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『Freshwater Pro』ファイナルデイ!今年のサーフランチを制したのは?

2019-09-22 更新
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PHOTO: © WSL/Cestari

現地時間9月21日、3日間に渡って行われたケリーのウェーブプール「サーフランチ」を舞台としたCT第8戦(ウィメンズ第7戦)『Freshwater Pro』が終了。

第一回目となった昨年の『Surf Ranch Pro』から今年は名称を変更。
’Freshwater’とは直訳すると淡水の意味ですが、WSLが力を入れている環境問題にも関係あるのかもしれません。

ライブ中継の間に流れるスポンサーの「Outerknown」のCMも環境に優しいデニムの開発の成功(Outerknownの設立当初、環境問題をクリア出来ない限り、デニムは発売しないと公言していた)をアピールするようにオーナーのケリーが自らそのデニムを着用してフィジーのバレルに入るインパクトある映像を流していました。

ケリーに関しては、予選ラウンドで敗退したものの、宮崎のISAで話題になったツインフィンを利用して同じ自らがオーナーの「スレーターデザイン・サーフボード」の興味を惹かせるなどビジネス的には大成功だったと言えます。

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PHOTO: © WSL/Cestari

3日間の内、一般の観客が入ったのは2日目とファイナルデイのみ。
最も安いファイナルデイの1デイパスで55ドル。
2デイパスになると料金が跳ね上がるため、ファイナルデイは観客の数が一気に増加。
2日目には静かだった歓声もファイナルデイは大きく聞こえるようになり、コンテストも盛り上がっていました。

また、ファイナルデイはWSLの新しい試みとしてライブ中継を見ているファンがジャッジ出来る「LIVE FUN SCORING」というシステムを公開。
実際に試してみた感想をお伝えするとジャッジをするのは難しいと同時に他のファンの平均スコアが出るなど工夫されているので、面白い。
もし、機会があったら試してみてください。

今年もブラジリアンツートップが優勝を争う

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PHOTO: © WSL/Vankirk

昨年の第一回目でも圧倒的なパフォーマンスで優勝を争っていたブラジリアンツートップのガブリエル・メディナ&フィリッペ・トレド。

今年も予選ラウンドからこの二人のみ9ポイント台をスコアして同じような展開。ファイナルデイもその本命同士の争いとなり、ファイナルラウンドでも1回目のランでガブリエルが9.93、フィリッペが9.63。共にフロントサイドで9ポイント台を出していました。

ガブリエルがトップでフィリッペは8名から4名に絞られた後の最後の3回目のランでベストスコアを更新するチャンスが与えられましたが、スコアを伸ばすことは出来ず、ガブリエルの2年連続優勝が決定。
ガブリエルはブラジル国旗を首に巻いて優勝が決まった後のウィニングランを楽しんでいました。

「長い3日間だったけど、世界最高のサーファーに勝てて本当に嬉しいよ。ファイナルの最初の2本の波は凄い良い感じに乗れたんだ。ジュリアン、フィリッペ、オーウェン、グリフィン、彼らも素晴らしいサーフィンをしていたよね。シーズンの最後まで良い結果を残せるように願っている。ここでのパフォーマンスには本当に満足さ。凄い重要なポイントを獲得したしね」

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今年も圧倒的に強かったガブリエル
PHOTO: © WSL/Vankirk

ファイナルラウンドでは完璧なバレルライドに加え、フロントサイドでは高さのあるアーリーウープをメイクしてパーフェクトに近い9.93をマークしたガブリエル。
波がパーフェクトだけに簡単なのでは?と思えてしまいますが、バレルとエアリアルをセットで完璧に決めていた選手は極僅か。
波が良いだけに完璧な演技をしなければいけないというプレッシャーは相当なものだと予想されます。
更にガブリエルの場合はバックハンドも安定してハイスコアを出していたのが重要な鍵だったと言えます。

「J-bay」で優勝、タヒチで2位と2度目のワールドタイトルを獲得した昨年同様に後半に猛烈な追い上げを見せているガブリエルは今回の優勝で4位から一気にカレントリーダーの座を手に入れ、得意のヨーロッパレッグ、最終戦のハワイに向かいます。



最後に盛り上げたフィリッペだが...

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不安が残る敗退ながらバレルでピースのフィリッペ
PHOTO: © WSL/Cestari

ファイナルラウンドの最後のランで僅かながら逆転のチャンスがあったフィリッペ。
しかし、宮崎県木崎浜での『ISA World Surfing Games』で痛めた腰が再発したのか、すでに本気で戦う意思はなく、レフトの波ではスイッチスタンスからのバレルイン。メイクは出来ず...。
ライトの波では流すようなターンからバレルイン、完璧にサーフボードの上に座ってしまう遊びのサーフィンに転換していました。

「ファイナルの前に自分がスクリーンに表示された時、かなり緊張したと同時にモチベーションにもなった。観客がエネルギーを与えてくれたお陰で最後まで波に乗れたし、痛みを軽減するためにケアしてくれたWSLのスタッフにも感謝しなければいけない。ガブリエルやレイキー、ジョアンの素晴らしいパフォーマンスに興奮しているよ。イベント全体を見ると最初の波はみんなが予想していたよりも強気だったね。今は少しリラックスしたい。次はポルトガルのエリセイラでのQSに出場する計画だったけど、痛みの状態から判断すると無理だね。コンテストジャージは着ていたいけど、今やるべきことは次のCTの舞台であるフランスに向かい、医者と治療に専念すること。最後の3つのコンテストでタイトル獲得を狙うよ」

フィリッペの腰の状態がどれほど悪いのかは公表されていないものの、ヨーロッパレッグまでの期間は短く、タイトルレースにも影響を与えてしまいそう。
ガブリエルとフィリッペのポイント差は僅か295。3位のジョーディ・スミス(ZAF)とも差は少なく、タイトル争いはこの3名に絞られてくるのでは?

