『Rip Curl Pro Bells Beach』4日目 ウィルコvsカノア
2016-03-28 更新
現地時間3月27日、オーストラリア・ビクトリア州のトーキー、ベルズで開催中のCT第2戦『Rip Curl Pro Bells Beach』はコンテスト4日目。
予報通りに大きな南西ウネリが入ったこの日。ダブル〜トリプルサイズとサイズは十分でしたが、南西風の影響が入った難しいコンディション。
ウィメンズは朝の時点でオフが告げられ、メンズのR2の全てのヒートとR3の6ヒート。合計18ヒートが進行。
日本の年末年始のように一年で最も人が動くと言われているイースターウィークエンドで朝から沢山のギャラリーが集まり、ヒートを終えた選手はサイン攻めや写真撮影と大忙し。サーフィン大国オーストラリアらしく、老若男女が思い思いの形で楽しんでいました。
敗者復活戦のR2では、怪我人が多い今シーズンでチャンスが巡ってきたリプレイスメントの活躍が目立ち、メイソン・ホー(HAW)、ダスティ・ペイン(HAW)、シーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)などが勝ち上がった一方、開幕戦でファイナル進出を決めたコロヘ・アンディーノ(USA・写真上)が早々と敗退。2007年にベルズを制した経験があるタジ・バロウ(AUS)もブラジリアンのミゲル・プーポに僅か0.10ポイント差で敗れ、2戦連続で不満が残る結果に...。
クローズアウトセクションでの着地の際に足を痛めたジャドソン・アンドレ(BRA・写真下)は最後までヒートを戦ったものの、僅差でコナー・コフィン(USA)に敗退。ジェットスキーのアシストで岸まで戻り、自力では歩けないほどだったので、次のマーガレットリバーは難しいかもしれません。
前日のR1を取りこぼしたケリー・スレーター(USA・写真上)は比較的風の影響が少なかった朝の内のヒートでスポンサートライアルで優勝してワイルドカードを得たティモシー・ビッソ(GLP)と対戦。6ポイント2本でラウンドアップ。2016年のCTで初のヒート勝利。開幕戦に続いての最下位は免れました。
未だにトップ34の中で一番の人気を誇るケリーはビーチに戻るとハリウッドスター並み。
異常なまでの沢山のファンに囲まれ、対応に大忙し。始めはインタビュアーのロージー・ホッジのマイクを避けるように高々と腕を上げて「やっとヒートに勝ったよ!」とシンプルな一言で済ませようとしていたほどでした。
今シーズン、ケリーが乗っているサーフボードは自身のブランド『Slater Designs』ですが、まだ試験段階にあるのか、良い結果は出せていません。そのことを聞かれると、ため息をついた後に「自分のサーフィンを戻すことに集中しているよ。まずはヒートで勝ててストークしている。精神的にもちょっと参っているんだ。今はリラックスして良い流れになるようにしているのさ」とコメント。
1994年の初勝利から合計4度の優勝を収めているベルズ。MRことマーク・リチャーズとミック・ファニングに並ぶ最多記録を持っていますが、2010年以来、優勝からは遠ざかっています。
ちなみに昨年から採用されている背番号制度(ミックは7、ケリーは11など)が今年は更に発展してこの背番号が入ったジャージ(ラグビーのユニフォームに近い)が販売されています。
例えば、サッカーやベースボールを観戦する時にお気に入りの選手のユニフォームを着るように、サーフィンでもサポーターの観戦の形が変わる可能性も。
もちろん、WSLのビジネス的な部分もあるでしょうが...。
その他にR2を通過したのは、イタロ・フェレイラ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、エイドリアン・バッカン(AUS)、カイオ・イベリ(BRA)、ミシェル・ボウレズ(PYF)
6ヒートだけ行なわれたR3では、レッドジャージを着るトップシードの活躍が目立ち、ナット・ヤング(USA)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)、ウィゴリー・ダンタス(BRA)がR4進出を決めた一方、昨年ワールドタイトルを獲得したエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)がリプレイスメントのメイソン(写真下)に土壇場で逆転されて敗退。
開幕戦の活躍が記憶に新しいスチュアートもここで姿を消しています。
また、カレントリーダーのウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS・写真最上部)は五十嵐カノアを相手に「スピード、パワー、フロー」の三拍子揃ったバックハンドが炸裂。今年のウィルコはやはり別人のような強さで、カノアをコンビネーションに追い込んで圧勝。
MC席で解説を務めていたバートン・リンチも絶賛していました。
「最初の波は会心のフィニッシュだった。その後の波は最初こそ上手くターンしていたけど、最後のターンが決まらなかったのさ。それでもスコアは出たと感じていたよ。落ち着いて波に乗って最後までミスせずにまとめることが出来たら、もっとスコアは出せたかな。波は大きくてバンピーで最後のセクションは特に難しいんだ」
開幕戦のスナッパーロックス同様、フロントサイドとなるレギュラーフッターに有利なベルズ。グーフィーフッターで優勝したのは、バートンを始め、トム・キャロル、ダミアン・ハードマン、オッキーの4名(記録に残っている範囲)のみ。
ベルズの波は姿こそ美しいものの、とてもクセがあり、選手の多くが難しいと口にするほどです。
なお、この日はオーストラリア・NSWのキングスクリフでLT1,000『Volte Wetsuits Pro』のファイナルデイを迎え、吉川広夏が2位に!
海外のLTで日本人選手が活躍するのはとても珍しく、大健闘と言えるでしょう。
ネクストコールは3月28日の朝8時(日本時間の同日朝6時)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると南西ウネリはゆっくりと弱まる傾向。
南よりの風が強まる傾向となる見込み。
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
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