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史上最高の波に恵まれた『Billabong Pro Tahiti』を制したのは?

2011-08-30 更新
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最高のステージを構えながら、ここ数年は肝心のウネリに恵まれずに本来の姿を現さなかったタヒチ・チョープーでしたが、今シーズンは贅沢なまでのモンスタースウェルがヒット!期間中にはトーインセッションがライブ中継されるなどスペシャルなイベントになり、ファイナルデイもチョープーらしいバレルセッションで幕を閉じました。

ファイナルは10Xのケリー・スレーター(USA)と昨年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したオーウェン・ライト(AUS)のマンオンマン。18歳も年の差がある二人が同じステージに立ち、素晴らしいショーを披露してくれました。
序盤はヒート開始直後にオーウェンがミドルサイズのバレルを抜けて6.17、更に一本の波で2回のバレルインをメイクして7.83とケリーをいきなりコンビネーションに追い込みますが、直後にケリーがキャッチした波はディープ!ハイラインから完全に姿を消した後に飛び出して9.50を返します。
バックアップスコアを探すケリーは、ファイナルでパーフェクト20を叩き出した2005年を彷彿させるような際どいテイクオフを繰り返すものの、メイクには至らず...。
オーウェンリードのままヒート中盤にはオーウェンが9.27を重ねてケリーにプレッシャーを与えます。

しかし、9.50を持っているケリーは落ち着いて波を選び、深いボトムターンからセカンドセクションでのバレルインに成功。8.93を得て逆転!
オーウェンが必要なスコアは9.17。プライオリティを持っているケリーは執拗にオーウェンをマーク。ハイスコアが出そうな波にテイクオフしたオーウェンの前で捨て身のブロックをしたケリーがリップと共に引きずられる珍しい場面も...。ケリーはそのままインサイドまで流されましたが、世界のトップで戦うにはこれほどの執念が必要なのでしょう。
結局、そのままタイムアウトとなり、ケリー(写真下)が今シーズン2度目、タヒチでは4度目の優勝を決めました。

ケリーはファイナル終了後のインタビューで、「セミファイナルからエンジンがかかった感じかな。ファイナルでミスした波も、メイクしていればスコアはデカかったと思う。あのミスはプレッシャーになったね。逆にオーウェンにはプレッシャーを取り除く助けになったんじゃないかな。オーウェンが最後に乗った大きな一本はビッグスコアに結び付く可能性があった。今年は最高のコンディションだったよ。驚くべき1週間だった」とコメント。

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タイトル争いをしているジョエル・パーキンソン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)、アドリアーノ・デ・スーザ(BRA)、ミック・ファニング(AUS)、タジ・バロウ(AUS)が早いラウンドで消えた中で勝利を得たケリーは6位から一気にカレントリーダーの座を手にして「J-Bay」のキャンセルを帳消しに...。
「このイベントは通常と違って早いラウンドを勝ち上がるのが難しいんだ。毎年そうだろ?トップの方の選手があっさりと負けてしまう。ここで結果を出すには最初が肝心なのさ。潮回り、スウェルの向き、全てを考えないと良いスコアが出せないのさ」とケリー。

ケリーがチョープーで強いのは、バレルをメイクする力はもちろん、ファイナルデイまでのゲームプランをしっかりと練っているということでしょう。
ケリーのインタビューを聞いていると他のどの選手よりも哲学的で、明らかにスポーツ選手の枠を越えています。
ちなみにファイナルで乗っていたケリーのボードは5’9。前日のコメントで乗っていた5’11は折れてしまったそうです。

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初めてのファイナル進出でケリーとの対戦。それもASP史上最高レベルの波での戦いに全く動じなかったオーウェン(写真上)
今回は優勝を逃したものの、今シーズン初のレフトのポイントブレイクで披露したライディングはルーキーだった昨年よりも数ランク上のハードルを越えていた印象でした。
「素晴らしいファイナルだったね。オレ達は本当に良い波で全てをやり尽くしたと思う。ケリーがちょっとだけ良い波を乗っただけのことさ。ケリーを祝福するよ。次は負けないけどね(笑)」と残念そうにオーウェンは話していました。

次の第6戦はASP史上初となるNY・ロングアイランドでのイベント。
9月4日〜15日に開催される『Quiksilver Pro NewYork』です。

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昨年11月に32歳という若さで逝ってしまったA.Iことアンディ・アイアンズ(HAW)の弟ブルースは、選手が波に乗っている間、兄のボードを頭上にかざしていました。
ファイナル前にはブルースを始め、ジョエル・パーキンソン(AUS)、ルーク・イーガン(AUS)などがフリーサーフィンを披露するスペシャルプログラムも行なわれ、A.Iに敬意を表して新たに設けられた「Andy Irons Award」にはR5でパーフェクト20をスコアしたジェレミー・フローレス(FRA)が選ばれました。
生前、最後の優勝を決めたこの場所にアンディの魂は残っていることでしょう。

ASPワールドツアー第5戦
『Billabong Pro Tahiti』結果
1位 ケリー・スレーター(USA)
2位 オーウェン・ライト(AUS)
3位 ジョシュ・カー(AUS)、トラビス・ロジー(ZAF)
5位 ジェレミー・フローレス(FRA)、マット・ウィルキンソン(AUS)、ブレット・シンプソン(USA)、ラオニ・モンテイロ(BRA)

2011年ASPワールドツアー
『Billabong Pro Tahiti』終了後のランキング
1位 ケリー・スレーター(USA) 26,950pt
2位 ジョーディ・スミス(ZAF) 26,500pt
3位 ジョエル・パーキンソン(AUS) 26,200pt
4位 アドリアーノ・デ・スーザ(BRA) 22,750pt
5位 オーウェン・ライト(AUS) 21,900pt

『Billabong Pro Tahiti』公式サイト
http://billabongpro.com/tahiti11/(PC用)

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photo: ASP Covered Images

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