ウィメンズはレイキーが今シーズン2勝目!

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PHOTO: © WSL/Miers

ウィメンズは予選ラウンドからディフェンディングチャンピオンのカリッサ・ムーア(HAW)、ジョアン・ディファイ(FRA)、キャロライン・マークス(USA)、レイキー・ピーターソン(USA)がファイナルラウンドへ。
前日の時点ではコートニー・コンローグ(USA)がベスト4入りしていたものの、ボーナスラウンドでレイキーが逆転。

ファイナルラウンドはジョアンがライトの波で9.00をスコアしてリードしていたものの、最後のランでレイキーが両サイドのハイスコアを更新。
レフトの波ではビッグターンの連発で8.70。ライトの波ではターンとバレルのコンビネーション、最後にはエアーリバースまでメイクして9.33をスコア。
見事な逆転劇を演じてマーガレットリバーに続き、シーズン2勝目を決めました。

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最後のランでエアーリバースをメイクしたレイキー
PHOTO: © WSL/Vankirk

「信じられないわ。神が私を助け、全てを出し切れたのだと感じている。全てが上手くいった最高の日よ。この優勝は’気候変動啓発マーチ’(9月23日に行われる国際気候サミットに先駆け、9月20日に全世界150カ国以上で開催された気候非常事態宣言の発令を求めるために開催されるデモ行進)に参加した全ての人に捧げるわ。最後のランは本当にタイミングが良かった。今年は様々なことにより感情の起伏が激しい。当然、この優勝はワールドタイトル獲得に大きな一勝よ。カリッサ、キャロラインとのオリンピックの代表争いにもね。大きな一歩になったわ。本当に嬉しい」

CT通算5度目の優勝を上げたレイキーはランキングでも4位から2位に浮上。
カレントリーダーの座は今回3位に入ったカリッサ・ムーア(HAW)が保持。その差は3,410ポイント。
今シーズン、ここまで全てQF以上をメイクしているカリッサが有利ですが、タイトルの行方はまだまだ分かりません。



2020年東京オリンピック選手選考



2020年東京オリンピック選手選考の優先順位1番目である2019年のCTランキング。
メンズは10名、ウィンメンズ8名。それぞれ各国最大2名に枠が与えられます。

『Freshwater Pro』終了後のランキングを見るとブラジル代表はガブリエル、フィリッペが濃厚。
アメリカ代表はまずコロへが1番の候補。次点はジョン・ジョン、ケリー、セスの3名による争いで、ジョン・ジョンは最終戦のハワイに戻る可能性もあるので、その前にケリーとセスはポイントを稼いでおきたいところ。

オーストラリア代表はオーウェンとジュリアン。単独のジョーディとカノアはこのままいけば枠を獲得出来そうです。

ウイメンズはアメリカ代表がカリッサ、レイキー。オーストラリア代表がステファニーとサリー。
単独ではタティアナ、ジョアン、ブリッサですが、この3名はランキング8位以内に入れるかがポイントでしょう。

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ジュリアン・ウィルソン
PHOTO: © WSL/Cestari

さあ、長いツアーもそろそろ大詰め。
最終戦のハワイの前の大事なヨーロッパレッグの2イベントが10月に開催。
まずはフランスのホセゴーを舞台とした『Quiksilver Pro France』&『Roxy Pro France』が10月3日〜13日に行われます。

CT第8戦『Freshwater Pro』結果
1位 ガブリエル・メディナ(BRA)
2位 フィリッペ・トレド(BRA)
3位 グリフィン・コラピント(USA)、オーウェン・ライト(AUS)
5位 ジュリアン・ウィルソン(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)

ウィメンズCT第7戦『Freshwater Pro』結果
1位 レイキー・ピーターソン(USA)
2位 ジョアン・ディファイ(FRA)
3位 カリッサ・ムーア(HAW)、キャロライン・マークス(USA)
5位 コートニー・コンローグ(USA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、ステファニー・ギルモア(AUS)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)

2019 Men’s Championship Tour
『Freshwater Pro』終了後のランキング
1位 ガブリエル・メディナ(BRA) 44,695pt
2位 フィリッペ・トレド(BRA) 44,400pt
3位 ジョーディ・スミス(ZAF) 40,195pt
4位 コロへ・アンディーノ(USA) 36,505pt
5位 イタロ・フェレイラ(BRA) 34,600pt

2019 Women’s Championship Tour
『Freshwater Pro』終了後のランキング
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 47,260pt
2位 レイキー・ピーターソン(USA) 43,850pt
3位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 42,070pt
4位 ステファニー・ギルモア(AUS) 39,810pt
5位 キャロライン・マークス(USA) 38,220pt

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