【現地コラム】宮城県・仙台②
2011-04-26 更新
東北地方を中心に、各地に大きな爪あとを残した「東日本大震災」。現在も避難生活と懸命な復興活動が続いていますが、定期的なコラムとして、各地の現状などをお届けします。
宮城県・仙台
第2回 受け止められない現実
買い置きをしない我が家の冷蔵庫には食べ物がほとんど無く、近くの避難所へ食料をもらいに並ぶものの、自分達の手前で配給は終了。
唯一開いていたコンビニに2時間半並んだ末、買い物制限の中、なんとかカップラーメン3個を買えて、朝食をとる事が出来ました。
その後、店の様子が気になり家族3人で店へ向かうが、途中の道は地盤沈下や亀裂でボコボコ。
大きな交差点も信号が付いてないので、譲り合いながらトロトロ運転で走り、倒壊や傾いたりしているビルを見ながら店へ着くと・・・
津波は店の1キロ手前で止まっていて、なんとかお店は無事でした。
たぶん東北道と三陸道の間の東部道路(沿岸沿いの高速)が津波をある程度ブロックしてくれたんだと思います。
でも、一日中続いた大きな余震で、店の外は更にメチャメチャ、店内はグッチャグッチャで、どこから手を付けたらいいのか?わからないほど悲惨な状態。
停電で暗い店内を、懐中電灯で照らしながら、ガラスや陶器の破片、床にこぼれた灯油やリムーバーなど、危険な物から少しずつ片付け始めました。
やっと足の踏み場を作った時に、裏のスーパーが開店した!という情報を聞いて、急いで息子と並んだものの、すでに300人を越える長蛇の列。
4時間並び、買い物制限の中、少ない食料を買う事ができたけど、育ち盛りの子供がいるのに買い置きもせず、非常時になる事なんて考えずに暮らしていた事に自己嫌悪。
寒い中、何時間も一緒に並ばせてしまって、親として本当に申し訳なかったと思いました。
その後は店に戻り、掃除を再開。
毎日通っていた新港Pの事が、すごく気になってたけど・・・。津波警報は解除されず、ガソリンもほとんど無くて、海まで行けない状態。
地震と停電でほとんどのガソリンスタンドは閉店していて、唯一開いてた所はスーパー以上の長蛇の列でした。
ガソリンを諦めて、給油できたら海を見に行こう!と思っていたら、偶然にも新港近くを通った人がお店に来て、どんな様子か教えてくれました。
自分の想像を超えた、悲惨で無残な状況。
写真は地獄絵図で愕然としました。
これが現実!? 信じられない・・・
茫然として手が動かない。片付ける気力がなくなり、この日は途中で家へ戻りました。
何もする気になれなかったけど、水が出ないので仕方なく近所の小学校へ。
ポリタンクを持って給水車の方へ走っていくと、すでに給水は終了し片付けを終えて去って行きました。
便利なのが当たり前の暮らしから、電気、ガス、水道、電話、携帯のライフラインが寸断された生活。
情報源はラジオだけで、物不足にガソリン不足、周りの人の安否確認もできず不安はつのるばかり・・・。
ラジオから福島第一原発事故のニュースが流れてきたけど・・・
放射能の恐怖より、現状の不安、受け止められない現実の方が、この時は強かったかも知れません。
...続く
--------------------宮城県仙台市若林区
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熊谷素子
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