トリプルクラウン第2戦はハワイアンが制した!
2013-12-02 更新

ハレイワ、サンセット、パイプラインとノースショアを代表するスポットで争われるハワイの伝統的イベント、トリプルクラウン。
初戦はミシェル・ボウレズ(PYF)がパワフルなライディングでハレイワの波を料理して自身2度目のイベント制覇を成し遂げていました。
第2戦のサンセットはアーリーラウンドから大きなウネリが入り、Round of 96が行なわれた29日は20ftクラスの西北西ウネリがヒット!このウネリがゆっくりとダウン傾向の中、3日連続でヒートが進行して現地時間12月1日にファイナルが終了。
10月のポルトガル戦以来、久々に姿を見せたケリー・スレーター(USA)は、Round of 64でチームメイトのデーン・レイノルズ(USA)とヒートをリード。終了間際には禁断のレフトでビッグバレルをメイク。GoPro搭載のサーフボードで迫力ある映像というおまけも付けて会場や世界中のケリーファンを喜ばせていましたが、Round of 32では波運に見離され、あっけなく4位敗退。
このネガティブな空気が伝染したのか、次のヒートではデーンも4位でラウンドアップを果たせず...。

他にもワールドタイトルレースのカレントリーダー、ミック・ファニング(AUS)や、ハレイワを制したミシェルがRound of 64。
トリプルクラウンのディフェンディングチャンピオン、シーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)がQF。
昨年、サンセットを制したアダム・メリング(AUS)や、ノースショアを裏庭にして育ったジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真上)が共にSFでブラジリアンのラオニ・モンテイロとポルトガルのヤングガン、フレデリコ・モライスに敗れるなど、一筋縄ではいかないサンセットの難しさを思い知らされながらファイナルへ。
ファイナルはラオニ&フレデリコの南米、ヨーロッパ勢とベテランのダミアン・ホブグッド(USA)、そして唯一のハワイアン、エゼキエル・ラウ。ハレイワと同じく、全て違う国の選手での4人ヒート。
あいにくの雨模様ながらコナウィンドによって整ったサンセットはまずまずのコンディションに恵まれ、35分のファイナルがスタート。

まずは大勢のブラジリアンクルーの声援をバックに7.83をスコアしたラオニが序盤の主導権を握ります。
ダミアン、エゼキエルも良いライディングを披露してスロースタートからエンジンがかかってきた中盤、ラオニがパワフル&スピーディーなファーストターンをメイクして4.50のバックアップスコアを重ねます。
後半、ここまでで一番のセットを掴んだエゼキエルがサンセットの大きなフェイスに美しいマニューバーを描き、ストールしてバレルを狙いますが、掘れ方が悪く、6.83止まり。しかし、ラスト5分を切って入ったセットでファーストセクションから綺麗にバレルイン(写真上)して8.67!3位から一気にトップに躍り出ます。
終了間際、3位に転落したダミアンがレフトのバレルを手に入れるものの、逆転には届かず、エゼキエルが優勝!
優勝が決まった後、海でビーチで、そして表彰台で感情を爆発させていたエゼキエル。
まだ20歳の彼にとって人生の全ての喜びがこの1勝に凝縮されたと言っても過言ではないのでしょう。
「信じられないね!ヒートを勝ち進む毎に自信が膨らんでいったんだ。オレの流れだと感じ、波運もとても良かった。この自信がファイナルも続き、気持ち的にも強くなれたんだと思うよ」とまずは一言。
6500ポイントと40,000USドルを手に入れたエゼキエルは、ワールドランキング35位とクオリファイの条件には満たないものの、最終戦のパイプラインでのワイルドカード出場を認められました。
「少し自信を高めるために何かが必要だったんだ。今年は大変だったからね、4万ドル(日本円で約400万円)は嬉しいでしょ!ファイナルまで進めただけで素晴らしいこと。更に優勝出来たことで立場が良くなった。オレの頭の中にある自信とゲームプランによると、来年はもっと良い年になると考えているよ」とエゼキエル。
ジョン・ジョン、シーバスと2年連続でハワイアンが獲得しているトリプルクラウンでは、ハレイワで優勝したミシェル・ボウレズ(PYF)と同率首位。次のパイプラインでエゼキエルがミシェルを上回れば、3年連続でハワイアンがトリプルクラウンを手に入れることになります。
その件については、「毎年、ハワイアンがトップに立つべきだと思うよ。これはハワイのイベントだからね。ハワイアンが勝ち続けていることに満足しているし、次の勝負も楽しみさ」と話していました。

ダミアンとラオニ(写真上)に関しては、トリプルクラウンの栄光よりもリクオリファイの方が切実な問題でした。
共にWCTランキングではリクオリファイの条件である22位以内に入っておらず、ワールドランキングでも圏外でしたが、今回の結果によってラオニはワールドランキングを34位から27位に浮上させ、見事リクオリファイを達成。
ダミアンは最終戦のパイプラインの結果によって来年の行方が決まることになります。
彼らにとってリクオリファイを果たせるかどうかは、人生を左右するほど重要なこと。特にファイナルデイのラオニの気迫はライブ中継を通してでも伝わってくるものがあり、それがヒートを勝ち上がる鍵になったとも言えます。
「今日は長い一日だったね。とても疲れたよ。多分、4〜5回サーフィンして、次々と波に乗ってヒートをこなしていった。プレッシャーを感じる前に結果を求めた。そして、それを手に入れたのさ。このイベントでは2010年に優勝している。再びファイナルに進めて嬉しかったよ。あと5分で勝てたのに...。本当に惜しかった。でも、エゼキエルはベストな波を乗っていたし、彼こそが優勝に値する。本当にハッピー。それが今のオレが言うべき全て。神に感謝し、家族や友人のサポート、声援にも感謝している。みんなの良いバイブスを受け、最高の気分だったよ」とラオニはコメントを残していました。

今イベントで一番のダークホースとなったフレデリコ(写真上)。10月に開催されたワールドツアーのポルトガル戦でケリーをR2で倒した選手と言えば、ピンとくるかもしれません。
その癒し系の顔からは想像出来ないサーフィンでQF、SF共にジョン・ジョンの上に立ち、するするとファイナル進出を果たし、ルーキーアワードを受賞。
ワールドランキングでは58位とツアーの仲間入りをするにはもう1ステップ必要ですが、まだ21歳の可能性は無限大と言えるでしょう。
さて、いよいよトリプルクラウン並びにワールドツアーは最終戦のパイプラインを残すのみ。
ミック、ケリーの熾烈なタイトル争いはもちろん、トリプルクラウンの栄冠を誰が手に入れるのかにも注目。
『Billabong Pipe Masters』は12月8日〜20日に開催されます。

『Vans World Cup』結果
1位 エゼキエル・ラウ(HAW)
2位 ダミアン・ホブグッド(USA)
3位 ラオニ・モンテイロ(BRA)
4位 フレデリコ・モライス(PRT)
『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
http://www.vanstriplecrownofsurfing.com/(PC用)
photo: ASP Covered Images
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