CT第5戦『Fiji Pro』タジが引退の花道を飾る
2016-06-15 更新
現地時間6月15日、フィジー・タバルア島で開催中のCT第5戦『Fiji Pro』は8日間のレイデイを経てR3のH1から再開。
6-8ftレンジ。フェイスで8-15ftレンジはある南西ウネリがヒットした「Cloudbreak」
オープニングヒートに登場したガブリエル・メディナ(BRA)がバレルに特大のアーリーウープとやりたい放題の派手なショーを披露したために昨年のような素晴らしいコンディションを予感させましたが、シフトしてくるウネリに苦戦した選手が多く、ここでの経験の差が目立った一日でした。
ガブリエルを始め、このブレイクを見事に手なづけて圧勝していたのは、ケリー・スレーター(USA)、ミック・ファニング(AUS)、この日最初の9ポイント台をスコアしたエイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)など。
そして、間違いなくR3のスペシャルヒートと言えたのは、今イベント限りで引退するタジ・バロウ(AUS・写真最上部・下)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)のカード。
ジョン・ジョンのレイトテイクオフからのバレル、ハイラインでのターンから始まったこの勝負。
18年の輝かしいキャリアの最後にふさわしい舞台を大自然が用意してくれたかのように次々とセットが入り、8ポイント台が捨てスコア、両者共に9ポイント台を2本揃え、18.76vs18.60。僅か0.16ポイント差のクロスゲーム。
惜しくも最後はジョン・ジョンに逆転されたものの、引退の花道を飾るのにはこれ以上ないような素晴らしいヒートでした。
「自分の人生の中で最高のヒートの一つだったよ。ジェットスキーに乗ってアウトに戻る度、クレージーなほどの完璧な波が入ってきてベストなポジションにいた。最高の波とその波に最も合った対戦相手に恵まれ、ベストを尽くすことが出来たね。今まで考えていた自分の最後のイベントが理想的な形となり、人生の中で最高の12日間を過ごせた。全てが完璧だったよ。まるで優勝してワールドタイトルも獲得したような気分。とても幸せさ。友人、ファン、家族。サポートしてくれた人、関わった世界中の全ての人に感謝したい」
タジはCTでの最後のインタビューに笑顔で答え、最後は感極まる場面も...。
1978年生まれ、6月2日に38歳を迎えたばかりのタジはウェスタンオーストラリアで育ち、1998年のCTデビューから18年、今年で19年目のキャリアをほぼトップシードで過ごし、初優勝は1999年のオーストラリア・マンリービーチでの『Coke Surf Classic Manly』で、最後の優勝は2013年のローワー・トラッセルズでの『Hurley Pro Trestles』
通算11度の優勝を誇り、最高ランキングは1999年、2007年の2位。
ワールドタイトルこそ獲得出来なかったものの、CT選手としては誰もが認める輝かしい成績を残し、ケリー、ロブ・マチャド、テイラー・ノックス、シェーン・ドリアン、ロス・ウィリアムスなどのモーメンタム世代の次の世代としてシグネチャームービーの「Sabotaj」、「Montaj」では世界中のサーファーに影響を与えていました。
引退の大きな理由は昨年授かった第一子。そして、コンテストに対するハングリー精神が無くなったことだそうです。
昨年のフレディ・パターチア(HAW)、C.J・ホブグッド(USA)に続き、また一人ツアーから偉大な選手が居なくなるのは寂しい限りです。
ちなみに長いレイデイの間、オージーのステイ先になっているナモツ島で引退パーティーが行なわれ、酔った勢い!?か、タジ自身がバリカンを持ってミック、パーコ、ビード、ミシェル、ジェレミーなどを自らと同じモヒカン、ツーブロックに仕立てたそうです。
ライブ中継を見て変な髪型の選手がいたら、タジの仕業だと思ってください...。
タジの最後の対戦相手となったジョン・ジョン(写真上)は、「タジがツアーから離れる最後の相手になるなんて最高だし、人生の中で最高のヒートの一つだった。サーフィン界に貢献してきたタジとの対戦は本当に特別さ。子供の頃から彼のエアーや優勝する姿を見てきたんだ。素晴らしいヒートだったし、ストークしているよ」とコメント。
タジがCTデビューした1998年は、まだ6歳だったジョン・ジョン。そんな彼が18年後にフィジーの完璧な波で対決するとは誰も想像していなかったことでしょう。
R3ではその他にブラジリアンとオージーの活躍が目立ち、ガブリエル、エイドリアーノを始め、ウィゴリー・ダンタス、ジャドソン・アンドレ、オージーではジョシュ・カー、エイドリアン・バッカン、マット・ウィルキンソンがラウンドアップ。
ミシェル・ボウレズ(PYF)、ダスティ・ペイン(HAW)もR4進出を決めた一方、五十嵐カノアはここで姿を消しています。
ネクストコールは現地時間6月16日の朝7時30分(日本時間の同日早朝4時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると南西ウネリはゆっくりとダウン傾向となり、ウェイティングピリオド最終日の17日にはイベント期間最大の南西ウネリが入る予想。
2日間共に午後は風が悪くなる見込みなので、午前の内にヒートを進行させるスケジュールになりそうです。
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photo: WSL Covered Images
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