『Billabong Pipe Masters』開幕!
2013-12-09 更新

現地時間12月8日、ASPワールドツアー並びにトリプルクラウンの最終戦『Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons』がパイプライン/バックドアでスタート!
前日の午後にピークを迎えた北西ウネリに朝は弱いコナウィンドで整ったバックドア中心の素晴らしいコンディション。
イベント名にもある通り、今は亡きアンディ・アイアンズが愛したこの波で、今年最後の大舞台が幕を開けました。
今イベントは通常と異なり、R1は下位10人の選手とパイプラインのスペシャリスト14人がマンオンマンのヒートを2つ同時に行なう「デュアルフォーマット」で対戦。敗者復活戦が無く、R2はセカンドシードの選手とR1の勝者が戦い、R3にトップシードの選手が登場します。
R1のファーストヒートには、サンセットの『Vans World Cup』を制してトリプルクラウンに王手をかけていたエゼキエル・ラウ(HAW)が登場。同率首位のミシェル・ボウレズ(PYF)に勝つには、ミシェルがトップシードとして登場するR3まで進むのが最低条件でしたが、序盤に7.83をスコアしたパトリック・グダスカス(USA)に抑えられてしまい、あえなく敗退。
パトリックの方は今回の結果によってリクオリファイが左右されるため、勝利者インタビューの笑顔はいつもよりも輝いていました。
ちなみにエゼキエルの敗退でミシェルの他にトリプクラウン獲得が有力視されてきたのは、フレッド・パターチア(HAW)とジェレミー・フローレス(FRA)です。
R1では他にもダミアン・ホブグッド(USA)、ダスティ・ペイン(HAW)、ヤディン・ニコル(AUS)など。スペシャリストでは、ブルース・アイアンズ、グランジャー・ラーセン、カイマナ・ハキアスが勝ち上がった一方、ジョエル・センティオ、シェーン・ドリアン、カラニ・チャップマンなどが敗退。
R1の最終ヒートでは、デーン・レイノルズ(USA)がアップカマーのライアン・カリナン(AUS)と対戦。
エアリアルの名手として知られているライアンですが、今回は見事なバレルライドを披露して9.33を含む17.76でデーンをコンビネーションに追い込んで勝利。会場を湧かせていました。
また、キーレン・ペロー(AUS・写真下)がワイプアウトの際に右肩をリーフに強く打ってしまい脱臼。苦痛の表情で海から上がり、すぐにドクタールームへ...。2011年のパイプラインマスターでも餌食になるほどリスキーな波。世界中のサーファーが憧れる夢の舞台は天国と地獄が背中合わせなのです。
キーレンは今イベント前からツアー脱落が決まっているため、来年は引退かWQSからやり直すことになります。

「デュアルフォーマット」の長所の一つは進行が早いこと。この日はR2の12ヒートも全て行なわれ、R1と合わせると24ヒートを消化。後半は風やウネリが安定しなく、良い波が入る時間帯もあれば、オンショアに加えて波数が一気に減ってしまう時間帯も...。日本語放送のMC、脇田貴之の言葉を借りれば、「スイッチのオンとオフが激しい」状況でした。
そんな中、R2ではガブリエル・メディナ(BRA・写真最上部)がパイプラインでバレルイン。大きな空間をアピールするように両手を広げ、最後は綺麗なカットバックを決めて9.67をスコア。更に後半にもパイプラインでのバレルメイクから高さのあるアーリーウープをメイクして9.00。トータル18.67のハイエストヒートスコアをマークして対戦相手のブルースをノックアウト。
「ちょっとラッキーな部分もあったね。3つの良いバレルを掴み、最後にエアーも決めることが出来た。バックドアでビッグスコアを出す選手が多く、オレも最初は狙っていたけど、どういうわけか、良いレフト(パイプライン)を見つけ、とても楽しいヒートになったんだ。ブルースのことは昔から見ていたし、本当にリスペクトしているよ。彼と一緒にサーフィン出来ただけで夢が叶った気持ちさ」とガブリエル。
ガブリエルは最高のエアーを披露した選手に贈られる『Hawaiian Airlines Airshow award』(同エアラインの250,000マイル)有力候補になり、R3ではジョン・ジョン・フローレンス(HAW)と対戦します。

ガブリエルとブルースの対戦の裏で行なわれていたシーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)とR1で注目を集めていたライアンの対戦。「デュアルフォーマット」では前ヒートの選手にプライオリティがあるのですが、シーバスとブルースのポジションに入った形良いウネリをブルースは見送り、その波にシーバスがテイクオフ。
バックドア側でディープなバレルをメイクして今イベント初のパーフェクト10をスコア!ライアンをコンビネーションに追い込み、圧勝しました。
ヒート終了後のインタビューでも最初にプライオリティの件を訪ねられ、「あの波はブルースが乗ると思ったのに、オレに回ってきた。’冗談だろ!’って感じでドロップした。あのアングルは説明出来ないね」とコメント。
ブルースの力の抜けた独特のスタイルは健在ですが、彼が真価を発揮するのはもっとサイズアップした時。更にコンテストでは無く、ルールに縛られないフリーサーフィンの時なのかもしれません。

2014年のクオリファイが約束されているミッチ・クルーズ(AUS・写真上)は、R1でシェーン・ドリアン(HAW)、R2ではマット・ウィルキンソン(AUS)を倒し、R3へ。
初めてのパイプラインマスターズで快進撃を続けた後のインタビューで、「これまで送ってきたハワイのシーズンでベストだね。ここまで信じられないほど順調だし、ヒートでは素晴らしい時間を過ごせた。ヒート表を見る前からハワイアンと当たるのは分かっていたけど、まさかシェーン・ドリアンなんてね。彼は凄いよ。前に会ったことがあるけど、まさにスター選手。バックドアを狙い、トライするだけだと思ったのさ。ここで波に乗った経験もほとんど無いし、本当にハッピーさ」と話していました。
ミッチの次の対戦相手はケリー・スレーター(USA)。もし、ケリーを倒したら、その時点でミック・ファニング(AUS)の3度目のワールドタイトルが確定します。
その他、R3行きを決めたのは、ジェレミー・フローレス(FRA)、フレッド・パターチア(HAW)、ビード・ダービッジ(AUS)、アダム・メリング(AUS)
リクオリファイがかかっているダスティ・ペイン(HAW)、ヤンディン・ニコル(AUS)、ミゲル・プーポ(BRA)、パトリック・グダスカス(USA)もラウンドアップを果たしています。
ネクストコールは現地時間9日の早朝6時30分で8時にスタート予定。
(ライブ中継は日本時間10日の早朝〜お昼前)
9日はサイズダウンして10日は新しいウネリが入る予報。その後は不明確かつ大きな期待が出来ないため、一気に進行してしまう可能性もあるとのことです。
なお、今年も公式サイトでは日本語でのライブ中継が配信。MCは脇田貴之、堀口真平、辻裕次郎。
普段は英語で分かりにくいところを彼らならではの解説でお伝えしています。
特にパイプラインに自らのポジションを持つ脇田貴之の解説は的確。パイプラインの今の主流がクワッドフィンなど選手達のエクイップメントのことや、常に波を気にして行動している人しか分からないノースショアの知識は目から鱗。
ぜひこの機会にライブ中継をチェックしてみてください。
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『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
http://www.vanstriplecrownofsurfing.com/(PC用)
photo: ASP Covered Images
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