パフォーマンス性能と値段が従来を上回る木製ボードが誕生(WSMコラム)
2021-12-16 更新
近年ではあらゆる分野においてテーマと言えるほど掲げられているサステイナビリティ。
サーフィン界においても例外ではなく、アパレルなどではサステイナブルを標榜するのは当たり前と言えるほど意識が高くなっています。
そんな時代の流れを受け、NPO団体のオーシャンインパクトオーガニゼーションとHPオーストラリアが「Generation Impact Incubator Award」というイベントを初開催する事になりました。
同アワードの内容としては、海が直面している問題を解決するべくテクノロジーを作り出す次世代のイノベイターを発掘しようという趣旨。
そして初開催となった同アワードを制することになったのが、サーフボードの製造過程を見直すことで環境に優しいボード作りに成功したエミール・シアとなりました。
エミールが環境に考慮したボード作りに着手した理由は、現在のサーフボード製造工程には毒性を含むプロセスがあり、環境に対して危険であると学んだためと言います。
そこで2020年に環境科学者のアラステア・ピリーと手を組み、「Sine Surf(サインサーフ)」を創業。
そして問題解決に向けて生み出したのが、木材のキリを用いた中空構造のパフォーマンスボード。
キリを選んだ理由は、成熟までの時間が8年と成長が早いためサステイナビリティには最適であり、さらには木材の中で2番目に軽量ということでウォータースポーツとの相性が抜群であったためだそうです。
従来の製造工程との比較としては、従来は1本のボード製造で産業廃棄物を8キロほど排出していたのに対し、サインサーフではわずか0.5キロ以下。
生物分解性(物質が微生物によって分解される性質)に至っては95%を達成と、非常に環境に優しいサーフボードになっているとのこと。
ただし、このような新たなボード構造になると、これまでに良くあったデメリットとしては高額になりがちと言う問題点がありました。
値段があまりにも高ければ、いかに良いボードであってもなかなか一般的に広がりを見せる事は難しいのですが、サインサーフのボード価格はお手頃。
実際にサイトで値段を確認して見ると、新品のフィッシュモデルが890豪ドル(約7.2万円)で販売されています。
機能性に優れ、価格を抑えてサステイナブルというサインサーフのボードが流行れば、今後の未来が明るくなると言えるのではないでしょうか。
参照記事「Aussie Surfer Wins Award for Biodegradable Surfboards」
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