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「F+xBCMコラボカレンダー解説:イタロ・フェレイラ」 - F+コラム

2026-01-19 更新
Text by つのだゆき

さて2026カレンダーもいよいよ後半の7月、イタロ・フェレイラ。

エフプラスコラム
Photo by snowy

パイプライン/バックドアでの余裕の1枚。高さと飛んでるセクションがイタロっぽいかなと思う。
昭和の日本人としてはどうしたって「イタコのイタロー」になっちゃうわけだけど、まぁ親近感のわく名前ではある。168㎝68㎏と日本人体格の小柄な選手だ。
ガブリエル・メディーナに続いてフィリッペが出てきて、そのあとすぐにこのイタロが出て来た時、いったいブラジルにはどれだけの才能がまだ埋もれているんだろうと思った。
フィリッペとイタロは同じ歳でQSデビューも同じシーズン。ただクオリファイはフィリッペのほうが先で、それは実力云々というより世界を回るコストの問題であり、彼らのような実力のサーファーはブラジルにはいくらでもいて、でも世界を回るためのスポンサーの協力が得られないから世界に出てこれないでいるだけだ、という話をブラジルのメディアの人から聞いたことがある。
いくらでもいると言われても、ゴールドコーストのマシンブレイクでいつでもどこでもフルローテーションで飛べて、ほぼほぼパーフェクトランディング、というのを見せられているこっちにしたら、これがいくらでもいるってどういう状況よ、とあきれるしかなかった。今から10年以上前の話だ。

イタロのキャリアを大きく変化させたのは2019年のワールドタイトルだろうけど、そのワールドタイトルを運命づけたのはその年の初戦のゴールドコースト優勝だと思う。

イタロ・フェレイラ&キャロライン・マークスが優勝!2019年CT開幕戦ゴールドコースト | THE SURF NEWS「サーフニュース」(2019.04.10 up)

おそらくサンクレメンテ界隈の古いファンからは、いまだに認められていない優勝かな、と思う。相手はコロヘ・アンディーノ。そのヒートは終始コロヘがリードしていたヒートで、最後の詰めで押さえていた時に小さな波が来てコロヘが見送り、イタロが乗ってエアーを決めて、必要だった7点近いポイント出して逆転優勝したんだと思う。
ギャラリーの多くがそう思ったように、私もあのサイズの波で7点は無いな、と思っていたけど、ジャッジは出した。運命の分かれ道の1本だ。
試合後コロヘは、同じ状況でもう一度あの波が来ても俺は同じように見送ると言ったけど、そうだよね、と思う。
あの試合ではコロヘがいつもの年になくいい感じで、集中力も安定感もピカイチで、これ優勝したら今年はいよいよコロヘかな、と思わせるような出来だったから、あそこでイタロが逆転せずにコロヘ優勝だったら、2019年のタイトルはコロヘだったろうと今でも思う。

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2019年ゴールドコーストで優勝したイタロ Photo by snowy

結局その年イタロはコンスタントな成績で、最後の2試合、ポルトガルとパイプで優勝し、ワールドタイトルをとる。パイプでの経験は浅くて手探りだったので、シェーン・ドリアンをコーチにつけて戦った。もちろんパイプの経験なんてそう一朝一夕に自分のものになるわけではないけど、イタロのあの時のやり方を見ていれば攻略法も見えてきそうだ。パイプを通常のバレルとみなして、自分の手に負える波だけに手を出し、深追いはしない。手を出した波は確実に抜ける……まぁ今でもイタロのパイプはそういう感じではあるけど、その手に負える波のレベルが少しずつ上がっているのも確かだ。
当時コーチだったシェーンに聞くと、イタロはすごくいい子で素直に言うことを聞いてくれる、と言っていた。「素直に言うことを聞く」。これはコーチングの絶対条件で、いうことを聞かない選手はコーチングの時間が無駄になる。シェーンだってイタロがいきなりグリグリのパイプがやれないのはわかっているから、徐々に徐々にでやっていったわけだ。でも小ぶりでもグリグリじゃなくても、毎ヒートコンスタントにチューブを抜けていれば勝つチャンスはある。

その後の東京オリンピックでは金メダルも獲得した。
イタロの武器はもちろんエアーだけど、並外れた身体能力から繰り出す回転の速さは特筆すべきものがある。おそらく普通の人が1回転する間に、イタロって2回転できるんじゃないかと思うぐらい回りが早い。クリクリっと目にもとまらぬ速さだ。
近年はケガや故障に悩まされてはいるものの、徐々に上がってきていて、2度目のタイトルを狙える位置につけている。
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