『Drug Aware Margaret River Pro』2日目
2016-04-10 更新
シーズン序盤の重要な鍵を握るオーストラリアレッグの最終イベント、『Drug Aware Margaret River Pro』2日目。
舞台の西オーストラリア州のマーガレットリバーはインド洋からの南南西ウネリが初日よりも強まり、オフショアが強めながらメイン会場の「Surfers Point」はライト・レフト共に形良いブレイクでコンテストには申し分ないコンディション。
このオフショアがスプレーを倍増させ、世界トップの戦いはとてもダイナミックに!
メンズのR1の残り3ヒート、敗者復活戦のR2の12ヒートが進行してR3を戦う24名が決定しました。
R1の残りヒートではコロヘ・アンディーノ(USA)、ジョシュ・カー(AUS)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真最上部)が1位通過でR3へ。
特にジョン・ジョンは美しいカービングで9.87のハイエストスコア並びに18.87のハイエストヒートスコアをマーク。
リプレイスメントのシーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)もグラブレールで全身の力を込めたパワフルなターンで9.77を叩き出していましたが、このヒートは相手が悪かったようです。
「ここでは沢山サーフィンしているよ。ここ数年はイベント前から現地入りしてフリーサーフィンを楽しんでいるのさ。この辺は色々な場所でサーフィンしているけど、特にここ。今年は本当に集中してサーフィンしている。この波が大好きなんだ」
2012年、このイベントがQSの時代に優勝経験があり、昨年はエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)とファイナルを戦い、2位に。フリーサーフィンでも自身のシグネチャームービー「View From A Blue Moon」のために素晴らしい映像を残して話題になっていました。
レギュラー版のタヒチ・チョープーと称される「The Box」も含め、とても相性が良い舞台でもあります。
R2ではジェレミー・フローレス(FRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、ウィゴリー・ダンタス(BRA)、エイドリアン・バッカン(AUS)、アレホ・ムニーツ(BRA)、マット・バンティング(AUS)、五十嵐カノア、ミゲル・プーポ(BRA)、シーバス。
リプレイスメントのレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA・写真上)、アダム・メリング(AUS)が勝利。
スランプに陥っているケリー・スレーター(USA)はレオナルドに敗退。
一本目でライトのバレルをメイクしたケリーでしたが、6ポイント止まり。その次の波に乗ったレオナルドのターンの方が勝り、7.93。
ケリーは5.17のバックアップスコアを重ねてリードを握り、ヒートは後半へ。僅か0.07ポイント差でケリーはカービングからレイバックでのフィニッシュに成功して6.60。しかし、直後に乗った波でレオナルドはビッグターンを3つ重ねて8.67。この一本が決め手となり、トータル16.60でR3へ。
「出場の機会を与えてくれたWSLに感謝する。ケリーとのヒートは夢だった。更に彼を倒せるなんてまだ信じられないよ。ケリーを始め、この舞台に立つ選手との勝負は100%を出し切らないと勝てない。なかなか得ることが出来ない本当に特別な機会を楽しんでいるよ」
今シーズンはQSの6,000で2戦続けて2位に入り、ランキングトップ。イタリア人初のクオリファイが現実的になっています。今回はケリーが悪かったというより、レオナルドが良過ぎたという表現が正しいと言えるでしょう。
ケリー(写真上)はこれで開幕戦に続き、2度目の最下位。ベルズでもR3で敗退しており、彼の長いキャリアでも最悪のオーストラリアレッグに...。
「あのヒートでは良いスタートを切れなかった。開始直後に波は乗れたけど、最後のセクションでリカバリーにとらわれてインサイドの岩が見えずに乗り上げてしまい、尾骨を打ってしまったよ。レオナルドのような勝敗に関係無いリプレイスメントの選手と対戦する時は良く考えないといけない。彼はスマートに楽しむことを知っているし、ベストの波に乗ることだけに集中したゲームプランが勝利に結び付いたようだね」
マーガレットリバーではレオナルドと同じ家をシェアしているケリー。昨晩も一緒に魚料理をして夕食を共にしたとのこと。
ヒート終了後、レオナルドよりも先にインタビューを受けていたところを見るとそれほど落ち込んではいないのでしょうが、今回のスランプは深刻のようです。
QSを含めたオーストラリアレッグではスネークことジェイク・パターソンが率いる「Quiksilver」のチームとしてレオナルドと行動を共にしているカノアは、いつものリズムで序盤にスコアを伸ばして主導権を握ると後半はプライオリティを利用してセットをキャッチ。サイドオフ気味の風が強まり、難しいコンディションに変化してきても彼の強さであるコンスタントなサーフィンは崩れず、5.73のバックアップでトータル14.23。
ライアン・カリナン(AUS)とのルーキー対決を制し、これでオーストラリアレッグは全てR3以上をメイクすることに。
「海では常に学んでいるよ。レイデイでも波を求めて動き、フリーサーフィンをしている。コンテストでも良い感じが続いているね。イベントからイベントへ。違う場所へ移動してサーフボードを色々試す。そんな時間も学ぶことばかり。サーフィンの技術、メンタル的な部分も成長しているだろうし、とてもエキサイティングな時間さ」
ベルズで活躍していたコナー・コフィン(USA)、デイヴィー・キャッスル(AUS)がR2で敗れ、ルーキーで残っているのはカノアとカイオ・イベリ(BRA)のみ。
R3の対戦相手はベルズで2位に入ったジョーディ。
怪我から復活して調子を上げている彼との対戦は大きなチャレンジであり、得るものも計り知れないと思います。
なお、初日にR1を1位通過してR3行きを決めていたローカルのタジ・バロウが、今シーズンのフィジー戦を最後に引退すると表明。
現在37歳。ツアー歴18年、今年で19年目。昨年は第一子を授かり、ヨーロッパレッグを欠場。コンテストに対するハングリー精神が無くなったのが理由だそうです。
スポット参戦で今イベントに姿がないミック・ファニング(AUS)も含め、一時代を築いた選手が不在になるのは寂しい限り。
しかし、その分、若い選手にチャンスが広がるのは良いことであり、タジもそれを望んでいるとのことです。
ネクストコールは現地時間4月10日の7時00分(日本時間の同日8時00分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると南南西ウネリが続き、風も合う見込みなので、コンテストは続行されそうです。
WSL公式サイト
photo: WSL Covered Images
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