ASP史上初となる「ボックス」を舞台にQFのメンバーが決まった!
2014-04-11 更新

R3が終了してから3日間レイデイが続いていたASPワールドツアー第2戦『Drug Aware Margaret River Pro』ですが、現地時間4月10日に公式2-4ftレンジのマーガレットリバーで再開。
敗者無しの3人ヒート(1位はQFへ。残りはR5へ)となるR4終了後、舞台をバックアップ会場の「ボックス」に移動してR5が進行。
お昼頃にはQFを戦う8名が決定し、コンディションを考慮してこの日のスケジュールは終了。
まず、R4はR3で地元のタジ・バロウ(AUS)と珍しいリマッチを行なって勝利したビード・ダービッジ(AUS・写真下)が序盤に大きなターンで6.33と7.33をまとめ、ジョーディ・スミス(ZAF)とジョシュ・カー(AUS)を抑えてQFに一番乗り。

H2はR3でミック・ファニング(AUS)をコンビネーションスコアに追い込んで快勝したヤディン・ニコル(AUS)が飛び出しましたが、開幕戦を制したガブリエル・メディナ(BRA)がバックハンドでバーディカルなターンを重ね、トータル14.33で1位通過。今イベントもR1から全くぶれないサーフィンのガブリエル。父親が見守る中、新たな勝利に向けて強さが際立っていました。
11Xのケリー・スレーター(USA)とヤングブラジリアンのフィリッペ・トレド(BRA)とのシーソーゲームとなったH3。
フィリッペにも逆転のチャンスはありましたが、ケリーが僅差でラウンドアップ。
R4の最終ヒートは昨年のルーキー・オブ・ザ・イヤー、ナット・ヤング(USA)がホームのスティーマーレーンを楽しむようにバックハンドでハードなリップを連発。序盤からリードを保ち、エイドリアーノ・デ・スーザ(BRA)の追い上げをかわしてQFへ。

今イベントの隠れた目玉となっていたバックアップ会場「ボックス」でのヒート。
テイクオフから一気に掘れるバレルオンリーのライトの波は、ASPの舞台になるのは初めてですが、サーフムービーの舞台には良く利用されているため、御存知の方も多いのでは?
R4進行中にコミッショナーのキーレン・ペローが試し乗り(いきなりボードを折っていましたが...。)をし、R5を「ボックス」で行なうと正式にコール。
選手達も続々とパドルアウトしてヒートとは別のセッションが中継されるという贅沢な時間でした。
ASP史上初となった「ボックス」でのヒート、R5のH1はジョーディ・スミス(ZAF・写真上)vsミゲル・プーポ(BRA・写真下)のカード。
R5で唯一のグーフィーフッターとなったミゲル。世界のトップ選手でもこの波にバックハンドで乗ることは難しく、ミゲルは一本目からテイクオフ出来ず、思い切り降ってしまうほど...。
ようやく慣れてきた後半には、すでにジョーディがスコアを重ねており、残念ながら姿を消すことに。
記念すべき「ボックス」での初ヒートを制したジョーディは、「ボックスでの初勝利、とても嬉しいよ。ビードとのQF。彼は素晴らしいサーファーだし、ベストな波を狙ってくるだろうね」と話していました。


続くヤディン・ニコルとジョシュ・カー(写真上)のオージー対決は、「GoPro Challenge」でも素晴らしい映像を残すほどこの波を得意としているジョシュがビハインドピークから気持ち良くバレルに包まれ、8.17を含むトータル14.34で快勝。
ラインナップにはイルカも現れ、波に乗るというボーナス映像も。WA(ウェスタンオーストラリア)の豊かな自然を改めて感じさせた一場面でした。
「ヤディンとボックスで対戦するのはハードだったよ。彼は誰よりもここでサーフィンしているからね。波に関してはイージーさ。強烈だけど短い波だから、ビハインドからのテイクオフに全力を注ぐ。正確なラインを得れば、バレルの中から吹き出されるよ。超楽しいヒートだった〜」とジョシュ。
ローカルのヤディンとの対戦をハードと言いつつも、ヒート中はかなり楽しんでいた様子。
「オレ達は悪い波でも、バレルになる波でも同じように取り組まなければならない。この波に関しては本当に大好きさ。WCTでは2007年のチリ戦以来、久々にこんな感じの波に乗ったよ。コンテストというのを考えなくても、オレのベスト5に入るほど良い波だったよ」と話していました。

H3では33歳のバースデーを迎えたパーコことジョエル・パーキンソン(AUS・写真最上部・上)が一本目でディープなバレルをメイクして8.17をスコア。
約1週間後に18回目のバースデーを迎えるフィリッペ・トレド(BRA)は最初こそ手探りでしたが、徐々に奥にピークを移動してパーコのスコアを上回る8.23をマーク。最高のお手本を目の前にしてそれを最大限に活かせる吸収力。
エアリアルに注目が集まるフィリッペですが、バレルのテクニックも素晴らしいことを証明しました。
結局、このヒートは中盤にも8ポイント台のバレルを手に入れたパーコがトータル16.60でQFへ。
「あの波はボトムに降りてターンするまでが勝負なんだ。良い棚になっていて、バレルを形成する。ターンの後はラインを探し、後は祈るだけ。難しいコブがあるからね。でも、本当に楽しい波さ」と笑顔でボックスの波のことを話していたパーコ。
ジョシュもそうですが、特にパーコはこの波が本当にお気に入りのようで、「マーガレットリバーがBグレードの波だとすれば、ボックスはAグレードさ。ボックスが良い時、あの波を横目で見ながらマーガレットリバーでヒートを戦うのは辛いくらいだよ。これから先のラウンドをマーガレットリバーでやるのは嫌だね。まあ、皆がやるなら従うしかないけど...」とまるで愛する女性を表現するようでした。
ちなみに多くの選手がコマメに更新しているインスタグラム上では、「本当のバースデープレゼントになったよ」とポストしていたパーコ。
QFの対戦相手はケリー。もし、「ボックス」での対戦が実現すれば、歴史に残るようなカードになるかもしれません。
R5の最終ヒートはエイドリアーノ・デ・スーザ(BRA)とミシェル・ボウレズ(PYF)が対戦。
ツアーを代表する二人のパワフルなサーファー同士の戦いは、ミシェルに軍配が上がりました。
ネクストコールは現地時間4月11日の7時00分(日本時間の同日8時00分)
予想ではウェイティングピリオド最終日の13日に大きな南西ウネリが入るため、ファイナルデイは更に見応えある「ボックス」で行なわれる可能性も。

ASP公式サイト
http://www.aspworldtour.com/(PC用)
photo: ASP Covered Images
⇒「コンテストリポート」一覧へ