オーストラリア・グランドスラムの初戦を制したのは?
2020-09-15 更新
新型コロナウイルスの影響で2020年のCT&QSイベントが中止になったのはWSLファンならご存知の通り。
未だに国を跨ぐ移動が困難な状況の中、国内のサーファーだけでコンテストを行い、2020年11月からハワイで開幕予定の2021年CTシーズンの準備も兼ねた「WSLカウントダウン」がカリフォルニア、ブラジル、オーストラリア、ポルトガル、フランスで用意されおり、すでにカリフォルニアでは8月にケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」で『Rumble at the Ranch』が開催されました。
ブラジルは9月18日に1戦、オーストラリア、ポルトガル、フランスは9月〜10月に複数イベントによるシリーズ戦が行われ、オーストラリアは『Australian Grand Slam of Surfing』、ポルトガル、フランスは『Euro Cup of Surfing』と名称が決まっています。
多くのCT選手を抱えるオーストラリアはコロナ禍でも基本的にサーフィンは自由に可能で、春にはケリー・スレーターの滞在が話題に。仕事を失ったサーファーやリモートワークへのシフトでコロナ前よりもサーファーが増加した一方、シャークアタックが増加しているというニュースも...。
PHOTO: © WSL/Dunbar
9月13日〜14日 『Tweed Coast Pro』
ストラディ、キャバリタ、マーガレットリバーと3戦行われる『Australian Grand Slam of Surfing』の初戦、『Tweed Coast Pro』が文字通り、ツイードコーストのキャバリタで9月13日〜14日に開催。
ウィメンズはステファニー・ギルモア、サリー・フィッツギボンズ、タイラー・ライト、ニッキ・ヴァン・ダイク、メンズはオーウェン・ライト、ジュリアン・ウィルソン、ライアン・カリナン、ウェイド・カーマイケル、エイドリアン・バッカン、イーサン・ユーイング、ジャック・ロビンソン、コナー・オレアリー、モーガン・シビリックとジャック・フリーストーンを除く全てのCT選手が揃い、その他にQSトップの選手とワイルドカードが参加。
開幕戦に合わせてオーストラリア入りしてから滞在を続けている南アフリカのCTルーキー、マシュー・マクギリヴレイ以外は全てオーストラリア人でした。
22歳のイーサン・ユーイングが優勝
ダークホースのマシュー・マクギリヴレイとファイナルを戦ったイーサン・ユーイングは9.77のハイエストスコアを叩き出しての優勝。
QFではオーウェン・ライト、SFではコナー・オレアリーを対してのファイナル進出。
サーフィンのスタイルを変えてCT返り咲きを果たした実力を早くも発揮した形になりました。
「最高の気分さ。素晴らしいイベントだったし、ファイナルでは全てが自分の思い通りになった。一日中、本当に楽しい波だったので、ハイスコアを出すことが出来たのさ。マシュー・マクギリヴレイは素晴らしいサーフィンをしていた。彼に勝つためにファイナルではハイスコアが必要だと思ったんだ。WSLが出してくれた結果を嬉しく思う。まだコンテストに出場出来るのは嬉しいね」
人種差別問題への主張から優勝したタイラー・ライト
PHOTO: © WSL/Dunbar
ウィメンズは2019年の最終戦と同じファイナリスト、タイラー・ライト&ステファニー・ギルモア。
約10ヶ月の休暇と彼女達には前例のないブランクにハングリーさが増していた二人の争い。
パワーサーフィンのタイラーとエレガントなステファニーのサーフィンは、タイラーに軍配が上がりました。
「ステフとファイナルでサーフィン出来て最高だったわ。彼女は私の最大のアイドルの一人だし、今は親友でもあるの。このコロナ禍の中、ステフは多くの人をサポートしているし、毎日一緒にサーフィンやトレーニングをしている。’Black Lives Matter’と連帯して社会正義と平等のために立っている私にとってこのイベントは大きな意味を持つの。サーフィンの舞台に立つ機会を与えてくれたことに感謝しているわ」
PHOTO: © WSL/Dunbar
R1では439秒間の間、「Black Lives Matter」と書かれたサーフボードを傍らに肩腕を上げて肩膝立ちで黙祷。
この秒数は1991年以降、警察に拘留されて命を落としたオーストラリアの先住民1人につき1秒と考えての時間。
つまり、439名の魂を背負った彼女なりの人種差別問題に対しての行動だったのです。
タイラーの凄いところは、ヒートの1/3にあたる約8分を陸での主張に費やしても海では最高の仕事をこなして勝ってしまうこと。
更に最後は優勝とタイラーにしか出来ないような精神力の強さで『Australian Grand Slam of Surfing』のカレントリーダーに立ったのでした。
CTが開催出来ない今だからこそ生まれるドラマもある「WSLカウントダウン」
次は9月18日にブラジルで開催される『Onda do Bem』
俳優、ミュージシャン、アスリートなども参加する他国とは違う形のイベントになります。
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