「サウススマトラトリップ③」
2009-06-16 更新
メキシコの『プエルト・エスコンディード』のような前回のポイントからバイクでさらに北上し、宿から40分ほど走った「クルイ」という町に着いた。町の人にハンドジェスチャーで「サーフィン?」と聞いてみる。あっちだと指す方向へバイクを走らせると、途中で5歳くらいの子供がバイクと並走してきた。
笑いながら、ず~っと僕達の横を汗びっしょりにしてポイントまで案内してくれたのだ。
案内されたポイントに着いて波を見た瞬間、僕達は暑さとその子供の存在を忘れた...。
それほどのスーパーファンブレイクを目にしてしまったからだ。
肩くらいのサイズだが、面ツル、ノーラインナップ、そして口をポッカリと開けたチューブ!!
まさに三拍子揃ったライトハンダーがあり、さらに海に向かって左側を見ると500mほど離れた所にも、レフトのポイントブレイクが確認できる。
子供にお礼を言って、ブレイクの前に建っている家の人に声をかけてバイクを停めさせてもらった。その家はとても裕福とは言えない家だけど、ニコニコと笑顔の素敵な親子が出迎えてくれた。
僅かなお金を渡し、バイクや持ち物を預かってもらい、早速着替えることに。
インドネシアの紫外線は強烈なので、日焼け止めを塗り忘れると大変なことになる。
たっぷりと日焼け止めを塗りこみ、帽子にサーフィン用のサングラスまでかけてパドルアウトした。
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波はピークがシフトしてブレイクも速いため、あまりリップアクションをかけている暇がない。
しかし、タイミングが合えばチューブに入れるファンブレイク!
しかも、3時間くらい入っていても誰も来ない。「バグース(最高!)」と叫びながら、須藤ちゃんと僕は嫌というほど沢山の波にテイクオフした(ブレイクする場所は水深が腰程度しかなかったが...。)
海から上がると、バイクを停めさせてもらっていた家の親子が、興奮した僕らがあちこちに脱ぎっぱなしにしていたTシャツやボードケースをキレイに畳んでおいてくれた。
子供は15歳の女の子で、とてもカワイイ。日本語はもちろん、英語も喋らないので、インドネシア語オンリー。何を言っているのかさっぱり分からないけど、とても癒される。
僕らは「明日また来るね!」と告げ、バイクを宿に向けて出発させた。
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宿に着くとニュージーランド人のスティーブ達が酒盛りを始めていた。明日、バリ経由でNZに帰るから、パーティをしようというのだ。
ジュースのようなインドネシアワイン&ビンタンビールを浴びるほど飲み、踊って騒いで夜は更けていった...。
翌朝、宿の前の波をチェックしていると、額をパックリと切った同じ宿のシェーンが帰ってきた。その場でガールフレンドに4針縫ってもらっていた。
しばらくすると、ライアンも背中をパックリと切って上がってきた。ロータイドで浅いらしい...。
僕らは昨日に引き続きバイクを借りて、「クルイ」のポイントに繰り出した。サイズは昨日より小さく胸くらいだが、ライトは今日も誰もいない。
昨日の親子の家にバイクを停めると、「どっちも結婚しているのか?」「ベイビーはいるのか?」との質問攻め(笑)に!
「僕はいるけど須藤ちゃんはいないよ!」とジェスチャーで伝えると、「娘をどうだ?」と母の攻撃。
本人はニコニコと笑っている。「15歳は子供だよ!」というと少し真面目な顔で「ノー!」と言う。
僕も須藤ちゃんも笑ってその場をなんとかしのぎ、イソイソとパドルアウトした...。
今日の波はサイズが小さく、満足がいかなかった。1時間ほどで切り上げ、バイクに乗って違うポイントをチェックしに北上した。
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サウススマトラは波の宝庫。
次回のOne Earthでは、
どんな波がハルさん達を待ち受けているのでしょうか?
★BCMワンポイントアドバイス★
世界共通の波のサイズ表現と言えば、「~ft(フィート)」が一般的ですが、国やサーファーのレベルによって同じ1ftでも全く違うことが多々あります。
基本的なフェイススケールだと、陸から見てボトムからトップまでのサイズなので、「1ft=約30cm」はヒザ前後。
これが波の沖側から見たサイズで判断するハワイアンスケールに変わると倍くらいは大きくなります。そもそも体格が大きい欧米人は基準さえも違うので、そのまま鵜呑みにすることは止めた方が良いでしょう。