アメリカが金メダル!日本は銅メダルを獲得!『2019 VISSLA ISA World Junior Surfing Championship』最終日
2019-11-04 更新
カリフォルニアを象徴する長いピアがトレードマーク、サーフィンカルチャーが根付き、サーフショップや宿泊施設などが立ち並び、長い歴史を誇る『Vans US Open of Surfing』での開催地でもあるハンティントンビーチ。
初代チャンピオンは1980年のトム・カレン。ガブリエル・メディナ、ステファニー・ギルモアなどCTの歴代チャンピオンもタイトルを獲得しているISAワールドジュニアが2年連続でこの地で開催され、現地時間11月4日に最終日を迎えました。
2024年パリオリンピックの選手候補が多数参加した『2019 VISSLA ISA World Junior Surfing Championship』
8日間に渡る長い戦いの最終日はコシ〜ハラサイズの南ウネリで朝は風が弱く、日中は北西風の影響が入っていました。
今イベントは44カ国343名が集まり、18歳以下、16歳以下のボーイズ&ガールズ、4クラスに分かれ、それぞれ最大3名まで出場可能。
最大12名のフル出場で合計ポイントによる団体メダルを狙う国の他、サモアのように僅か1名で参加する国もあり、「勝つことではなく、参加することに意義がある」というオリンピックの精神に則っています。
前日の時点で国別団体では1位アメリカ、2位日本、3位ハワイの順。
日本は3名がメインラウンド、3名がリパチャージに残り、最終日で逆転のチャンスも十分に残されていました。
日本代表’波乗りジャパン’
PHOTO: ISA / Sean Evans
昨年、団体金メダルを獲得していた日本代表「波乗りジャパン」
今年も優勝候補としてイベント前半から勢いがあり、18歳以下のボーイズで安室丈。18歳以下のガールズで脇田紗良、野中美波がファイナル進出。
安室丈はファイナルの開始直後にバックハンドで6.17をスコアしてトップに立ったものの、アメリカ代表のトミー・コールマンがアベレージスコアを揃えて逆転。更にメキシコ代表のアラン・クルランドがバックハンドで7.00を出してトップに立ち、後半にはバックアップスコアを伸ばしていました。
終了間際はもう一人のアメリカ代表のディミトリ・プロスも交えて激しいマッチアップとなり、安室丈は3位に後退。ファーストプライオリティを持ってテイクオフしたレフトは続かず、厳しい状況に追い込まれ、最後はエアーリバースをメイクしたトミー・コールマンにも逆転されて4位でフィニッシュ。
3年連続ISAジュニアに出場した安室丈は2017年に16歳以下ボーイズで金メダルを獲得。
2018年は18歳以下のボーイズで銀メダル。そして、年齢的に最後の出場となる今年はクーパーメダルを獲得。
ISAの舞台では世界的に見ても非常に強い選手と言えます。
「ISAワールドジュニア。最後のISAジュニアだったので優勝したかったです。いつも応援してくれている方々、今回お世話になったコーチの皆さんにすごく感謝しています。チームジャパンのみんなありがとう!」
安室丈公式Instagramより
PHOTO: ISA / Sean Evans
PHOTO: ISA / Sean Evans
18歳以下のガールズのファイナルは野中美波が一本目にバックハンドで2アクション、5.00をスコアしてリード。更に3.17を重ねてトップの座を固めます。
ヒート序盤〜中盤、ハイタイドに近づいて極端に波数が減り、他3名は波にも乗れず小康状態。
ヒートが動いたのはラスト10分を切ってから。脇田紗良が一本目に乗ったレフトが4.50、これで一気に2位になりますが、ハワイ代表のガブリエラ・ブライアンが6.57、終了間際には7.50を出してトップに立ちます。
2位の野中美波はバックハンドで6.00を返すものの、逆転には及ばず、ガブリエラ・ブライアンが優勝、野中美波は2位。
3位はドイツ代表のノア・リア・クラップ、4位に脇田紗良という結果で終了。
「ISAワールドジュニア2番でした。今年最後のジュニアだったので優勝したい気持ちでいっぱいで、すごい悔しいです。中学2年生から世界ジュニアに出始めてから5年間この試合に出てきました。1年目はファイナルには程遠いい結果で、2、3年目は5位、7位という結果でした。その中で去年、今年と連続でファイナルにいけたことは自分の中で成長できたなと思います。これからもどんどん成長できるように頑張ります!夜中の試合の時でもライブで応援してくれた人、いつも応援してくれてる皆さんありがとうございました」
野中美波公式Instagramより
昨年は18歳以下ガールズで3位に入っていた野中美波。
今年でISAジュニアは最後ですが、すでに海外でのQSでも活躍しており、日本が誇るウィメンズサーファーとして成長していくことでしょう。
