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『Billabong Pipe Masters』は素晴らしいファイナルデイに!

2013-12-15 更新
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ワイメアでの『THE EDDIE』を除くと今年最後のASPイベントとなる『Billabong Pipe Masters in Memory of Andy Irons』が現地時間12月14日に終了。
前日にサードリーフまで割れていた大きな西〜北西ウネリがまとまってきたパイプライン/バックドアは世界最高峰のサーフィンレースを締めくくるのに相応しく、久々にファイナルデイが最も良いコンディションに!
これ以上無い最高の舞台が整い、選手達はもちろん、会場に集まった多くのギャラリーやライブ中継を通して観戦していたASPファンにとって特別な一日になりました。

ミック・ファニング(AUS)&ケリー・スレーター(USA)、現在のサーフィンコンテストで最強の二人が争っていたワールドタイトルは、ミックがQFを勝利した時点でケリーの逆転が不可能になり、ミックの手の中に。
海から上がった後はパーコことジョエル・パーキンソン(AUS)とチームメイトのテイラー・ノックス(USA)に担がれ、ビーチ凱旋から表彰台へ。ここで集中力が切れたのか、思わず男泣きする場面も...。
SFでは対戦相手のジョン・ジョン・フローレンス(HAW)のワンマンショーとなり、初のパイプマスターの称号は逃してしまいました。

一方、ケリーは出番が出る前に決定されたワールドタイトルへのフラストレーションを晴らすようにQF、SFと最高のパフォーマンスを披露してパーフェクト10にハイエストヒートスコアまで塗り替えながらファイナルへ。

ファイナルはジョン・ジョンvsケリーのカード。
35分ヒートの前半は両者共に慎重に波を選び、スロースタート。ジョン・ジョンに関しては1本も乗らずに後半へ。
ラスト10分、プライオリティを持っていたジョン・ジョンはパイプラインのベストポジションからテイクオフ。ハイラインをキープしてリラックススタイルでフィニッシュまでメイクの8.50。すぐ後ろでテイクオフしたケリーはレイルを抑えながらのストールで更にディープなバレルを手に入れ、9.87。

一気に試合が動いてきます。

この時点でケリーがトータル12.54でリード。ジョン・ジョンはニード4.31とまだまだ分からず。ジョン・ジョンがプライオリティを持つ中、ケリーは小振りなサイズのパイプラインでバレルを綺麗に抜けてフローターを決めて6.50。引き離されたジョン・ジョンは終了間際にバックドアへ。ニード7.88でコールされたスコアは7.40。
僅かに足りず、ケリー(写真最上部・下)が2008年以来、7度目のマスターズの栄冠を手に入れました。

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「ファイナルは不思議な感じだったね。ジョン・ジョンとオレ、二人共長い間波を待って勝負の最後に良いスコアを得た。ラストスパートだと思ったよ。最後は逆にプライオリティを持たなかった方が沢山の波を掴むことが出来て有利だったのかも。それが勝因だったとも言えるよ」とファイナルを振り返ったケリー。

プライオリティの使い方に関しては誰よりも上手いケリーですが、今回の場合はプライオリティを持ってセットを待つよりも、残り時間を考えてバックアップスコアを伸ばす作戦が功を奏した形。
ジョン・ジョンが最後に乗ったバックドアに関しては、バレルを抜けた後に1アクションすればもう少しスコアが伸びた可能性がありますが、勝負の世界に「たられば」はありません。
SFで10ポイントを叩き出し、その他にも9ポイント台を量産してベスト10ウェーブスコアの半分を占めたケリーが今年のパイプマスターに輝いたのは自然の流れだったと言えるでしょう。

「パイプで見たギャラリーの数では今日が一番。信じられない人の多さだったよね。まだ暗い内に目を覚まし、友人のロス・ウィリアムスがオレの家に来たんだけど、自転車でさえ辿り着くのが大変なほどの渋滞だったと言っていたよ。パイプでは特に波が良くなるとエキサイトする。ビーチやオンライン、テレビで見ていた全ての人がエキサイトしていたんじゃないのかな」とケリー。

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昨年はパーコとパイプラインでタイトル争いをしてSFでジョシュ・カー(AUS)に抑えられた時点でポイント差からタイトルを逃したケリー。
リベンジに燃えた今シーズンは珍しく初戦のゴールドコーストから準備万端で挑み、パーコを敗って優勝からのスタート。
フィジーで2勝目を上げて今回の優勝を含めると3勝をマークしたものの、25位が1回、13位が2回と成績に波が...。

