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「コンペティターに必要な3大要素の一つ、それは運」- F+コラム

2022-08-22 更新
Text by つのだゆき、WSL

エフプラスコラム
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

タヒチ終了。
ミギュエル・プポCT初優勝、女子はコートニー・コンローグ。
最終戦だけに、この試合に関しては結果よりその他のニュースのようなものがたくさんあったし、ファイナルデー前日のコンディションがずっと続けば、もっとすごいニュースがいろいろあったと思う。

Photo by Damien Poullenot
ネーザン・ヘッジ PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

スウェルが続いていたら、きっとファイナルは50歳ケリー対43歳ネーザン・ヘッジという、遠目じゃわからないスキンヘッドオジサン対決に違いなかったと思う(笑)。技術的にはこの人たちやばかったなぁ。きついバレル勝負でのテクニックは、ケリーいまだにやっぱり違うなぁ、と思った。ネーザン・ヘッジなんてビール好きだったから、もっと太って腹出ちゃってるかな、と思っていたけど、どうしてどうして、バッキバキに鍛えててびっくりした。

Photo by Beatriz Ryder
カウリ・ヴァアスト PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

そして思っていた通り、男女ともワイルドカードはクセモノだったね。2位になったカウリ・ヴァアスト、女子のヴァヒネ・フィエロもセミまで勝ち上がって3位。このふたりはローカルを名乗るならこうあるべき、というぐらい波を知っていた感じ。技術というよりノーリッジの勝利。ああなったらここで乗る、ここで乗ったらこうする、というポジショニングやライン取りはもう、憎らしいぐらいパーフェクトだった。これぞローカルという感じ。
特にカウリのケリーに勝ったヒートなんて、最初の5分ぐらいで2本インサイド決めて余裕。ケリーが乗せちゃった感じはあったけど、あれはフロントハンドだからあの場所からいける波だったかもな、と思う。

Photo by Damien Poullenot
ケリー PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

ケリーの敗因は明確に選びすぎ。10分経ったらあきらめてインサイドのコーナーの小バレル狙いに切り替えるべきだったかね。まぁ、それでもセット狙って止まっちゃうのが典型的なケリーの負けパターンではあるけど。
試合では一度これじゃない、と見送っちゃうと、これでもない、あれでもない、という時間帯から、後半はこれでいいのかな、あれで合ってるのかな、とどんどん疑心暗鬼的に選択肢を狭めてしまう傾向がある。たいていの場合、止まったら負け。

Photo by Beatriz Ryder
五十嵐カノア PHOTO: © WSL/Beatriz Ryder

技術、知識、そして運がコンペティターに必要な3大要素というなら、運はぶっちぎりで五十嵐カノア。運命を決めるあのタイミングであの波が入ってくる、という時点で本当に持ってる。もう何回カノア、持ってるな、と書いただろう。とにかく運を持ってるし、その運がくれたチャンスは確実にモノにしてきたと思う。そしてそういうチャンスをきちんとモノにするからこそ、次の運が巡ってくるんだろう。
あの場面でどんなにプレッシャーがあっても、あれだけ波が協力的にワイドオープンでパックリ口を開けてたら、ミスのしようがない。あの1本でカノアの選手としてのキャリアが大きく変わったと思う。悲願のファイナル5入り。もうひとつ勝てばイタロ抜いて4位だったけど、ファイナルズに関しては5位も4位も同じなので、そこはそんなに問題ではないと思う。ここ数年、トップ5のチョイ下というランクだったけど、ガブ、ジョンジョンがいない分、きっちり繰り上がったといえる。

タラレバ話をするなら、あの1本の波が来なかったら、最終でカノア、プポ、グリフィンの5位から7位のポイント差は150ポイントしかないので、プポがファイナル5に奇跡のジャンプインで、カノアは7位だった。グリフィンだって、ヤゴ・ドラに負けたヒートのラストライドがあと0.31高ければファイナル5入りだったわけだけど、出なかった。ツートップのフィリッペやジャックロボと同じく年間2試合優勝しているのに7位。コンスタンシーを身につけないとだな。
個人的にはグリフィンがラウンド16で負けた時点で、あ、カノア来るな、と思った。何しろ持ってる人なので、おぜん立てというか、流れが向けば来る、と予想はできる。ヒート運も良かったし。早いうちにジャックロボとかヘッジ、カウリやケリーに当たるブロックもあるわけだから、選べるならあのブロックがいいかな、と思うところにいたと思う。

Photo by Damien Poullenot
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

ファイナルズ、会場がアメリカなのに、アメリカからの出場者はゼロ。あ、アメリカ居ないけどハワイのカリッサはいるか。
まぁ、普通にフィリッペとカリッサであって欲しいと思う。長い時間かけてあそこまで来て、タイトル取れないってやっぱり納得いかないし、勝負ごとの最後に逆転のワンチャンスを下位の者に与えるって必要なんだろうか、と思う。

会場のロウワーのコンディションにもよるけど、イーサン、ジャックロボがショボショボの小波でガンギメって絵が出てこないので、波に恵まれなければカノアvsイタロの勝ったほうは結構いけるかもしれない。とはいえそれでもフィリッペは普通に強そうだな。まぁ、10日ぐらいのピリオドの中の一番いい1日なので、バレル含みのオールラウンドコンディションになる可能性は高い。そうなるとジャックあるかもだけど、小波のエアー勝負になればイタロ、フィリッペ強そう。でも今シーズンのイタロはなんかちょっと脅威感が薄い感じがするので、どうだろう。
女子はロウワーのキレイな波ならステファニーけっこうチャンスあるんじゃないのかね。フローのステフか、パワーのカリッサか、みたいな。
出来れば波運が勝敗を左右しないような、スコアできる波数の多いコンディションであってほしい。
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