トリプルクラウンの初戦はカウアイボーイが制した!
2012-11-25 更新

ハレイワ・アリイビーチパーク、サンセットビーチ、パイプラインの3つの舞台の総合で争われる『Vans Triple Crown of Surfing』は今年で30周年。
歴史ある今イベントの栄冠はハワイアンならもちろん、コンペティションに生涯を捧げているサーファーなら誰もが欲しい名誉。
今シーズンは久々にケリー・スレーター(USA)もエントリーして3度目の栄冠を狙っています。
ちなみに今年のトリプルクラウン獲得者には副賞としてゴージャスなカスタム・スプレーが施された「ハーレーダビッドソン」とダイヤモンドが散りばめられた「ニクソン」のスペシャルウォッチが贈られるそうです。
現地時間11月24日にはファーストイベントの『Reef Hawaiian Pro』が終了。
注目のケリーはRound of 32で波数が少ないヒートに当たってしまい、不完全燃焼のまま敗退。
先日の4スター『HIC Pro』を20年振りに制して7度目のトリプルクラウンを狙うサニー・ガルシア(HAW・写真下)はSFのクロスゲームで土壇場に逆転されてしまい、5位でフィニッシュ。
ファイナル進出は逃したものの、今年になって15キロも絞った肉体から繰り出すパワフルなターンは現役時代に戻ったようでした。
ちなみにサニーを逆転したフレッド・パターチア(HAW)と一触即発の場面も...。
これもサニーらしさと言えるでしょう。
(すぐにツイートとinstagramで和解の報告があり)

ファイナルに残ったのは昨年のトリプルクラウンを最年少で獲得したジョン・ジョン・フローレンス(HAW)を始め、フレッド、アレホ・ムニーツ(BRA)と世界のトップ34のメンバーに、ほぼ無名のカウアイボーイ、セバスチャン・ズィーツ(HAW)を加えた4人。
35分のファイナル。序盤は4人共にロースコア止まりのスロースタートでしたが、セバスチャンがローテーションをメイクして6.33。更にハワイアンらしい大きなマニューバーを描き、8.33を重ね、トータル14.66。2位以下をコンビネーションに追い込み、主導権を握ります。
後半、ジョン・ジョンがリズムを掴んでバリエーション豊かなターンを披露。9.20、5.50を立て続けにスコアして一気にトップに!
残り時間が僅かとなり、このままジョン・ジョンが優勝か?と多くの人が予想したと思います。
しかし、この日のセバスチャン(写真最上部・下)の勢いは止まらず、ラスト数分に再び大きなマニューバーを魅せて9.43を返し、逆転優勝!
ビーチに戻ると体全体で喜びを表して興奮気味にインタビューに答え、仲間に担がれて表彰台へ。

「ここに来てから調子が良くて勝つ自信もあった。とにかくサーフボードとの相性が良くてね。ずっと怪我に悩まされてきたけど、やっと回復したんだ。ただ自分自身を信じて優勝出来たことに’スーパーストーク’さ。誰が対戦相手でも自分との戦いと思い突き進んだよ」と笑顔でコメントをしていたセバスチャン。
4スター『HIC Pro』でファイナルまで残った日系ハワイアンのグレッグ・ナカムラの時もそうですが、ほぼ無名の選手が活躍すると会場は大いに盛り上がり、ライブ中継を通しても熱狂が伝わってくるほどでした。
グレッグとの違いは、ほぼ無名とは言ってもセバスチャンはスターイベントで着実にポイントを重ねており、今回のプライム優勝で得た6500ポイントでワールドランキング21位に浮上したこと。
更にトリプルクラウンのリーダーとなり、残り2戦の結果次第では最終戦のパイプラインの表彰台で最高の栄誉を受ける可能性も...。
「クオリファイに関しては真剣に考えていたけど、まさかトリプルクラウンを争うとは想像もしなかったね。次のサンセットはオレにはトリッキーな波だし、あそこで上手くやったことはない。でも、今回のハレイワでだって今までは結果を残せなかったんだから、今年こそはっ!て可能性はある。もし、パイプラインまで繋げることが出来たら、もう有頂天になるだろうね。あそこでコンテストをやるのは大好きさ」とクオリファイやトリプルクラウンに関して話していました。
カウアイ島出身のサーファーと言えば、今は亡きアンディ・アイアンズが一番に思い浮かびますが、セバスチャンのスタイルはどことなくアンディに似ていると感じました。

ハイスコアが連発したSFでは9.00を2本も手にして18.00のハイエストヒートスコアをマークしたジョン・ジョン(写真上)
ファイナルでも後半の追い上げは凄まじい勢いでしたが、僅かな差で優勝をセバスチャンに譲ってしまいました。
ファイナル終了後のインタビューでは、「セバスチャンが優勝したことはオレにとってもハッピーだし、来年はツアーに入れそうなんでしょ?ツアーにハワイアンが増えるのは嬉しいね。特に彼みたいなポジティブで周囲を明るくしてくれるハッピーな人は大歓迎さ。年上の選手から学ぶことは多いし、毎年それが積み重なっていくと感じている。ヒート毎に新しいことを学び、負ける度に違う点を学ぶ。彼らとの対戦でミスをするとすぐに負けに繋がるんだ」と話していました。
100,000USドル(日本円にして約820万円)というスペシャルボーナスが用意されたトリプルクラウンについては、「確かにボーナスを貰うのは嬉しい。凄いストークもするけど、本当に欲しいのはトリプルクラウンの栄冠さ」と話していました。

『Vans Triple Crown of Surfing』のセカンドイベントはサンセットに舞台を移動して11月25日〜12月6日に開催される『Van’s World Cup』です。
『Reef Hawaiian Pro』結果
1位 セバスチャン・ズィーツ(HAW)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 フレッド・パターチア(HAW)
4位 アレホ・ムニーツ(BRA)
『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
http://vanstriplecrownofsurfing.com/(PC用)
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photo: ASP Covered Images
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