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「チューブライディングに限界はあるか?」- F+コラム

2022-11-08 更新
Text by つのだゆき、photo by snowy

エフプラスコラム

太平洋の真ん中の島とか行くと毎日夕焼けやばいけど、ここ東浪見でもたま~に、年に一度か二度ぐらいですが、ものすごい色の夕焼けとかあります。この間犬の散歩中にあまりにすごかったのでケータイショット。色補正無し。昔の人ってこれ見てキレイ、とかじゃなくて恐怖だったんじゃないのかな、というのは容易に想像できるな。

質問
①チューブライディングテクニックは限界値に達しているか?
②日本人シェイパーの腕前と、CTの壁には相関関係があるのか?
③スチュアート・ケネディのサーフィン(彼以外に、ユキさんが上手いと思うアップカマー)について


すべて同じ方からの質問なんですが、どれも考えすぎな感じであまりフックしないのでオールスルーといきたかったところですが、まとめてお答えします。


①チューブライディングテクニックは限界値に達しているか?
限界値がよくわからないのですが、チューブの中で飛ぶとか回るとかリップとかを考えるなら、それはまた別のワザとのコンビネーション的なことになるので、違う話だと思う。チューブライディングの限界値はテイクオフからプルアウトまで、1本の波の中でチューブになる部分すべて入る、とかなんだろうけど、来る波によって限界値は変わるし、ジャッジがどこを見るかで変わる思う。深さなのか、長さなのか、入り方や出方なのか。過去、ダンパーとしか言えなかった波が今や絶好のバレル波になっているように、テクニックは進化していくので、よりハードなコンディションがあり続ける限り、限界値には達しないと思うし、そもそも各テクニックの限界値、という発想が私にはないので、答えが見つからない。

ジョン・ジョン・フローレンス - 2021年マーガ
ジョン・ジョン・フローレンス(photo by joli)

今のスポーツは全体的にそうだけど、人間の肉体を改造してまで限界を超えようとする流れ。サーフィンの場合、その進化の方角はジャッジが決める。選手はどれだけジャッジに評価されるかだけを考え、サーフィンを変えるわけだから。


②日本人シェイパーの腕前と、CTの壁には相関関係があるのか?
質問の詳細を読むと、日本人シェイパーにワールドクラスがいないから日本人選手がCTに行けないのでは、という相関のようですが、それは無いと思う。CTの壁はシンプルに努力不足、情報不足(指導者不足)、体格不足ですかね。それぞれの不足を下支えしているものに、騒がれすぎ、甘やかされすぎ、稼ぎすぎ、はあると思う。日本からCT選手が出ないのを日本人シェイパーのせいにされても、シェイパー迷惑でしょ(笑)。

シェイパーとサーファーというのは持ちつ持たれつでもあるし、ニワトリとタマゴでもある。そして流行りすたりがあって、急に勝つようになった選手の乗っている板がその後ある期間選手の間で大流行したりする。過去にはパット・ローソン、アル・メリック、JC、モーリス・コール、近年では、JS、DHD、メイヘム、パイゼル、シャープアイとか?
それぞれに昔からいるシェイパーではあるけど、流行りのきっかけになる選手がいて、シェイパーも選手と共に一気にワールドクラスになる。発信はCTからなので、シェイパーのCT選手への営業活動も盛んだ。でもそれはそういう名前や流行に左右される消費者がいるからなだけであって、サーフボードというのはもっともっと個人的な嗜好によるものであると思うし、パイゼルに乗ったからって誰もがジョンジョンになれるわけでもない。

一般的なシェイパーのビジネスの流れとしては、自分のライダーの誰かがCTで活躍したら、そこで一気にツアー内や世界規模のビジネスの勝負をかけ、次のライダーを捕まえる、という流れ。シェイパーは職人だけど、ビジネスマンの側面も持たないと名前は売れない。そういう意味で成功してきたのはメリックやメイヘムかね。
メイヘムの師匠であったティミー・パターソンはイタロのご愛用だけど、ウルトラ職人気質なので、たぶん営業が苦手だから、ブランド力が弟子のメイヘムよりだいぶ下なんだと思う。

名前が何であれ、どこの国のシェイパーであれ、自分が今まで行けなかったところにつれて行ってくれる板、自分がいいと思う感触の板を作ってくれるシェイパーがその人にとっての名シェイパーになる。そのためには自分の好みを的確に伝えられる知識や、サーフボードの性能を最大限に引き出す乗り手の技術が必要だと思う。言葉の壁なんて通訳ひとりで解決できるし。
トップサーファーのフィードバックがトップシェイパーを育てるという面はあるので、日本にワールドクラスの選手がいないから日本のシェイパーにワールドクラスのフィードバックが伝わらない、ということはあるかもしれない。しかしその逆は誰の板に乗ってもいいルールなので、関係ないかなと思う。

昔はハワイならハワイのシェイパー、カリフォルニアならカリフォルニアのシェイパー、オーストラリアならオーストラリアのシェイパーみたいに、地元の波にあった板を選手も求めたりしたものだけど、今はサーフィンやラインに波質の壁がないので、おおざっぱにビーチブレイクとバレル、オープンフェイスのカーブとかで使い分けるぐらいなんだろうか。もしかしたらそこまでもわけないのかもしれない。ビーチブレイクの板でパイプ (あるいは逆)乗りそうな勢いだもんな(笑)。


③スチュアート・ケネディのサーフィン(彼以外に、ユキさんが上手いと思うアップカマー)について
スチュアート・ケネディって、またずいぶんベテラン持ってきますね。ストイックなレノックスのカーバーですかね。特にどうこうは無いです。他のアップカマーは今のところこれといっては浮かばないかな。グリフィン・コラピントうまくなってるかな、とは思う。足りないのは安定感、コンスタンシー、運……技術とは別のところ。

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