「ウエストジャワ 2011春③」
2011-06-01 更新
ホテルに帰ってのんびりとした時間を過ごし、この日の夜中に僕らはホテルをチェックアウトして車を走らせた。目的地はタートルズ。この一帯のウネリが小さい内に行っておきたかったからだ。
この付近にはママズロスメン、オンバックトッジュなど、ウェストジャワを代表するポイントが点在する。
道中はガタガタ道が続き、非常に乗り心地が悪い。
タートルズに近づくと、蛇行している川を2度ほど横断しなければならないし、川を渡ったところは砂地で、下手をすればスタックしそうだ。
案の定、砂にタイヤがハマってもがいている車があった。
雨が続いて川が増水すれば陸の孤島になることが想像出来る。
周りはほとんどジャングルだ...。
アグースに、「この辺はマラリアとかあるんじゃないの?」と聞くと、「あ〜、この前オージーがマラリアになったって言ってたねぇ」とさらりと返してきた。
僕も了ちゃんも顔を見合わせてすぐさま虫除けを塗る。
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チマジャを出発しておよそ4時間ほどのドライブの末、ようやく明け方近くになってタートルズのポイントに到着した。
このポイントはレフトのブレイクで、サワルナよりもホロー。サイズは胸~頭位で良い感じだ。
ポイントの前にあるワロンで朝食を済ませ、その裏にある典型的なインドネシア式ロスメンにチェックインした。
バルコニーからポイントが見えてロケーションは最高!部屋は綺麗とはかけ離れた感じだけど、近くにビーチがあれば、それだけで問題は無いのだ。
少し落ち着いたところで波を再びチェックすると、どう見ても先程より大きなセットが入り始めていたので、僕は少しためらった...。
ラインナップには誰もいない。
ローカルのアグースはチェックもしないでボードにワックスを塗り、ポイントへ向かおうとしていた。
とりあえず、アグースのライディングを見てから入ろうと思い、彼の後ろに着いて行き、ビーチに体育座りをして沖にラインナップするのを待った。
何本かダンパーの波を見送ったアグースがテイクオフ。フロントサイドの彼はテイクオフと同時にストールすると、そのままチューブの中にプルイン。数秒すると深いチューブからスピットと一緒に出てきてプルアウト。
そのまま沖に向かう彼に容赦なくセットが入ってきた...。
サイズは頭半からダブル位にサイズアップ。上手くテイクオフポジションに戻り、切れた波を捕まえると今度は高速から大きなリッピングを3回ほど決めた。
大きなスプレーがあがり、僕も了ちゃんも思わず声を出してしまった。
アグースはライディングを終えると、そのままスープに乗り、僕らの元に戻ってきた。
そして、「私、怖かったねぇ。ここはこのサイズになるとアブナーイ」と一言。
「でもハルさん、せっかくだから思い出に入ってきたら?」と振ってきたので、僕はキッパリと首を横に振っておいた...。
昼になってもサイズは更に上がるばかりで、もう誰にも手がつけられないような状況になっていた。
どうやら予想よりサイズアップが早まったようだ。
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僕らは仕方なく、数キロ先にあるママズロスメンPを見学に行くと、岸から300m程沖でブレイクしているのが見える。
サイズは8ftから10ft程で、誰もラインナップには居いない。
この周辺にはビッグウェイブ好きな人が喜ぶようなレフトブレイクが他にも数箇所あったが、僕らにはそこにラインナップする勇気など無く、ただ時間だけが過ぎていった...。
このサイズなら、次の目的地セントラルジャワに近いバツカラスもサイズアップが予想出来るので、移動を提案した。
少しためらった後、「OK!でもチマジャに一度戻らなければ行けないよ」とアグース。
「なんで、タートルズはバツカラスに行く途中にあるポイントでしょ?」と聞き返すと、「道がないから戻らなければこれ以上先には進めない」と言う。
これは大きな誤算であった。
僕はインドネシアもある程度はどこの道も整備されていると思っていた。
しかし、ここは都会ではない。ジャングルに入れば野性の象やトラだっているらしい。
ドライバーのジャルには申し訳なかったが、チマジャ経由でバツカラスに向かうことにした。
出発してから12時間は経っただろうか。朝方、車の中で目を覚ますと、バツカラスの近くの町バンダンガランまで来ていた。
この町はちょっとしたビーチリゾートで、白人やインドネシア人のツーリストがパラパラといた。
更に40分。道路が行き止まりになるところにバツカラスのポイントが見えた...。
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日本ではなかなか巡り会えないビッグウェーブが日常にあるインドネシアトリップでは、自分のレベルと目の前の波を照らし合わせ、入るか入らないかの決断をする場面が多々あります。
これは命にも関わる問題。
中級者レベルのハルさんの話は、雑誌に出ているような上級者向けの話よりも現実的で、とても参考になります。
今回は海に入ることを止めたハルさんですが、まだまだ探索は終わりません。
次回のOne Earthをお楽しみに!
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