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ケリー vs JOB?[ミックとロスのディベート第8回]-F+(エフプラス)

2021-03-22 更新
Text by つのだゆき

サーフフードの新作、サーフドロップスVol.3がVol.2から1年ぶりに発売された。江川氏、頑張るなぁ。まぁ、いつもの世界の豪華メンバーのサーフィンに、丸出だめ夫の芝居シーン。今回の芝居の舞台は宮崎のよう。

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まぁ、このコロナ禍の中、努力に努力を重ねて集めた総勢112名のトップサーファーのフッテージはハワイ、アフリカ、日本の各地を網羅。今回も178分と内容量たっぷりで、何度見ても楽しめそうだ。 2021年の新鮮な映像が盛りだくさんで世界最先端のサーフィンをチェックでき、見応え十分でイメトレにもバッチリな、いつものサーフフードクオリティ&クオンティティ。これだけで結構見ごたえのあるトレーラーも出血大サービス


ってことで、ロスとミックのディベート第8回。新司会のココ・ホーが結構うまくてびっくり。

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1:男女ツアーを分けて開催したほうがいいかどうか


ロスは分ける派。「ギャラリーのためにも12日間とかのピリオドは長すぎ。詰めれば女子1日、男子2日のワンスウェルで終われるのでそこを目指すべきだし、今は昔よりスポンサーが女子に興味を示しているから」と。
ミックは反対。「2011年に男女ツアーが別れたけど、結局うまくいかなかった。今はイベントができるだけでもラッキーなので、この時期にツアーを分けるようなことはするべきじゃない。例えばスタートを数日早くして男子と重なる期間を数日にするとかの工夫もあり」。
と、ロスは「2011年はすでに10年も前。あの当時と女子を取り巻く環境は大きく変わった。サーフィンのレベルも上がったし、賞金額も男女同じになった。だからあのときとは違う」という。

私は分けない派かな。確かに12日間のコンテストピリオドとなると見に行くことも大変なことになり、結局2週間の旅になる。一般のファンが2週間の休みを取るというのはそう簡単なことではないので、フルで見ようと思うとヘビーだけど、だからと言って女子だけのツアーがそう簡単に成功するとも思えない。昨今うるさいジェンダー平等がイベントの採算も平等とはいかないのも事実だと思う。まぁ、私がツアーを回り始めたころはもうみんな辞任しなくちゃいけないほどコッテコテの男社会だったから、ここのところの女子の扱いは隔世の感がある。WSLのコミッショナーがパットから女性のジェシー・マイリー・ダイヤーに変わったことで、また少し変わるのかな。
とはいえ、風が入ったり潮の悪いときは女子、ってのは相変わらずなんだと思う。

2:誰がトップ5でWSLファイナルズに行くと思うか


ミックは、「女子は2019年のトップ5、タイラー・ライト、カリッサ・ムーア、ステファニー・ギルモア、キャロライン・マークス、レイキー・ピーターソンが固いところ、男子はジョンジョン、ガブリエル、イタロときて、コンスタントさを身につければジョーディ、5人目は誰でも可能性があるけど、イーサン・ユーイング」をあげた。「ハレイワでのサーフィンを見ると、マーガレットリバーやロットネストアイランドとかに合いそうだから」と。
ロスもあまり変わらないけど、「ジョン、コロヘ、イタロ、ガブ、5人目にジャック・ロビンソン」をあげた。女子には「カリッサ、タイラー、タチアナ、レイキー、ステファニー」。
まぁ、どちらもいいところついてるよね。どっちにも入っていないフィリッペはココがフォロー。

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3:コロヘは4人のルーキーたちより先に自身の初優勝をあげられるかどうか


ミックは、「コロヘは2019年のGCですでに初優勝を飾っててもおかしくなかった。あの時逆転優勝したイタロのラストライドのスコアは大きな議論を呼んだし、今シーズン優勝すべきサーファーのひとりだ」と。
ロスも「そうなればいいしそうなってほしいけど、4人のルーキーを見ると、特にジャック・ロビンソンはすごい才能だ。ウエスタンオーストラリアはホームだし、タヒチも有利でチャンスありだから」と懐疑的。
ミックはイーサン押し、ロスはジャックロボ押しが継続

4:今の若いサーファーが目指すのは、キングケリーか、SNSスターのジェイミー・オブライエンか


ふたりともこのSNSが主流になってきているシーンの変化をあげる。ミックは、「昔は雑誌の表紙とかサーファーポールの順位とかでボーナスが出たものだけど、ある時契約書ががらりと変わって、月に何回以上インスタ更新とか、SNSでの活動条件が入ってきた。そして今ではインスタのフォロワー数が契約のベースになるところまで来ている」、と指摘。「15歳ぐらいまでの若いサーファーに聞くと、みんな朝起きてシリアル食いながらJOBのユーチューブブログを見るっていう。それが普通になってるようだ」と。

ロスは、「朝シリアル食いながらJOBは見ないけど、昔なら雑誌に載るためにいろいろ努力したものを今はセルフプロデュースで努力する時代になった。ジェイミーは面白おかしいことをいつもアップするからチェックするけど、ケリーだってインスタのフォロワーが多いし、ガブリエルは700万以上のフォロワーを誇る。タイトルも追って、そのフォロワーの期待に応えるのって結構プレッシャーじゃないかと感じる」という。

ココは、「みんなサーフスターたちの普段の顔が見たいんだろうと思う」、と言った。

確かに昔はスターの素顔が見たくて雑誌のインタビュー記事とかを読んだわけだけど、今やご本人様発信ですからねぇ。本人発信より早い情報なんて無いわけで、文春砲的ゴシップのスッパ抜き以外、情報源としてのメディアの役目は終わったのかな、と私は思う。私は他人様のSNSとか一切見ないので、選手のSNS追ってる人のほうが私よりずっとサーフシーンやサーファーに関していろんな事をよく知っている今日この頃だ。

誰が何した、とか、どこがどうする、とかのニュースなんて、もうメディアに乗せても無意味かな、と思う。じゃ、本人発信の世の中でメディアとして何が必要、付加価値なのかと考えれば、フィルターとしての役割かな、と。
サーファーが100人いれば100種類のメディアがあるわけで、その中から的確なところをチョイスするフィルターとか、こういう情報がありますけど、これってこういう考え方もできますよね、という味付けや深く掘り下げるフィルターとか。そういうフィルターの役割を果たすには、やはり経験と知識がものをいうわけで、そういう意味ではこの解説記事もただの翻訳ではないわけで、「つのだゆき」という偏ったフィルターを通ってるから記事として成立するのかな、と思う。じゃないとやってられない、ってものある(笑)


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