2019年JPSAショートボードのグランドチャンピオンを獲得したのは?
2019-10-30 更新
バリ島の開幕戦から始まり、全7戦で争われた2019年のJPSAショートボードシリーズ。
最終戦の『Trident Seafoods Chiba Ichinomiya Pro』が2020年東京オリンピックの会場でもある千葉の志田下で開催され、10月27日に終了。
僅差だったタイトルレースも決着がつきました。
男子は河谷佐助が初のグランドチャンピオン!
期間中は台風21号と西から接近して通過した低気圧の影響などで大きなウネリが入り、特に25日は記録的な大雨でコンテストを開催出来る状況ではなく、台風と低気圧が離れた26日も一般サーファーにはクローズアウトのようなコンディション。
少し落ち着いた最終日も難しい波での戦いを強いられ、僅差のヒートが目立っていました。
今シーズン、前半にコンスタントな結果を重ねて2年連続でタイトルレースに加わっていた河谷佐助。
中盤からは失速して一時3位まで転落、最終戦は種子島での第5戦で優勝した西修司がトップ、2位に佐藤魁、3位に河谷佐助。1位と3位のポイント差は330という緊迫したレースに。
QFで西修司、佐藤魁が敗退した一方、河谷佐助がこのラウンドを勝ち上がり、SF進出。
大橋海人、西優司、高橋健人と強豪揃いのSFを2位通過でファイナルに進み、この時点で河谷佐助の初のグランドチャンピオンが確定しました。
「もう最高です。父と最後は俺が担ぎに行くからと約束していて、大阪から昨日飛行機で来ていました。それが実現出来たのは何よりも嬉しいです。何回も言うようですが、自分は大阪からのチャンピオンが欲しくて、絶対チャンピオンになると小さな頃から決めていました。免許がない時は親に車でサーフィンに連れて行ってもらっていたので、土日しか出来なかったですが、大阪からでも出来るというのを子供達とか磯ノ浦のみんなに分かって欲しくて絶対JPSAでチャンピオンを獲るというのを自分の中で決めていました。それがやっと実行出来て良かったです。ありがとうございます」
大阪出身らしくフットワークは軽く、ホームブレイクは「波のある所」という23歳の河谷佐助。
昨年は種子島でJPSA初優勝を成し遂げ、2年目にしてグランドチャンピオンを獲得。
「大阪魂」と掲げていた河谷佐助の夢が叶った瞬間。
感極まり、涙ぐむ場面もありました。
仲村拓久未が4年ぶりの優勝
コンテストの方は同じ関西の仲村拓久未と河谷佐助がワンツーフィニッシュ。
2015年のJPSAグランドチャンピオンでもある仲村拓久未は実に4年ぶりの優勝。
久々のビーチ凱旋を楽しんでいました。
「嬉しいです。ほんま、長かったですね。一つ一つ集中して今回は最終戦だったので、ずっと100%の力を出せるように毎ヒートを集中してやっていました。一年間のモチベーションについては、JPSAに戻って再びグランドチャンピオンを目指し、本当は来年QSをフォローしようと思ってやっていました。上手く結果を残せませんでしたが、ここで優勝したのでまた来年頑張ります」
ちなみにグランドチャンピオンを獲得した河谷佐助を始め、ランキング2位の佐藤魁、3位の西修司、今回の優勝で4位まで浮上した仲村拓久未の4名は全て1996年生まれ。
トップ10を見てもベテランは田中英義、辻裕次郎だけで昨年よりも世代交代が進んだシーズンでした。
女子は須田那月が初のグランドチャンピオン!
男子よりも若い選手が活躍した女子の2019年JPSAショートボードシリーズ。
特に2018年にプロ合格したばかりの都築虹帆は開幕戦から4戦続けてファイナル進出、一時は2位以下に1000ポイント以上の差をつけて独走していました。
第2戦で優勝した川瀬心那、第4戦で優勝した渡辺愛、第6戦で優勝した野中美波も然り。
最終戦前のランキングでは都築虹帆がトップ、宮坂麻衣子が2位、3位に須田那月、4位に庵原美穂。
都築虹帆はカリフォルニア・ハンティントンビーチでの『2019 VISSLA ISA World Junior Surfing Championship』出場のために欠場。トップ不在のタイトルレースとなり、庵原美穂がR3、宮坂麻衣子がSFで敗退。
優勝か2位がタイトル獲得の条件だった須田那月が見事にクリアして種子島初のJPSAグランドチャンピオンが誕生しました。
「実は3月にお祖父ちゃんが亡くなりました。いつも試合の時に車を貸してくれ、そのおかげで種子島から出て試合を回ることが出来たのです。そのお祖父ちゃんが亡くなったのを海外にいる時に聞いてから、今シーズンは勝たないといけないなという使命感がありました。本当にお祖父ちゃんのおかげでここまで来れたし、この姿を天で見てくれていると思います」
女子優勝は川合美乃里
JPSAでは13歳の時に最年少プロとなり、2015年にランキング2位、2016年にグランドチャンピオンを獲得。
WSLでは2017年にQS3,000『Ichinomiya Chiba Open』で優勝、ランキング21位と日本の女子では無敵感があった川合美乃里でしたが、2018年、2019年は更に若い年齢の選手が台頭してきたこともあり、勝利から遠ざかっていました。
しかし、サーフィンの技術では日本トップレベルであることを証明するように今回の志田下ではパワフルなライディングを披露してファイナルでは圧勝。
次はオーストラリアで開催されるウィメンズQSの最終戦に出場する予定です。
「JPSAは去年の種子島が最後で1年ぶりの参戦でしたが、最後いつも練習している志田下で優勝出来て、地元のみんなも応援に来てくれて本当に嬉しかったです。今年はQSも含めて良い成績を残せていませんでした。2本まとめることが中々出来なかったのです。今回のJPSAでは一杯良い波に乗り、ファイナルもそれが良い結果に結び付いたのだと思いました。今年は台風が凄くて、2日前も予想以上の雨でした。水のスポーツをしているので、あまり良いとは思われないのかもしれませんが、自分が優勝出来ることで皆様に元気を与えられたら嬉しいなと思っています」
なお、コンディション不良のために延期となっていたロングボード最終戦『ALL JAPAN クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ』はこのイベント終了後の10月28日〜29日に同会場で開催。
男子は7月の福島で井上鷹が早々とタイトルを獲得していましたが、女子は吉川広夏、小髙恵子、小山みなみ、菅谷裕美によるレースが最終戦までもつれ込んでいます。
JPSAショートボードシリーズ最終戦
『Trident Seafoods Chiba Ichinomiya Pro』結果
1位 仲村拓久未
2位 河谷佐助
3位 河村海沙
4位 大橋海人
女子
1位 川合美乃里
2位 須田那月
3位 大村奈央
4位 川瀬心那
2019年JPSAショートボード最終ランキング トップ5
1位 河谷佐助 8,570pt
2位 佐藤魁 8,140pt
3位 西修司 8,080pt
4位 仲村拓久未 6,990pt
5位 田中英義 6,820pt
女子
1位 須田那月 9,200pt
2位 都築虹帆 9,180pt
3位 宮坂麻衣子 8,970pt
4位 庵原美穂 8,400pt
5位 渡辺愛 8,050pt
2019年ルーキー・オブ・ザ・イヤー
加藤翔平
都築虹帆
JPSA公式サイト
photo: 日本プロサーフィン連盟(JPSA)
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