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『Billabong Pro Teahupoo』は最高のファイナルデイに!

2013-08-19 更新
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全10戦で争われる2013年のASPワールドツアー。後半戦のファーストイベント、第6戦『Billabong Pro Teahupoo』がタヒチ・チョープーで開催され、現地時間8月18日に終了。
日照時間が無いタヒチでのイベントは通常よりも早くスケジュールが進行するため、僅か3日間でイベントはフィニッシュ。

公式4-6ftレンジのグッドコンディションで進行したファイナルデイ。R3のH9からファイナルまでの19ヒートのほとんどでチョープーは素晴らしいバレルを形成し、2つの10ポイントに加え、9ポイント台が続出。
イベントを通して言えることですが、これだけハイスコアが出てしまうと9ポイントや、QFのジョン・ジョンのように10ポイントを出しても負けてしまうことがあり、運が勝負を左右する展開でした。

ファイナルはカレントリーダーのミック・ファニング(AUS)を敗ったエースことエイドリアン・バッカン(AUS)と過去に今イベントを3度も制しているケリー・スレーター(USA)のカード。
序盤は9.67をスコアしたエースが主導権を握り、強引とも思えるストールでバレルの滞在時間を延ばしたケリーのスコアは7.67止まり。後半、エースが9.27。ケリーが9.10をスコアして試合が動きましたが、依然トップはエース。
残り時間僅か。逆転に必要なスコアが9.84というシチュエーションでライトにテイクオフしたケリー。ディープな位置に留まり、そのまま見事にメイクしますが、8.80と意外にスコアは延びず...。
これが最後のライドとなり、トータル18.94 vs 17.90でエース(写真最上部・下)が逃げ切る形で優勝を手にしました。

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「この勝利、信じられないね。ケリーは凄い人だし、最後には逆転されるだろうなと恐れていたんだ。オレはライト方向には突っ込めない...。でも、やるべきだったのかな(笑)。まだ信じられない。優勝だなんてピンとこないよ。なんて素晴らしい日なんだろう。ファイナルが終了する5分前には太陽も顔を出したんだ。今、全てのことが本当に特別な感じだよ」と放心状態でインタビューに答えていたエース。

優勝は2008年のフランス戦以来、2度目。前回のファイナルもケリーと戦い、僅差で勝利を掴んでいました。

オーストラリアの東海岸、美しいビーチブレイクの「Avoca Beach」出身のエース。
2006年にツアーの仲間入りを果たしてから7年間でランキング6位が最高位。タイトル争いには無縁の選手ですが、今回はチョープーとの相性が良く、誰よりも運が良かったことが勝因の一つとして数えられるでしょう。

「今日はステップアップすると思っていたんだよね。ビッグネームを倒す必要がある中、パドルアウトする度に’ただ2つの波を掴むだけだよ’って自分に言い聞かせていたんだ。この考えが全てのヒートで良い方向に働いたのさ」とコメントを残したエースは今回の優勝で18位から10位にランキングを上げています。

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2007年、2005年、2011年と3度もタヒチのイベントを制しているケリー(写真上)ですが、41歳になった今年、R4からファイナルまでの5ヒートをこなしたのは体力的にハードだったと思います。
更にQFではケリーにしては珍しいヘビーなワイプアウト。R4ではライトの波をメイク出来ず、かなり浅い場所にハマってしまい、一旦はジェットスキーに救助されたものの、強烈なホワイトウォーターの餌食になり、危うくジェットスキーの下敷きになりそうな危険な場面も...。

それでも最後の最後に再びライトのバレルにトライして見事にメイクしてきたのはさすがと言えます。

ファイナル終了後のインタビューでケリーは、「今日はワイプアウトでひどい打ち方をしたんだ。肩を脱臼しかけたけど、今はマシになったね。波は本当にファンだったさ。エースは良いスタートを切り、特別な2本に乗ることが出来た。1本でも乗っていればオレが勝てたかも知れなかったけど、エースは一日を通して本当に良いサーフィンをしていたからね。彼は優勝に値するよ」とコメント。

今シーズン3度目の優勝は逃したものの、タイトル争いではカレントリーダーだったミック・ファニング(AUS)がSFで敗れたため、再びトップの座へ。

「トラッセルズ、ヨーロッパにパイプ。過去を見てもオレにとっては有利だよね。まだ僅差だし、シーズン後半は面白くなりそうだよ」とケリー。

例年に比べて突出した選手がいない今シーズン。ケリーも1戦毎にトップが入れ替わるようなクロスゲームの方がモチベーションが保てるのかも知れません。
9月15日〜21日にカルフォルニアのローワー・トラッセルズで開催される『Hurley Pro』、フランス、ポルトガルと続くヨーロッパレッグ、そして最後のパイプラインとどれを取ってもケリーには得意の場所。
すでに頭の中では12度目のワールドタイトルに向けて緻密な計算が行なわれているのかも...。

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なお、2010年にこの世を去り、彼自身タヒチでの最後のイベントを優勝で飾ったA.Iことアンディ・アイアンズに敬意を表して作られた「Andy Irons Award」は2つの10ポイントをスコアしたジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真上)に与えられました。

2011年はパーフェクト20をスコアしたジェレミー・フローレス(FRA)、2012年は12年の歴史で初の2年連続ワイルドカードを取得したリカルド・ドス・サントス(BRA)が受賞したこの賞。初めてAIと同じハワイアンが称えられました。

「AIの賞を授与されて本当に光栄さ。彼は先輩だし、オレの友人もみんな彼を見て育ったんだ。みんなAIが亡くなって寂しがっているよ。オレ達は今でも彼が海でやってきたことを覚えているのさ。このイベントではもっと良い成績をおさめたかった。それでもこの賞を授与されたことはオレにとって特別なこと。次も楽しみだよ」とジョン・ジョンは彼らしい落ち着いた表情で話していました。

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合計6つの10ポイント。8、9ポイント台がアベレージスコアになった素晴らしい今イベントは公式サイトの「HEAT ANALYZER」で全て振り返ることが出来ます。
ライブ中継を見逃した方はもちろん、世界最高峰のサーフィンレースでもう一度興奮したいという方はぜひチェックしてみてください。

ASPワールドツアー第6戦
『Billabong Pro Teahupoo』結果
1位 エイドリアン・バッカン(AUS)
2位 ケリー・スレーター(USA)
3位 ミック・ファニング(AUS)、カイ・オットン(AUS)
5位 ジョシュ・カー(AUS)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、フレッド・パターチア(HAW)

2013年ASPワールドツアー
『Billabong Pro Teahupoo』終了後のランキング
1位 ケリー・スレーター(USA) 38,950pt
2位 ミック・ファニング(AUS) 37,900pt
3位 ジョエル・パーキンソン(AUS) 30,700pt
4位 ジョーディ・スミス(ZAF) 29,200pt
5位 タジ・バロウ(AUS) 25,400pt

『Billabong Pro Teahupoo』公式サイト
http://www.billabongpro.com/tahiti13(PC用)

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photo: ASP Covered Images

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