』の優勝経験があるのはジュリアンのみ。
ジョーディはQF以上をメイクした経験がありません。
ホノルルマラソンの翌日、北〜北西ウネリが落ち着いたノースショアの月曜日の朝は無風でクリーンなフェイスの公式8-10ftレンジ。
パイプライン、バックドアの両サイドにバレルあり。
しかし、日中はコナウィンドが吹き込み、バレルも潰してしまい厳しくなったため、R1の3ヒートを残し、H9まででこの日は終了。
ジョン・ジョン、ジョーディが余裕でラウンドアップを決めた一方、ガブリエルはクロスゲームの末に敗退。
ジュリアンは8.00を出しながらもインターフェアを犯してしまい、ガブリエルと共に敗者復活戦のR2行きに...。
トライアルを勝ち上がったダスティ、ウィゴリー・ダンタス(BRA)が苦戦する中、バックドアのバレルを何度もメイクしたジョン・ジョン。
勝利後のインタビューでは、「朝から子供の頃に戻ったように興奮していたよ。このパイプが貸切りだからね、沢山の波の乗ろうと思っていた。貸切りの時はバレルになるか微妙な波にも手を出すのが好きなのさ。色々なピークや角度から入る波を試すのは楽しいし、面白いよ。そのランダムな波の中に最高の一本が隠れていることもあるんだ」とコメント。
昨年獲得した初のワールドタイトルは最終戦の前、ポルトガルで確定。
今年は自宅の目の前、まさにホームグラウンドでタイトルを決めるチャンスがあり、プレッシャーよりもそれを楽しんでいる様子。
「GO John John」と書かれたジョン・ジョンのタイトル獲得を応援する赤いキャップやフラッグも制作され、ビーチの雰囲気もジョン・ジョンに傾いているようです。
「ここでのサポートは更にやる気を起こしてくれる。ビーチを歩くと皆が応援してくれるんだ。それだけで興奮しちゃうよ。昨年はタイトルが決まってからパイプに来たからリラックスしていたけど、今年は全く違うね。準備もしていたし、自信があるよ」
ジョン・ジョンの前のヒートで戦っていたガブリエルは、親友のミゲル・プーポ(BRA・写真上)、ジョン・ジョンの親友ベンジと対戦。
三名のグーフィーフッターが揃ったこのヒートはバックドアよりも彼らにとってフロントサイドになるパイプラインがメインとなり、まずはベンジがリード。
割れんばかりの歓声が鳴り止んだ頃、ミゲルがこの日一番のバレル、クローズする前に姿を見せてパーフェクトに近い9.93をマーク。
一方のガブリエルも際どいポジションからのテイクオフ、ポテンシャルが無い波でもスコアを出す妙技を披露して8.50。
両者共にこのスコアをベースにトップのベンジを追い上げ、最後にミゲルが逆転に成功。
「リクオリファイのプレッシャーは凄いよ。でも、自分には家族がいるし、娘を見ているとそのプレッシャーが無くなるんだ。彼女や妻がハワイで幸せに過ごせるかだけを考えている。ヒートではプレッシャーよりもベストを尽くすことを考えていた。ギャビー(ガブリエル)にはタイトルを獲ってもらいたいし、自分は来年のために仕事をしなければいけない。相手が誰でも一緒だった。最初のラウンドは通過したけど、まだ多くのステップが残っている」
現在ランキング23位のミゲル、リクオリファイ圏内の22位を得るためにまだ勝ち星を重ねたいところ。
最終戦にはタイトル争いの他に来年のツアー生き残りをかけての戦いもあり、いくつもの感情が交錯しています。
今シーズン「J-bay」戦の最中のフリーサーフィンで右足の中指と薬指を骨折する大怪我を負い、それ以降全てのイベントを欠場していたケリー・スレーター(USA・写真上)が久々に登場。
コロヘ・アンディーノ(USA)、ルーキーのジョアン・ドゥルー(FRA)とのカードで、まずは感触を確かめるようにバックドアにトライしていたケリー。
すぐにパイプラインでクリーンなバレル、7.17をマークして主導権を握ると後半にはバックドアでビハインドピークからのバレルメイク。
バックアップスコアを重ねて復帰後初ヒートを勝利。
「足は65%まで回復したけど、今度は一週間前に風邪をひいてしまい、出場するか直前まで悩んだんだ。今年はコンテストに出場出来なかったけど、今まで長い間、ノンストップでやり続けてきたから数ヶ月の休みは逆に良かったね。9月、10月に海に復帰した時もまだ痛みは残っていた。それから数回しかサーフィンはしていない。だから、この大好きな場所に戻れただけで感謝しているよ」
『Billabong Pipe Masters』では1992年の初優勝以来、7度の最多優勝記録を持っているケリー。
今年はプレッシャーが一切ないだけに他の選手にとって非常に怖い存在だと言えるでしょう。
その他にR1を1位通過したのは、ジェレミー・フローレス(FRA)、ジョシュ・カー(AUS)、コナー・コフィン(USA)、カイオ・イベリ(BRA)、エゼキエル・ラウ(HAW)
昨年ファイナルに残る大活躍をした五十嵐・カノアは敗者復活戦のR2行き。
ネクストコールは現地時間12月12日の早朝7時30分(日本時間の13日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると午後は新しい北西ウネリが入る予想ですが、日中はオンショアとなる北〜北西風が吹く見込み。
なお、今年も脇田貴之をメインMCにした日本語放送が配信されています。
トライアルの日は大原洋人がゲストに来ていましたが、メインラウンド初日は世界の舞台で活躍してパイプラインでも実績があるボディーボーダーの鈴木彩加が参加。
日本語放送はライブ中継で「Japanese」を選択すると楽しめます。
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