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「見知らぬ土地でのサーフィン」

2006-08-15 更新
東北地方の太平洋側をゆっくりと南下し、待望の台風スウェルにもめぐり合ったという久米ファミリーとムンボバス。種子島を出発し、行く先々での未知のサーフスポットでサーフィンを楽しんでいるミツさんですが、知らない土地でサーフィンをするには、やはり色々な心境があるようです。
今回はミツさんから「見知らぬ土地でのサーフィン」をテーマとして、コラムをご紹介します。

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僕はどんな気持ちで知らない土地で海に入っているか、なにかそんなことを書いてみようかなと思います。
旅に出て丁度三ヶ月。こんなに楽しいことはない。波や水、景色や空気までもが違う「毎回初めての海」に入れるのだから、それは楽しいに決まってる。そして「時間」もある。だから海でのリズムがゆっくりで、そんな余裕を海の中でも持てるようにしているつもり。
ローカルという言葉を考えると、僕の生まれたところの近くに海はなく、もともといつでもビジターだ。長く住んでいる島でも、ローカル気分で波や島のこと考えているつもりだけれど、やっぱり近くで生まれ育った人がローカルであるという考えに異議はなく、ローカルという言葉はそれについて考えるたびに、境界が難しいな、といつも思う。
ともかく、海でのマナーや入り方は、自らで経験したり人から学ぶもの。サーフィン始めたばかりのころは、ツバかけられたり、毎回前乗りされたり、嫌な思いしてひとりで怒っていたこともあった。けれど、それはそこの海のマナーを守っていなかったことに後から気づかされる。
人から学んだことは、自分が余り波を探すのがうまいと思い込むこと。最後まで極力波に乗ること。これは、次の波に乗る人に邪魔にならないし、沖に向かうときに人の邪魔をしないで出れるから。そして、海でも陸でも、顔見知りでも始めて会う人でも、サーファーでもサーファーじゃなくても、人と挨拶を交わし、その時の「楽しい気分を共有」する言葉を言うこと。これは、下町感覚というか、言葉を交し合うと余計な警戒心がなくなって、自分も相手も気分よくなれるという考え。これは、最近特に実践中。
今回の旅で思うのは、普通のトリップと違い大きなバスに乗っていて、ただでさえ目立つこと。贅沢な遊び人がやってきたな、という目で見られることが多い。環境にもいいのだけれど、燃料代浮かすためにてんぷら油で走っている事情なんて、誰も分かってはいないから。まあ、どう見られようと慣れてはきたのだけれど、なにしろバスの置き場に困ることが多い。駐車場のあるメジャーポイントならまだ端の方に停めればいいけれど、そんなところ以外ならば「ここに停めて大丈夫かな?」ということは常に気にしいる。そんな時どうしているか?それは停めようとしているときに、近くにいる人と話をすること。それはサーファーだろうが近くの住人だろうが、ただ車で休憩中の人だろう気にしない。バスを停めたとき目に入った人から、ともかくここの事情を聞くことからはじめている。それって楽しいし、知り合いができるいい機会だったりもするから。それでも誰もいない場合がある。そんな時は漁師さんとか、そこを仕事の場にしている人の気配を考えるようにしている。遊びの人は、仕事の人の邪魔をするのが一番失礼だから。
最後に写真を撮るということを仕事としている上で僕が考えること。それは、まずそこの波でサーフィンをするようにしている。そして、自分の撮りたい写真と、乗ってる人に後で見せて喜んでくれる写真を撮りたいと思っている。それは、そこの景色の中でサーファーが溶け込んでる感じのもの。波と何か、サーファーと何か、二つ以上が入った写真が僕は好きだから。それが空であっても、鳥であってもいいのだけれど、陸地や島の場合もある。
ただポイント名を出す必要はいつもないと思っていて、それは県単位、地方単位で知らせたいと考えるくらい。こうして旅していると、日本という単位だけでもいいのじゃないかとも思う。
でも、こんな一回の旅で、その土地のいい写真が撮れるとは思っていない。だから無理して撮らない。ゆっくり時間をかけて、いい出会いのあった場所にまた行って撮りたい。そんなきっかけにこの旅がなってくれたらいいな、なんて、そんな理由つけて、また旅したいと今から考えたりなんかしちゃってます。