『Hurley Pro』を制したのはあの男だ!
2012-09-21 更新

全10戦で争われる2012年のASPワールドツアー。前半戦は2Xのミック・ファニング(AUS)が2勝を上げてカレントリーダー、僅差でジョエル・パーキンソン(AUS)が追い、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ケリー・スレーター(USA)がそれに続く形で折り返していました。
後半戦のファーストイベント第6戦『Hurley Pro』はフランス、ポルトガル、サンタクルーズ、最終戦のハワイに向けての重要な鍵。
特に12Xを狙うケリーにとっては、ここで結果を残さないとモチベーションの意味でも次に続かないことが考えられるため、ヒート毎に行なわれるインタビューにもただならぬ意気込みが感じられました。
ファイナルデイは、そのケリーがQFでエイドリアン・バッカン(AUS)を倒し、SFではカレントリーダーのミックに対して圧勝。公式3-5ftレンジのグッドコンディションにも関わらず、ミックがコンビネーションスコアに追い込まれるとは誰が想像したでしょうか?
もう一人のファイナリストはパーコ。親友ミックの汚名返上、そして自身初のワールドタイトルのためにファイナルまで駆け上がってきました。
ファイナルは序盤にケリーが6.77と7.33をまとめて主導権を握ります。
今イベントはエアリアルよりもしっかりとレールを使用したカービングにハイスコアが出やすい傾向。
ローワー・トラッセルズのフェイスが次々とえぐられていく姿は爽快でした。
ケリーリードのまま迎えた後半、パーコは独特のスタイリッシュなライディングで8.33を返しますが、ケリーの勢いは止められず...。
ラスト数分には8.67をマークし、トータル16.50 vs 14.00でパーコを見事に抑えてローワー・トラッセルズでは6回目の優勝。ワールドツアーでは通算50勝目を決めて後半戦のタイトル争いにも大きな一手となりました。
「とても疲れたね。パーコは凄い調子が良さそうだったから、開き直った気持ちでアウトに出たよ。彼は全てのラウンドで素晴らしかった。昨日はメディナ(ガブリエル)を分からせたし、どの選手に対しても圧勝だった。ファイナルはベストの波だけを掴んで手を出し過ぎないように心掛けたんだ。波が止まってしまってオレの優先権が無くなったのにジョエルは波を掴めなかった。ジャッジがあんな判断をするのは初めてさ。あれがターニングポイントだったと言える。流れがオレに向いた瞬間。優勝したイベントは全てそんな時があるんだ」とファイナルを振り返ったケリー。
中盤、ケリーが優先権を失ってからの攻防は公式サイトの「ON DEMAND」を見て頂ければ分かりますが、必死に抗議するパーコの姿を見るとケリーの言う通りに重要なポイントだったと言えます。
とっさの判断で上手く心理的な部分をついてきたケリーの戦略にも脱帽です。


11Xを達成した昨年と違い、今シーズンはブラジル戦の欠場、タヒチでの13位が響いて4位に甘んじていたケリーでしたが、今回の結果によって3位にランクアップ。
2012年のワールドツアーが10戦中、8戦のポイントが有効になることを考慮するとカレントリーダーのミックと同じく2回の優勝を積み重ねたケリーが逆転するチャンスは十分にありそうです。
「今回のファイナルはタイトル争いに残れるか、落とされるかの瀬戸際だった。この優勝でパーコよりも2,000ポイント多く稼げたよ。もし、彼が勝っていたら逆になってランキング的にとても難しい立場に立つことになったと思う。これでヨーロッパ行きが楽しみになった。ロワーズでは良い成績を重ねているけど、プレッシャーになる部分もある。まあ、ツアー自体がプレッシャーの固まりだけどね。ここで50勝目を上げるなんてクールさ。プロになって初優勝もここなんだ。素晴らしい勝利になったよ」と話していたケリー。
ちなみにケリーがファイナルデイで使用していたボードはR1同様にクワッド(4フィン)でした。
FCSとの契約が切れ、今後は自らでフィンのブランドを立ち上げるという噂もあります。


イベントを通して続いたパーフェクトなローワー・トラッセルズ。世界のトップ選手が真っ白なキャンバスに自由なラインを描く表現力の勝負。
結果的には負けたものの、パーコ(写真上)は今イベントのベスト2スコア、9.93と9.87を叩き出し、最高のアーティストとして認められたと言えます。
「ファイナルに残れただけでも良い結果さ。タヒチの負けは傷ついたけど、今回はちょっとマシかな。調子も良かったし。パドルアウトする度に沢山の波に乗った。ケリーはあまり波に乗れてなかった感じがして、オレの’おまじない’の力が強かったかなと思ったね。ファイナルもスローな展開だった。母なる自然を1週間感じていたのに最後に期待を裏切られたよ」と苦笑いしていたパーコ。
パーコはこれで3度目のファイナル進出ですが、まだ優勝は無し。タイトル争いでは2位をキープしているのにも関わらず、最後を決められないシーズンでもあります。
初のワールドタイトル獲得。まだ道は険しいことを本人が一番理解しているでしょう。

ミック、パーコ、ケリー、ジョン・ジョン。残りイベント数とポイント差から考えるとこの4人がタイトル争いの主役になりそうです。
次の第7戦は9月28日〜10月8日にフランス・西海岸で開催される『Quiksilver Pro France』です。
ASPワールドツアー第6戦
『Hurley Pro』結果
1位 ケリー・スレーター(USA)
2位 ジョエル・パーキンソン(AUS)
3位 ミック・ファニング(AUS)、エイドリアーノ・デ・スーザ(BRA)
5位 タジ・バロウ(AUS)、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
2012年ASPワールドツアー
『Hurley Pro』終了後のランキング
1位 ミック・ファニング(AUS) 41,250pt
2位 ジョエル・パーキンソン(AUS) 39,700pt
3位 ケリー・スレーター(USA) 35,450pt
4位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 32,650pt
5位 エイドリアーノ・デ・スーザ(BRA) 30,650pt
『Hurley Pro』公式サイト
http://www.hurley.com/hurleypro/(PC用)
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photo: ASP Covered Images
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