世界最大のサーフイベント『Nike US Open of Surfing』を制したのは?
2012-08-06 更新

現地時間8月5日、イベント全体の規模で考えると世界最大となる『Nike US Open of Surfing』が終了!
会場のハンティントンビーチはASPプライム、ウィメンズワールドツアー最終戦の最後の勝負を観戦するために上空から見ると隙間がほとんど無いくらいの沢山のギャラリーが集まり、沖に向かって長く延びたピアまで人・人・人!
波の方は南西のグランドスウェルがダウン傾向となってしまい、風の影響もやや入った典型的な夏のハンティントン。
こうなると強いのがエアリアルを得意とする選手で、ミゲル・プーボ&ガブリエル・メディナのヤングブラジリアンがもの凄い勢いでハイスコアを連発してSFまで進出。
SFでも二人の勢いは止まらず、ミゲルは今イベントのディフェンディングチャンピオン、ケリー・スレーター(USA)を倒してファイナルへ。
ガブリエルもジュリアン・ウィルソン(AUS)を相手にラスト数分までリードして両者の対決が濃厚になっていましたが、終了直前にジュリアンが8.37を返して大逆転!
ミゲル vs ジュリアンのファイナルマッチ。
MC軍にはケリーにロブ・マチャドというこれ以上ないような豪華さで30分の戦いがスタート。
ファイナルで主導権を握っていたのはジュリアンで、序盤に9.13、中盤に7.50を重ね、トータル16.63。早くもミゲルをコンビネーションスコアに追い込みます。
後半、ミゲル父と沢山のブラジリアンサポーターが見守る中、ランプセクションから勢い良く宙に舞ったミゲルは高さのあるローテーションを着地までキッチリと決めて8.93。割れんばかりの大歓声が鳴り響きます。
しかし、ミゲルがこの時点で逆転に必要なスコアは7.71とまだまだハードなシチュエーション。
ジュリアンは最後に目にも留らぬ早さでバックハンドリップを刻み、ダメ押しの8.40を重ねて『Nike US Open of Surfing』初優勝を決めたのです!

「最高の気分!ファイナルは素晴らしいスタートを切れた。あれがミゲルを抑えた決め手になったんだと思う。彼はレフトを狙っていたから、そこに狙いを定めてプレッシャーを与えていたのさ。彼が8.93を得た時点で時間はまだたっぷりあったし、振り出しに戻った感じだった。波が途切れてしまってチャンスは僅かだったけど、最後はとにかく波が来ないように祈っていたよ」とジュリアン。
『Nike US Open of Surfing』の特徴はなんと言ってもギャラリーの多さ。更にお祭りのような独特の雰囲気にも呑まれてしまう選手が多く、いかに冷静さを保つかも勝負の決め手になります。
「このイベントは家を建てるような感じで挑んだのさ。全てのヒートを最後まで気を抜かずに戦い切り、勝ち上がる気分は最高だった。ファイナルがピークになったとは言えないけど、良いスタートを切れて良い波を2本掴めたのは間違いないね」とイベントを振り返ったジュリアン。
2011年にワールドツアーの仲間入りを果たし、ルーキーイヤーで9位という素晴らしい成績を残しているジュリアン。
今シーズンはブラジルとフィジーで5位に入り、現在10位。プライム、スターイベントを含めたワールドランキングは8位とまずまずのシーズンを送っています。
ガブリエル、ジョン・ジョンなど、同じようなキャリアの選手がワールドツアーの優勝を手に入れているのを横目で見ているジュリアンにとって、プライムよりも上の優勝が早く欲しいところでしょう。

優勝こそ逃したものの、20歳のミゲル(写真上)にとって今回の経験は将来の糧になることでしょう。
特にケリーとのSFは、波数が少ない中での駆け引きにも勝った形なので、負けたケリーの方もかなり悔しそうにしていたのが印象的でした。
ミゲルはファイナル終了後のインタビューで、「素晴らしい1週間だったね。全てのヒートで学ぶべきことがあったし、特にフィリッペ、ケリーとのヒートは良い経験になった。ケリーを倒せても、次に待っていたジュリアンが強敵であることは変わりないと思っていたさ。良い結果の後でも努力は惜しまない。次のタヒチに向けても自分をプッシュし続けるよ」と若いながらしっかりとした意見を話していました。

そんなミゲルに2年連続の『Nike US Open of Surfing』優勝を阻止されたケリー(写真上)は、「ミゲルにカブリエル。彼らは本当に安定したライディングを続けていたね。全てのヒートで9ポイントを出していたんじゃない?そんな彼らを倒すのは容易ではないよ。勝つつもりなら、強引にでも自分のペースに引き込まないと難しい。彼らは小さな頃からこんな感じの波で育ってきたのさ。まさに’お手のもの’なんだ」とコメント。
ちなみにケリーの人気はまだ健在。「ケリーが動くとギャラリーも動く」といった状態で、いつも身動き出来ない程のファンに囲まれていました。

同時開催のウィメンズワールドツアー最終戦は、フランスで5回目のワールドタイトルを確定したステファニー・ギルモア(AUS)がQFの手前、R4で敗退。
レイキー・ピーターソン(USA・写真上) vs カリッサ・ムーア(HAW)のティーンエイジャー同士のファイナルとなり、僅差でレイキーが優勝。
今年がルーキーイヤーのレイキーにとって最終戦で手に入れた初優勝は、しばらく言葉が出ないくらいの嬉しさだったようです。
次のASPビッグイベントは8月16日〜27日にタヒチで開催されるワールドツアー第5戦『Billabong Pro Teahupoo』です。
プライム『Nike US Open of Surfing』結果
1位 ジュリアン・ウィルソン(AUS)
2位 ミゲル・プーボ(BRA)
3位 ケリー・スレーター(USA)、ガブリエル・メディナ(BRA)
ウィメンズワールドツアー最終戦
『Nike US Open of Surfing』結果
1位 レイキー・ピーターソン(USA)
2位 カリッサ・ムーア(HAW)
3位 マリア・マニュエル(HAW)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)
2012年ASPウィメンズワールドツアー最終ランキング
1位 ステファニー・ギルモア(AUS) 48,400pt
2位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 43,400pt
3位 カリッサ・ムーア(HAW) 40,700pt
4位 タイラー・ライト(AUS) 36,700pt
5位 コートニー・コンローグ(USA) 36,700pt
『Nike US Open of Surfing』公式サイト
http://www.usopenofsurfing.com(PC用)
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photo: ASP Covered Images
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