『Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons』ファイナルを制したのは?
2010-12-17 更新

現地時間12月16日、『Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons』は2日続けてコンテストのゴーサインが出て4-6ftレンジのバックドアを舞台にQFからファイナルまでが一気に進行。
まず、1983年から続くハワイの伝統的イベント、トリプルクラウンのタイトルですが、初戦の『Reef Hawaiian Pro』で優勝し、第2戦の『O’Neill World Cup』で9位に入ったパーコことジョエル・パーキンソン(AUS)がリードを握り、エースことエイドリアン・バッカン(AUS)だけが逆転の可能性(優勝が条件)をファイナルデイに持ち越していました。
結果はエースがQFで敗退してしまい、この時点でパーコ(写真上)のタイトルが確定!
1992年〜94年にサニー・ガルシアが達成した3連覇に並びました。
「エキサイトしているさ。今年はトリプルクラウンに参加出来ないとも思っていたよ。ホームでは自分のサーフィンの60パーセントしか出せないと感じていたし、いくつかのヒートに勝てれば良いな〜くらいの考えだった。でも、ハワイに来て全てが変わったんだ。トリプルクラウンは名誉あるイベント。常にベストなハワイアンが支配して手の届かないものだと感じていた。1回でも凄いことなのに、3回なんて....。来年は怪我から解放され、この勝利を足掛かりに良い一年になることを願うよ」とパーコ。
今シーズンのパーコは右足の怪我で一年を棒に振ってしまい、3ヶ月も海に入れなかったほどでしたが、最後に良い締めくくりを果たし、来シーズンに向けて最高のモチベーションを手に入れたことでしょう。
コンテストに戻ると前日同様にバックドアのコンディションが良く、多くの逆転劇がありました。
まずはSFのH1、ケリー・スレーター(USA) vs ジェレミー・フローレス(FRA・写真下)のカード。

序盤は9.57を手に入れたジェレミーがリードを握りますが、4.50と7.40を重ねたケリーが逆転に成功。ジェレミーは4.87を返してトップに返り咲くものの、ラスト10分を切ってケリーがテイクオフ。身体全体を使ってスピードを上げ、バレルイン。全て包まれてから抜けたスコアが9.83!
ジェレミーが再度逆転に必要なスコアは7.67。ラスト5分に波をキャッチするものの、6.50と及ばず...。
しかし、最後の望みをかけてテイクオフした次の波に一気にストールをかけたジェレミーは綺麗にバレルのカーテンの向こう側に入り、確実にメイクして7.93をスコア。僅差ながらケリーを下してSF進出を決め、ラインナップでガッツポーズを上げていました。
ファイナルはジェレミ−とオージーの伏兵、キーレン・ペロー(AUS)の勝負。波数が少なく、難しいヒートの中、6.50と7.27を重ねたキーレンがコンボの大差で後半に突入します。
ここでもジェレミーは諦めず、まずは5.17でコンボを脱出。ラスト数分でまたしてもバックドアのディープなバレルに包まれ、9.37で逆転に成功!
ASPワールドツアーの初優勝を決めたのです。
ビーチに上がった後はクイックシルバーのチームメンバー、ケリーも加わり、自らのサーフボードの横にアンディを追悼する意味で「A.I」とライジングサンが描かれたボードを従えて嬉しさ一杯の笑顔で表彰台へ。
インタビューでは、「まるで夢のようだよ。ハワイには長い間来ているし、世界の中でも好きな場所。波、人々、全てを含めてさ。ファイナルでは負けていたけど諦めなかった。これがパイプマスターズ。全てだね。ストークしているよ!」と興奮気味にコメント。

2005年にヨーロピアンのジュニアチャンピオン、2006年にはWQSをトップで通過し、ASPワールドツアーにデビューした2007年はいきなり8位にランクインしてルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。
まさに絵に描いたようなエリートの道を歩んできたジェレミーでしたが、ここまでツアーでの優勝経験は無く、今シーズンの前半は成績も上がらず...。
しかし、タヒチ戦の3位をきっかけにポルトガルでも2度目の3位に入り、徐々に調子が上向いたところでした。
「波の大小、コンディションを問わず、とにかくサーフィンしていたよ。シーズンの始めは負けが続いてしまったけど、どんな波でも一日に3回はサーフィンすることでリズムを取り戻したんだ。それが今年の後半の成績を変えた重要な点だと思うよ。今はリズムに乗ってきた。そんな感じさ」と話していたジェレミー。
ちなみにこのパイプラインでヨーロピアンが優勝したのは40年の歴史で初めて。
ツアーで台頭してきたヨーロピアンの先頭に立って来年もファン達を楽しませてくれることでしょう。
今イベントのベスト10スコアを3つも手に入れたキーレン。R5ではラスト数秒で9.90を出してダスティ・ペイン(HAW)を逆転した素晴らしい戦いも見せてくれましたが、ファイナルでは逆にやられてしまった形に...。
「最後のホーンがなるまで勝った!なんて思っちゃダメだね。ジェレミーがイベント中に良いスコアを出していたのは知っていたし、オレだって良い波を我慢強く待っていたさ。オレが乗った波は今一つだったけど、ジェレミーの方は9ポイントを独り占め...。それでもファンタスティックな一週間を過ごせたし、みんな素晴らしいサポートだったよ」とキーレンは満足そうな表情でコメントを残していました。
新しいフォーマット、ケリーの10Xにアンディの訃報と波乱に満ちた2010年シーズンもこれで終了。
来シーズンもBCMはASPをフォローしていくので、お楽しみに!
『Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons』結果
1位 ジェレミー・フローレス(FRA)
2位 キーレン・ペロー(AUS)
3位 ケリー・スレーター(USA)、デーン・レイノルズ(USA)
5位 オーウェン・ライト(AUS)、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)、テイラー・ノックス(USA)
2010年 ASPワールドツアー最終ランキング
1位 ケリー・スレーター(USA) 69.000pt
2位 ジョーディ・スミス(ZAF) 52.250pt
3位 ミック・ファニング(AUS) 44,750pt
4位 タジ・バロウ(AUS) 42,000pt
4位 デーン・レイノルズ(USA) 42,000pt
「Vans Triple Crown」公式サイト
http://www.triplecrownofsurfing.com(PC用)
photo: ASP Covered Images
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