『Quiksilver Pro France』 ジョン・ジョンが巨大なバレルをメイク!
2014-10-05 更新

現地時間10月4日、一日のレイデイを経てASPワールドツアー第9戦『Quiksilver Pro France』が再開。
R5からスタートして当初はファイナルまで進行する予定でしたが、QFに入った頃から風向きが悪くなってしまい、僅か6ヒート。3時間で終了し、QFのH3以降は持ち越しに...。
それでも朝方のジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真最上部・下)の圧倒的なパフォーマンスや、QFでガブリエル・メディナ(BRA)が敗れ、ケリー・スレーター(USA)にチャンスが広がったタイトル争いなど短い時間にドラマが凝縮した一日でした。
舞台のフランス南西部・ホセゴーは公式8-10ftレンジとイベント期間中で最もサイズがあり、今まで影を潜めていた巨大なバレルが姿を現し、オープニングヒートとなったR5のH1にはジョン・ジョンが登場。
水を得た魚のように次々と波を掴み、ハイスコアを連発。最後には今イベント初のパーフェクト10をマークして締めくくっていました。この日の他の選手のスコアを見れば分かる通り、決して素直な波では無く、ポジショニング、ライディング。全てにおいて、もはや神業と呼べる領域でした。
「素晴らしい波だったよ。まるでメキシコのビーチブレイクでフリーサーフィンしているみたいだった。バレルが大好きなんだ。世界で最もね。今日のコンディションはとても良さそうに見えるけど、至る所で割れてしまい難しいよ。自分のヒートではラッキーなことにリズムに乗れて良い波にも乗れたね」とジョン・ジョン。
いつもはクールな彼ですが、ヒート直後のインタビューでは興奮していたのか、饒舌だったのが印象的でした。

ジョン・ジョンにコンビネーションスコアで敗れ、タイトルレースから脱落したミック・ファニング(AUS)は、「良い日もあれば悪い日もある。今日はオレの日では無かった。ジョン・ジョンは異常なほどリズムに乗っていたよね。海が相手だから仕方無いよ」とミック。
ジョン・ジョンが軽々とクリアしていたテイクオフのポジションについては、「ここから見ると乗りやすそうでも、変化が激しく、全てのセットがシフトして入ってくるんだ。10〜20ヤード離れた場所でも割れていた。良いポジションを探すのはとても難しかったよ。サーフィンだからコンディションや自分のリズムもあるし、相手もいるからね」と話していました。
ちなみにR1やR4のような3人ヒートは得意(今イベントでも通過出来ずに敗者復活戦行き)では無く、マンオンマンの方がやりやすいとコメント。
また、ジョン・ジョンもそうですが、この波でも通常とほとんど同じサイズのボードを利用していたそうです。

ジョン・ジョンと昨年のパイプマスターズのファイナルを戦って競り勝ったケリー・スレーター(USA・写真上)もこの日のコンディションを楽しみ、バレルのスキルを見せつけた一人。
ヒート開始直後に乗った一本目でディープなバレルに包まれ、9.07をスコア。ロースコア止まりで苦戦していたタジ・バロウ(AUS)を尻目にトータル15.24を稼ぎ、コンビネーションスコアに追い込んで圧勝。
「対戦相手との戦歴次第でそのカードはより面白くなる。タジとの対戦は集中したよ。彼には戦術的では通用しない。だから、リラックスすることにしたんだ」とタジとの対戦を振り返ったケリー。
そのケリーのインタビューの裏ではQFのH1、ジョン・ジョンとコロヘ・アンディーノ(USA)のカードが始まっており、ジョン・ジョンがまたしても快勝。この頃にはオンショアが吹き込んで朝一のヒートのようにはなりませんでしたが、大きなカービング、レイバック、エアーリバース。まるでローワー・トラッセルズの波に乗るように全てのセクションを完璧にこなし、9.00をマーク。ラインアップに戻った後はすぐにミドルサイズのバレルをメイクしてスタイリッシュなレイバックを決めて7.00。トータル16.00でコロヘに対して圧倒的なリードを保っていました。
「波はまだ最高だよ。でも、オンショアが吹き始め、コンディションは難しくなっている感じかな。コロヘとのQFはスコアを出せる波を探すのがハードだったよ。ここのギャラリーは素晴らしい。全てサーフィンのファンさ。モチベーションも上がるよ」とジョン・ジョン。
ジョン・ジョンとコロヘ。同年代の若い二人は同じ「Hurley」チームの仲間。ランキング的には現在8位と9位で争っており、良いライバル関係。初めてのマンオンマンは特別だったようです。
「ジョークを言いながら一緒にパドルアウトしたんだ。’オレの今年の目標は最終ランキングでお前を抜くことだ!’なんてね」と笑顔で話していました。

この日の最終ヒートにはブラジリアン初のワールドタイトル獲得が目の前に迫っているガブリエル・メディナ(BRA)が登場。
R1からR3。R4からQFとストレートでQFまで勝ち上がってきたガブリエルでしたが、一本目で7.00をスコアした対戦相手のジョシュ・カー(AUS・写真上)とは対照的にフィニッシュまで繋がる波を見つけられず、4ポイント台止まり。
ラスト数分にはニード8.10のシチュエーションでエアーリバースにトライするものの、メイクは出来ず、ここで姿を消すことに...。
「ガブリエルにとっては素晴らしい年になっている。ナンバー1の選手と戦う時は常に自分をプッシュしてサーフィンしているんだ。マーガレットリバーでのQFでも彼を倒せたし、今日はもう1勝。幸運もあるけど、最終戦に向けて大きな自信になったよ」とジョシュ。
シーズン序盤に行なわれたオーストラリアのマーガレットリバー戦ではファイナルまで進み、2位でフィニッシュしたジョシュ。
ツアー初優勝を目前で奪われたリベンジを果たせるのか?
ウェイティングピリオドの残り2日はトリッキーなコンディションが予想されているため、オールラウンダーのジョシュにとってはチャンスかもしれません。

QFでガブリエルが敗れたため、ケリー(写真上)にとってここから先は差を縮めるために絶対に負けられない戦い。
ワールドツアー通算54勝の内、ホセゴーでの優勝は僅か3回。決して得意なイベントでは無いものの、優勝して次のポルトガル戦、最終戦のハワイに繋げたいところでしょう。
「QFでガブリエルが消え、オレにとっては数ヒートで彼のリードに追い付くチャンスがある。ここで更に勝ち進んでも次のポルトガルで抜くのは難しい。最終戦のパイプラインまで持ち込まれればいいんだが...」とケリーはタイトルについて話していました。
QFの対戦相手はローワー・トラッセルズで今シーズン初優勝を決めたジョーディ・スミス(ZAF)
ケリーにとってハードなヒートになりそうです。
ネクストコールは現地時間10月5日の午前7時30分(日本時間の同日午後2時30分)
オフシャルフォーキャストの「Surfline」によると西北西ウネリが強まり、風も悪く、ハードになる見込み。
ウェイティングピリオド最終日の6日はウネリのピークが過ぎ、朝の数時間だけは弱いオフショアになる予想。

メンズより一足先にポルトガルで行なわれているASPウィメンズワールドツアー第9戦『Cascais Women’s Pro』も同じようなタイミングで風が悪くなってしまい、R4の2ヒートだけで終了。
R3を取りこぼしたタイラー・ライト(AUS)とレイキー・ピーターソン(USA)がQF進出を決めています。
ASP公式サイト
http://www.aspworldtour.com/(PC用)
photo: ASP Covered Images
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