『J-Bay Open』2日目は素晴らしいコンディション!
2015-07-14 更新

世界有数のライトのポイントブレイク、南アフリカのJeffreys Bayで開催中のCT第6戦『J-Bay Open』は2日間のレイデイの経て現地時間7月13日に再開。敗者復活戦のR2の12ヒートとR3の4ヒートが進行。
風の影響が入ったトリッキーなコンディションで行なわれた初日のR1とは一転してオフショアで整ったクリーンなラインナップ、本来の姿を現したJeffreys Bayは世界最高峰のサーフィンレースにふさわしく、鮮やかな虹もその舞台を彩り、ジャケットが必要な寒さにも関わらず、WSLが特設した観客席は埋め尽くされ、ビーチにも多くのギャラリーが集まっていました。
美しいキャンパスの上に世界のトップサーファーが綺麗なラインを描き、9ポイント台が12本もスコアされたこの日。
その中でもR2でルーキーのリカルド・クリスティ(NZL)を相手に9.77のハイエストスコアを出したパーコことジョエル・パーキンソン(AUS・写真最上部・下)は群を抜いて目立っていました。

「まさに夢に描いたJ-Bayのヒートだった」
そんな一言から始まったインタビュー。
1998年、まだ10代だったワイルドカード時代に今イベントで優勝経験があるパーコにとってこのブレイクは特別であり、彼のサーフィンが最も映える舞台でもあります。
ファーストセクションでの美しいカービング、インサイドセクションでのバレルライド。見た目よりもワイドブレイクが多かったこの日のコンディションでも波の選択は誰よりも的確でした。

昨年は親友のミック・ファニング(AUS)とファイナルを争い、2位で表彰台に上がったパーコ。それ以来、表彰台には上がっていなく、優勝からは2013年のバリ以来遠ざかっています。
2015年はすでに25位が1回、13位が2回もあり、ランキングでは15位。ケリー・スレーター(USA)然り、不本意なシーズンを送っていますが、フィジーでの第5戦ではQF進出の5位でフィニッシュ。
ここからタイトル争いに加わるのは難しいと思いますが、その件については、「すでに捨て試合があるけど、まだ諦めてはいないよ。サーフィン自体は良いからね。スタートは悪かった。でも、これからだと思う。レースの最後はいつも強い奴が勝つ。フィジーで良い結果を残し、流れが変わってきたと感じているのさ」と話していました。
ちなみに対戦相手のリカルド(写真上)も美しいレールワークとバレルライドで9.70を含むトータル18.13をスコア。
これはR2でアレホに並ぶ2番目の数字。他のヒートであれば勝ち上がっていた可能性があり、今回は相手が悪かったとしか言いようがありません。
終了のホーンが鳴った後、リカルドは頭を抱え、そのストレスを表していました。

R1ではシーズン中盤に入って衰えてきたブラジリアン・ストームを象徴するように全てのブラジリアンが敗退していましたが、R2はカレントリーダーのエイドリアーノ・デ・ソウザ(写真上)、2位のフィリッペ・トレドがローカルワイルドカードを倒したのを皮切りに勢いが回復。インドネシアの秘境で大怪我をして顔の骨折と脳挫傷して欠場したジェレミー・フローレス(FRA)の代理、アレホ・ムニーツがタジ・バロウ(AUS)を相手に素晴らしいライディングで9.00をマークして圧勝。
更にルーキー・オブ・ザ・イヤーの筆頭、イタロ・フェレイラ、ガブリエル・メディナ、ウィゴリー・ダンタスと12ヒート中、6名のブラジリアンがラウンドアップを果たしていました。
「スレイドが素晴らしいサーファーなのは知っているから、厳しいヒートになるだろうと予想していたよ。彼は1本目でそれを証明してリードを握っていた。オレは逆転するための1本を必要とし、そのチャンスを待っていたんだ。波はなかなか見つけられず、少し諦めたけど、後半に逆転出来たのさ。海水が冷たくて足が凍えてしまったよ。なんとか通過出来たけど、次のヒートではもっと防寒しないとね」
「Quicksilver」が推している20歳のスレイド・プレストウィッチ(ZAF)を敗ったエイドリアーノ。
ブラジル戦のメインスポンサーを務めたブラジル最大の通信事業者「oi」にサポートされ、カレントリーダーだけが着用を許されるイエロージャージとグリーンのウェットスーツを着用してまるで自らがブラジルの国旗、代表のようになって激しいバトルを勝ち抜き、他のブラジリアンを牽引していました。

南アフリカ出身の二人のワイルドカードが姿を消し、自国の期待を一身に背負ったジョーディ・スミス(写真上)
2010年、2011年と2年連続で今イベントを制し、昨年も圧巻のライディングで10ポイントをスコアするなど最も得意とするブレイクですが、フィジー戦の前に痛めた膝が完治したのも束の間、今度は腰を痛めたとのこと...。更にプライオリティを持ったのが逆に仇となり、波を待ち過ぎてスコアを伸ばせず...。
一方、インサイドで待っていたアダム・メリング(AUS)はジョーディが手を出さなかった波でどんどんとスコアを重ね、7ポイント台を3本マークしてラウンドアップ。
MCのマーティン・ポッターが「波の選択が重要」とつぶやくほどワイドになってしまう波とショルダーが残る波との見極めが難しく、勝負の重要な鍵となっていました。

R2終了後に4ヒートだけ進行したR3では、フィジー戦で前人未到のパーフェクトヒート×2で完全優勝を収めたオーウェン・ライト(AUS・写真上)がエースことエイドリアン・バッカン(AUS)とのグーフィーフッター対決に僅差で敗れ、早くも姿を消すことに...。
「サーフィンの調子が凄く良くて、最後の波も手応えがあったよ。クロスヒートで勝つのは本当に嬉しい。最高だね。この場所は自分にとって特別。ここに来る度に特別な経験をしているのさ。あの波から目が離せないよ」とヒートを振り返ったエース。
ラスト数分、オーウェンがプライオリティを持った場面で波をキャッチし、バックハンドでビッグスナップを繰り返したエース。ニード7.41のシチュエーションでジャッジが出した答えは7.50。本当に僅かな差で明暗が分かれた勝負でした。
フィジーでのフロントサイドでのバレルから一転してバックサイドでのマニューバー勝負で良い結果を残せなかったオーウェンは、「望むべき結果ではなかったけど、サーフィンの調子は本当に良かったんだ。グーフィー同士の良いクロスヒートだったと思うよ」
フィジーでの優勝でランキング3位に上昇してタイトル争いに絡んでいるオーウェン。
次は2011年にファイナルまで進んだことがあるタヒチが舞台。フィジーでのあのバレルのスキルを考えても上位入賞は固いと言えるでしょう。
「次は大好きなタヒチ。待ち切れないよ。今回の結果は受け止めるけど、重要なのは年間を通して良い感じが続くかだよね。笑顔を保つ。それがやるべきことさ」
エースの他、R3を勝ち上がったのはカイ・オットン(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、ナット・ヤング(USA)

ネクストコールは現地時間7月14日の朝7時30分(日本時間同日午後2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると南西よりのスウェルはゆっくりとダウン傾向。午後にはオンショアが吹き込む予想。
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
⇒「コンテストリポート」一覧へ
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。