個人で合計3つのメダルを獲得した日本は団体銅メダルを獲得しました。
PHOTO: ISA / Sean Evans
■日本代表選手の結果
18歳以下ボーイズ
4位 安室丈
15位 上山キアヌ久里朱
33位 金沢呂偉
16歳以下ボーイズ
6位 松原渚生
8位 岩見天獅
21位 矢作紋乃丞
18歳以下ガールズ
2位 野中美波
4位 脇田紗良
5位 松田誌野
16歳以下ガールズ
9位 中塩佳那
19位 都築虹帆
61位 松岡亜音
PHOTO: ISA / Ben Reed
アメリカが6つの個人メダルで団体金メダルを獲得
Photo: ISA / Sean Evans
2年連続の開催国として他の国よりも大きなプレッシャーがあったアメリカ代表。
元CT選手のブレット・シンプソンをコーチに2020年東京オリンピックの次の2024年パリオリンピックも視野に入れた緻密な戦略で合計6名のファイナリストを輩出。
18歳以下ボーイズではディミトリ・プロスが金メダルを獲得、16歳以下のボーイズではタジ・リンドブラッド、16歳以下のガールズではゾーイ・ベネデドが共に銀メダルを獲得。
念願の団体金メダルを手に入れ、オリンピックを前に強いアメリカを印象付けていました。
「チームアメリカのサポートは素晴らしかったよ。みんながビーチで自分に声援を送ってくれたんだ」
ディミトリ・プロス
団体銀メダルはハワイ
Photo: ISA / Ben Reed
年齢オープンの『ISA World Surfing Games』の方はアメリカと統一されているハワイですが、ジュニアはハワイでの出場。
セス・モニーツを始め、当時ハワイから出場していたタティアナ・ウェストン・ウェブ、前田マヒナなどの強豪が揃っていた2014年には国別金メダルを獲得するなど強豪国の一つ。
今年は18歳以下のガールズでカウアイ島のガブリエラ・ブライアン、16歳以下のボーイズでマウイ島のジャクソン・バンチが共に金メダルを獲得。
2017年以来の団体銀メダルを手に入れていました。
Photo: ISA / Ben Reed
「ハワイが二つのメダルを獲得したことは素晴らしい。間違いなく、私の人生で最高の日よ。ジャクソンが9ポイントを出したのを見て、同じハワイ代表としてモチベーションが上がったわ」
ガブリエラ・ブライアン
「金メダルを獲得出来て最高の気分さ。このイベントの過去のチャンピオンを振り返ると何人ものCT選手が勝っているよね。本当に信じられないよ。自分もここで優勝出来て興奮している。出来れば彼らのようになれることを願っている」
ジャクソン・バンチ
Photo: ISA / Ben Reed
ドイツ代表が2クラスでメダル獲得の快挙
Photo: ISA / Ben Reed
昨年の18歳以下のガールズでもレイチェル・プレスティが金メダルを獲得していたドイツ代表。
今年は16歳以下のガールズでノア・リア・クラップが強豪のアメリカ、ハワイを抑えて金メダルを獲得。更に彼女は18歳以下のガールズでもファイナルに残り、3位で銅メダルを獲得。
ドイツを団体8位まで押し上げていました。
「全ての努力が報われた。本当に嬉しいわ。チームドイツは私にとって最高よ。彼らは素晴らしい」
まだ16歳のノアは10歳の頃にカリフォルニア・マリブに移住してサーフィンを始め、現在はサンクレメンテ在住。
まだ大きなスポンサーが付いていない彼女にとって今回の優勝は大きなアピールになりそうです。
『2019 ISA World Surfing Games』結果
団体
1位 アメリカ
2位 ハワイ
3位 日本
4位 スペイン
個人
18歳以下ボーイズ
1位 ディミトリ・プロス(USA)
2位 アラン・クルランド(MEX)
3位 トミー・コールマン(USA)
4位 安室丈(JPN)
16歳以下ボーイズ
1位 ジャクソン・バンチ(HAW)
2位 タジ・リンドブラッド(USA)
3位 アフォンソ・アントゥネス(POR)
4位 ライアン・ハックルビー(USA)
18歳以下ガールズ
1位 ガブリエラ・ブライアン(HAW)
2位 野中美波(JPN)
3位 ノア・リア・クラップ(GER)
4位 脇田紗良(JPN)
16歳以下ガールズ
1位 ノア・リア・クラップ(GER)
2位 ゾーイ・ベネデド(USA)
3位 ベティ・ラウ・サクラ・ジョンソン(HAW)
4位 ケイトリン・シマーズ(USA)
国別対抗リレーレース
「アロハカップ」結果
1位アメリカ
2位スペイン
3位日本
4位ハワイ
『2019 VISSLA ISA World Junior Surfing Championship』公式サイト
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