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「カリッサ・ムーアの復活が楽しみだ」 - F+コラム

2025-11-17 更新
Text by つのだゆき、Photo by snowy

エフプラスコラム - カリッサ・ムーア
エフプラスコラム - カリッサ・ムーア
2019年のJベイではダントツのサーフィンを見せていたカリッサ・ムーア

カリッサ復活。もう2026のワイルドカードだけではなく、ワールドタイトルもあげちゃってほしい。なんなら2027も。5タイムワールドチャンピオンだけど、本来ならこの人が7タイムワールドチャンピオンなわけで、あのしょうもないファイナルファイブという、たった一日で年間ツアーのタイトルを決めるというアホのようなルールのおかげで、一年間ずっと1位だったのにタイトルを逃したみたいな、アスリートとして受け入れられない思いを食らったわけだ。そりゃ辞めちゃうだろうし、それがなきゃ帰ってきてもいいかな、みたいな気持ちにもなるだろう(笑)。まぁ、その間にお母さんになって、また違う人生のドアも開いて、お母さんのゼッケン姿を子供に見せてあげたいということでもある。33歳、ジョンジョンと同じ歳。

そうねぇ、ぶっちゃけクリティカルはカリッサの売りだったし、それで勝ってたので、現役当時のサーフィンが健在ならいいところには行くだろうけど、たった数年のブランクではあるけど、その間にジャッジの求めるクリティカルスポットがよりヘビーなところに変わっていることは確かで、以前カリッサが当てていたところよりもっと手前、30-50センチぐらい手前に当てられないと厳しいかな、とは思う。もちろんそんなことは私に言われなくてもわかっているわけで、そこをどこまでアジャスト出来ているか、ベルズで彼女のサーフィンを見るのが楽しみだ。
ワイルドカードなので、サドンデスのラウンドワンからスタート、トップ8の待つラウンド2に進むことが必須になる。
とうぜんお帰りなさいサービスポイントもつくだろうから、若手イケイケ対カリッサみたいな構図になるのだろう。

エフプラスコラム - カリッサ・ムーア
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14歳でCTのワイルドカードに。見事2位。2007年ゴールドコースト

まぁ、なんであのファイナルファイブという愚案が出てきたかといえば、最終戦のファイナルデーまでタイトル争いがもつれこんで、何ならファイナルで勝ったほうがタイトル、みたいなドラマは非常にエキサイティングで盛り上がる、ということを毎年再現したいというためのアイデア。で、なんで選手からの反対も周囲の反対も押し切ってWSLが強行したかといえば、すべてがサーフィンというスポーツをアメリカのプロスポーツマーケットという土俵に立たせたかったから。アメリカのプロスポーツ界というのは熾烈な争いで、ファンを楽しませるためならなりふり構わず何でもする、みたいなところがあり、お金になるならオープニングゲームを日本でやるなんて軽いもんだ。マネートークの興行の世界。アメリカにはほかにもたくさん成功しているプロスポーツがあって、観戦するプロスポーツとしてのサーフィンはだいぶ下のほうになる。人気ダントツのアメリカンフットボールの下にバスケットボール、野球、アイスホッケー、サッカーなどがあり、桁違いのお金が動くわけで、それはファンに楽しんでもらってナンボであって、技術論とか記録とかよりはファンに受けのいい方向にすべてが進んでいくわけで、選手も心得ていて、ファンサービスに余念がない。バントで進塁より大振りでホームラン、敬遠より真っ向勝負だ。大味なアメ車システム。肉食系狩猟民族。

エフプラスコラム - カリッサ・ムーア
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CTのデビューイヤーは3位。2010年ベルズ

スプレーマニアとかレールマニアとは反対方向の、なにも深掘りしなくてもエキサイティングならウケる、つまりエアーのようなわかりやすい感じを目指して進んできたWSLだが、2026年からは方向を一転して昔の感じにツアーは変わることになる。
ただし、最終戦のパイプがダブルポイントというのはちょっと曲者ではある。
カリッサがずっとイエローで、パイプがシングルポイントならワールドタイトルなのにダブルだったから逆転された、みたいなことがあったら、それはもう……どうしよう……。
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