『Volcom Fiji Pro』素晴らしいコンディションでフィニッシュ!
2012-06-11 更新

「Volcom」が初めてワールドツアーのメインスポンサーを務めた第4戦『Volcom Fiji Pro』が現地時間6月11日に終了し、ケリー・スレーター(USA・写真上下)がガブリエル・メディナ(BRA)を完全に抑えて優勝!
2008年を最後に3年間ストップされていたフィジー・タバルア島でのイベントですが、会場となった「Cloudbreak」、「Restaurants」共にクオリティの高さは健在。
期間中は10ftオーバーのビッグスウェルも到達し、パーフェクト10が5つもスコアされる素晴らしいコンディションに恵まれていました。
ファイナルデイは公式4-6ftレンジの「Cloudbreak」を使用し、R5からQFの2ヒートが行なわれた前日とは違って風がピッタリと合ったパーフェクトな波で進行。
ケリー・スレーター(USA)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ミック・ファニング(AUS)、C.J・ホブグッド(USA)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、アドリアーノ・デ・スーザ(BRA)と誰が勝ち上がってもおかしくないメンバーの中、ケリーとガブリエルがファイナリストに選ばれました。
ファイナルは序盤に8.33と9.83をまとめたケリーがリード。早々とハイスコアを重ねてガブリエルに大きなプレッシャーをかけます。
ガブリエルも8.60を手に入れるものの、バックアップスコアが足らず、時間だけが過ぎていきます。
ガブリエルが逆転に必要なスコアは9.57。つまり、パーフェクトに近いライディングを出さないと優勝は難しく、かなり厳しいシチュエーション...。
残り10分を切って優先権はケリー。ピークを陣取ってガブリエルを威圧します。
終了間際に入ったセットでもガブリエルはスコアを出せず、タイムアウト!
ケリーはファイナル終了後のインタビューで、「そろそろ彼の勢いを止めないとね。昨年の後半から彼に活躍の場を奪われている。この先20年は彼が強い選手で居続けると思うよ。彼はオールラウンドな実力を持っている。そのことを今回のクラウドブレイク、レストランツで証明したんじゃない?」とガブリエルを称えるコメント。

SFではC.J・ホブグッド(USA)を相手にパーフェクト10を含むトータル19.50のハイエストヒートスコアまで手に入れていたケリー。ケリーの強さは早いラウンドよりも、勝ち上がるに連れて調子を上げながらスコアのハードルを上昇させていく点。
自らとジャッジのマインドの両方をコントロールして優勝を導くタクティクスを備えているからこそ、11回もワールドタイトルを獲得しているのでしょう。
ワールドツアーで勝ち続けるにはサーフィンの技術だけでは無く、頭も良くないと通用しないのです。
パーフェクト10をメイクした波はバレルこそ浅かったものの、驚異的なスピードで完璧なラインを描き、フィニッシュのターンは芸術的な弧。
スピード、パワー、フロー、3つの要素が僅か数秒の間にぎっしりと詰まったライディングでした。
「ここで出来るベストなライディングだったと思う。バレルに加えてターンセクションもバッチリ決めることが出来た。絶好のタイミングでね。最高のキャンバスだったよ」とその波を振り返ったケリー。
第3戦のブラジルをスキップしたために8位まで下げていたランクを2位まで押し上げ、12回目のワールドタイトル獲得の可能性も高まってきました。
「誰だって勝つためにここに来ているんじゃない?優勝を重ねていけば、自然にワールドタイトルは手に入れられる。オレの中では、どれだけ良いサーフィンが出来るかに集中することの方が重要だと感じているんだ。今日は凄い良い波だった。勝つ奴もいれば負ける奴もいる。でも、こんな波でサーフィン出来たんだ。それだけでハッピーだと思うよ」と気が早いインタビュアーに対してケリーなりの意見を返していました。

昨年の後半に彗星の如く現れたガブリエル(写真上)
今シーズンのワールドツアーでは早いラウンドで負けが続いていましたが、5月に開催されたプライム『Nike Lowers Pro』で優勝し、今回のフィジーでは2位と調子を上げ始め、トータルでも29位から13位にランクアップしています。
「結果には満足している。一週間凄い良い波が続いたし、素晴らしいトリップになった。ここまであまり良いシーズンとは言えなかったから、今回ファイナルに進めてとても嬉しいよ。ケリーにはおめでとうと言いたい。彼はイベントを通して信じられないようなサーフィンをしていたね」とガブリエル。
ケリーよりも20歳以上年が離れている19歳のガブリエル。可能性は無限大です。

波数が少ない時間帯に当たってしまったSFのH1。ガブリエルを相手にしていたミック(写真上)は、序盤のワイプアウトも影響してか、僅か3本しか波が掴めず...。
それでも今回の結果でカレントリーダーの座に立ち、ツアーの折り返し地点となる次のタヒチに乗り込みます。
「今朝はリズムに乗れなかった。そりゃーガッカリだけど、あんなヒートもあるよ。レイティングのことは素直に嬉しいけど、まだシーズンは始まったばかりだから、この時点で喜んではいられない。でも、サーフィンは調子良かったし、満足しているさ」とミックは今の心境を語っていました。


C.J(写真上)&アドリアーノのQFはファイナルデイのベストヒートでした。
序盤にクリーンなバレルをメイクして8.33をスコアしたアドリアーノが6.93のバックアップスコアを重ね、ヒートが進行。
C.Jは6.17と彼にしては冴えないスコアしか持っていなかったものの、残り数分でテイクオフした波はもの凄い勢いでC.Jの姿を隠し、スピットと共に吐き出したのです。その自然の力を見事に受け止めたC.Jは片手を上げてジャッジにアピール!
パーフェクトに近い9.97がコールされ、土壇場で逆転に成功したのです。
C.Jはラインナップに戻った後も抑えられない感情を身体全体で表現。この一連のシーンをライブ中継を見て鳥肌が立った方も多いのでは?
「あの波は天の恵みだよ。アドリアーノがスコアを得て、オレのゲームとは言えなかった。アドリアーノに追い込まれていたのさ。今年の彼は凄い調子が良い。全てのイベントでセミファイナル付近まで勝っているんじゃないかな。今回は波が来て上手くモノにした。スコアを聞いた時は興奮したね」とC.Jは一生記憶に残るような波の余韻にひたりながら話していました。
次のASPワールドツアー第5戦は8月16日〜27日にタヒチで開催される『Billabong Pro Teahupoo』です。
その前には6スターにグレードダウンした「J-bay」での『Billabong Pro』、真夏の祭典、プライム『Nike US Open of Surfing』が開催されます。
ASPワールドツアー第4戦
『Volcom Fiji Pro』結果
1位 ケリー・スレーター(USA)
2位 ガブリエル・メディナ(BRA)
3位 ミック・ファニング(AUS)、C.J・ホブグッド(USA)
5位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、タジ・バロウ(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、アドリアーノ・デ・スーザ(BRA)
2012年ASPワールドツアー
『Volcom Fiji Pro』終了後のランキング
1位 ミック・ファニング(AUS) 24,750pt
2位 ケリー・スレーター(USA) 23,700pt
3位 ジョエル・パーキンソン(AUS) 23,700pt
4位 アドリアーノ・デ・スーザ(BRA) 22,400pt
5位 タジ・バロウ(AUS) 22,400pt
『Volcom Fiji Pro』公式サイト
http://volcomfijipro.com/(PC用)
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photo: ASP Covered Images
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