人一倍負けず嫌いのケリーが2年連続で12度目のワールドタイトルを最終戦で逃した今、ファンが気になるのは来年の動向。その件については、「昨年、誰かに’あなたのキャリアで一年の最後に最もエキサイトすることは?’と聞かれ、’パイプのファイナルでジョン・ジョンと対戦することさ’と答えたんだ。だから、今日は本当に特別な日。更に勝てて良かった。最高の波で最高のサーファーと戦いたい。これこそオレがツアーにいる意味だよ。今日は本当に感情的になった。特にミックがクウォーターファイナルを勝ってタイトルを決めた後ね。2014年のことはまだ分からないけど、再び戻ってくるのに十分な怒りの理由が出来たよ」とコメント。
さらに「今日はオレの人生の中でも特別な日だった。子供の頃から、こんな日を夢見ていたんだ。大きくて完璧な西ウネリが入ったパイプラインでのファイナル。もし、5年前にこのスポーツから遠ざかっていたら、今日のような日は訪れなかっただろうね。こんな日がもっと訪れれば良いと思う。だから、来年も必ず戻ってくるよ!」とファンを喜ばすマイクパフォーマンスを披露。

ちなみにケリーのワールドツアーでの通算優勝はこれで56回。もちろん、前人未到の記録ですし、今後この記録を敗る選手は当分現れないと思います。

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表彰台では親友のパーコからワールドタイトルのカップを手渡されたミック(写真上)
アンディの妻、リンディから綺麗なレイを授かり、ハグを交わして両手で高々とカップを持ち上げていました。

トム・カレン、アンディ・アイアンズに並ぶ3度目のワールドタイトル獲得に関して訪ねられると、「トム・カレン、アンディ・アイアンズと並ぶなんて初めてさ。トムは凄い謎めいた人であり、このスポーツのスタイルという概念に大きな影響を与えた人。アンディはレジェンド。そして、良い友人だった。この二人と並ぶことが出来て本当に光栄だよ。最初にタイトルを獲った時は嬉しくて、2度目は困惑した。更に3度目だって?もう言葉さえ無いよ」と笑顔でコメント。

ケリーとミックの間にかつてのケリーとアンディのようなライバル関係は無いものの、来年ケリーがツアーに参戦するとすれば、最も倒したい相手はミックでしょう。
そして、今イベントのR5、QFで見せたタイトルへの執念は、多くの人に感動を与えたと思います。

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毎年、年初にパイプラインで開催される5スター『Volcom Pipe Pro』では3年連続で優勝をしているジョン・ジョン(写真上・下) ですが、『Billabong Pipe Masters』を制した経験は無く、今年は初のファイナル進出に多くのローカル達が熱いエールを送っていました。残念ながら優勝には届かなかったものの、2度目となるトリプルクラウンを獲得。

「2度目のトリプルクラウンは本当に特別な気持ちさ。最初に獲ったときは全く考えてなかった。あの時は若過ぎたし、ただ楽しんでいただけだった。今年は最初から狙っていたけど、正直パイプのファイナルデイまでチャンスがあるとは思わなかったのさ。この結果は来年のやる気に繋がるね」とジョン・ジョン。

まだ21歳のジョン・ジョンの可能性は無限大。まだ薄暗い内のフリーサーフィンではパイプラインでのバレルからロデオフリップを決めるなど今後のサーフィンの進化を楽しみにさせてくれるライディングを披露。
トリプルクラウンで最高のエアーを披露した選手に贈られる『Hawaiian Airlines Airshow award』を手にしたガブリエル・メディナ(BRA)と共に向こう10年はワールドツアーの中心人物になり、近い将来にはタイトル争いにも絡んできそうです。

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昨年、パイプマスターとワールドタイトルを同時に獲得したパーコ。今年はヨーロッパレッグの時点でタイトルの可能性は消滅したため、親友のミックとは対照的にリラックスしてイベントを楽しんでいた様子。
ケリーとのSFの後のインタビューでは、「ファイナルに行くのにはもっと完璧な波が必要だった。ケリーは常に正しいポジションにいて、どこでパドルしてようが彼の元に波が入っていたよね。でも、最後まで諦めることはしなかったさ。だって、もしオレが10ポイントを出せば逆転出来る可能性があったからね。今回はイベントを通して最高だった二人のサーファーがファイナルに残った代表的な形だったよ」と話していました。

全てが特別と言えるような素晴らしいファイナルデイとなった今年の『Billabong Pipe Masters』
全てのヒート、表彰式の模様は公式サイトの「HEAT ANALYZER」で振り返ることが出来るので、見逃した方はぜひチェックしてみてください!

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ASPワールドツアー第10戦
『Billabong Pipe Masters』結果
1位 ケリー・スレーター(USA)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 ミック・ファニング(AUS)、ジョエル・パーキンソン(AUS)
5位 ヤディン・ニコル(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、セバスチャン・ズィーツ(HAW)、ミゲル・プーポ(BRA)

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
http://www.vanstriplecrownofsurfing.com/(PC用)


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photo: ASP Covered Images

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