『Billabong Pipe Masters』最高のコンディションでスタート!
2012-12-08 更新

現地時間12月8日、ASPワールドツアー&トリプルクラウンの最終戦『Billabong Pipe Masters』がオアフ島・ノースショアのバンザイパイプラインでスタート!
昨年は初日からセカンドリーフ〜サードリーフで割れるナーリー(危険)コンディションとなり、イベント開始から僅か3日間でファイナルまで辿り着いてキーレン・ペロー(AUS)が初のパイプマスターの称号を手に入れていました。
今年は新たに到達した西北西ウネリがアップしてくるのを待ってお昼頃からゴーサインが出され、公式4-6ftから午後には6-10ftレンジまで変化があり、夕方にはセカンドリーフもヒット!
トレードウィンドによって整った最高の舞台に世界のトップ選手達が猛烈なチャージを繰り返し、R2のH3まで進行しました。
『Billabong Pipe Masters』は通常のイベントと異なり、R1は下位10人の選手とパイプラインのスペシャリスト14人がマンオンマンのヒートを2つ同時に行なう「デュアルフォーマット」で対戦。
敗者復活戦が無いため、R1敗退で早くも姿を消すことになります。
R2は13位〜24位の選手とR1の勝者が戦い、R3にやっと普段レッドジャージを着ているトップシードの選手が登場。

今年はバッドシーズンを送っているキーレン(写真上)が奇しくもファーストヒートにクジレットされ、エバン・ヴァリエ(HAW)と対戦。
序盤に掴んだセットで豪快なパーリングをしてサーフボードを真っ二つに折りながらも8.17を含むトータル15.00をスコアしてラウンドアップを果たし、昨年のパイプマスターに恥じない戦い振りを見せていました。
「まるでファイナルみたいだったよ。エヴァンがデカイ波を抜けてくると予想していたんだ。彼はこの場所で素晴らしいサーファーの一人だからね。一番大きなセットが入った時、オレ達はポジションが悪かった。彼も乗れずに済んだことが救いだったよ。最初から難しいヒートだったけど、勝てて嬉しいね」と最初の難関を突破した感想を話していたキーレン。
序盤に折れたサーフボードの件については、「6’2”のボードを2本持っていたけど、1本は最初に折ってしまった。あのボードは6’6”と同じ働きをするようなシェイプだったんだ。もう1本はそれよりも小さく、乗り馴れてなかったけど、何本かの波は良い感じに乗れたし、スコアも出せたよ」とコメント。
波が上がり始めの最初のヒートは、まだ砂が溜まっているパイプラインよりもバックドアの方が狙い目でしたが、キーレンは状況を判断しながら両サイドでスコアを伸ばしていました。

次々と登場するパイプラインのスペシャリストでも波との相性が完璧に決まって素晴らしいバレルライドを魅せていたのはカラニ・チャップマン(写真上)、ジェイミー・オブライエン、シェーン・ドリアンの3人。
特にカラニはR1でティアゴ・ピレス(PRT)をコンビネーションスコアで敗り、R2でも面白いようにバレルをくぐり抜け、エイドリアン・バッカン(AUS)を抑えてR3へ。
「優先権がある最初のヒートの内にとにかく沢山の波に乗りたかった。ゲームプランはスタートを出来るだけ良くすることかな。その通りになってストークしたし、毎回こんな感じに進むことを願っているよ」とカラニ。
鮮やかなイエローカラーのサーフボードは他の選手よりも長く、この日のようなコンディションでは鬼に金棒。
それでもカラニの肘にはリーフにヒットした跡が残っており、この舞台での激しい勝負を象徴していました。
「波をキャッチしやすくするため、いつも大きなボードに乗っている訳では無いさ。時にバレルの中で前に押し出す力を大きなボードは助けてくれる。今回はまさにそれ。上手くいったよ。コンテストでサーフィンしていること自体が夢でもあり、ストークしている。勝っても負けても楽しくて仕方ないよ」と話していたカラニ。
この日のようにコンディションが決まったパイプラインは、トッププロ、ヘビーローカルが集結し、世界一の混雑したラインアップになります。
例えコンテストとはいえ、4人で独占出来るだけでも参加した意味が十分にあります。
夕方、最終ラウンドが近づくにつれて続々とローカル達が集まり、終了直後からスペシャルセッションが行なわれたと言えば、このブレイクの魅力が分かって頂けると思います。

ハレイワでの『Reef Hawaiian Pro』で優勝し、サンセットでの『Van’s World Cup』で3位に入り、30周年記念の『Vans Triple Crown of Surfing』に最も近い選手、シーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW・写真上)はパイプラインでも好調さをキープしており、後半に立て続けにバレルをメイクしてグレン・ホール(IRL)を抑えてR2へ。
「あのヒートではワイプアウトのことで頭が一杯になってしまい、危なかったよ。後半に数本の波を見つけて助かったけどね。パイプラインに感謝したい。ハレイワで優勝し、名だたるメンバーと肩を並べることが出来て光栄さ。今まで結果を残せなかったサンセットでもファイナルまで進め、夢が実現に向かっている。このパイプであといくつかのヒートを勝てば...。ほんと、どうなるんだろうね」とシーバス。
今は亡きアンディ・アイアンズのメモリアルイベントにもなっているこの舞台で同じカウアイ島出身のシーバスがトリプルクラウンを獲得する可能性は非常に高いと言えます。

パーコ、ケリー、ミックのワールドタイトル争い、トリプルクラウンばかりが『Billabong Pipe Masters』のストーリーではありません。
最終戦となる今イベントは下位の選手にとって来年もツアーに残れるかどうかの瀬戸際なのです。
現在29位のヤディン・ニコル(AUS・写真最上部)はR1をクリアしてリクオリファイに繋げましたが、テイラー・ノックス(USA・写真上)はビリー・ケンパー(HAW)に敗れ、22年の選手生命に終止符を打つことに...。
海から上がった後はケリー、ロブ・マチャド、パット・オコーネルなどテイラーと共に一時代を築いた仲間達と引退の花道を飾っていました。
これでツアーの最年長はケリーの40歳。それでもなおタイトル争いをしているのですから、ケリーの偉大さは計り知れません。
その他にR1を通過した選手はコロヘ・アンディーノ(USA)、フレッド・パターチア(HAW)、アダム・メリング(AUS)、リカルド・ドス・サントス(BRA)、デーン・レイノルズ(USA)
3ヒートだけ行なわれたR2ではカラニの他にビリー・ケンパー(HAW)、CJ・ホブグッド(USA)が勝ち上がり、ジェイミー・オブライエン(HAW)は惜しくも敗退...。

なお、今年も日本語でのライブ中継が配信されており、メインMCの脇田貴之&関本海渡の分かりやすい解説に加え、この日はゲストにトム・カレンやオッキーことマーク・オキルーポまで登場する豪華さ。
もし、ライブ中継を敬遠している方がいれば、ぜひこの機会に公式サイトにアクセスしてワールドツアーの素晴らしさを知って欲しいと思います。
ネクストコールは現地時間9日の早朝6時30分で8時にスタート予定。
(ライブ中継は日本時間10日の早朝〜お昼前)
西北西ウネリのピークは現地時間8日夜〜9日前半となる予報。
『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
http://vanstriplecrownofsurfing.com/(PC用)
『F+ SURF』では、独自のコンテストレポートや、日本語字幕付きASPオフィシャル動画が見れます。
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photo: ASP Covered Images
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