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『Billabong Pipe Masters』開幕!

2016-12-16 更新
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PHOTO:© WSL/Cestari

ウェイティングピリオド前半からグッドコンディションに恵まれた昨年と比べてなかなかゴーサインが出なかった今年の『Billabong Pipe Masters』
ワイルドカードの2枠を決めるトライアル『Pipe Invitational』から2日後、ノースよりのウネリが入った現地時間12月14日にようやく開幕してR1の12ヒートが進行しました。

初日は程良いトレードウィンドながらウネリの向きが悪く、パイプラインよりもバックドアがメインで、バレルよりもマニューバー勝負。
すでにウェイティングピリオドが1週間経過、残りの日数と予想を考慮すると止むを得なく行われた形でしたが、ポルトガルで初のワールドタイトルを確定させたジョン・ジョン・フローレンス(HAW・写真最上部・下)を始め、ガブリエル・メディナ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、マット・ウィルキンソン(AUS)などランキング上位の選手が揃ってラウンドアップ!
一方、トリプルクラウンの初戦から復帰したビード・ダービッジ(AUS)、初のパイプマスターズとなった五十嵐カノア、リプレイスメントのフレデリコ・モライス(PRT)、ブルース・アイアンズ(HAW)、トライアルを勝ち上がったフィン・マクギル(HAW)、ギャビン・ベッシェン(HAW)などは敗退してR2へ。

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PHOTO: © WSL/Heff

初日の難しいコンディションでも他を圧倒するライディングで8.83のハイエストスコア並びに16.66のハイエストヒートスコアをマークしてジャドソン・アンドレ(BRA)、ギャビンを寄せ付けなかったジョン・ジョン。
バックドアでのマニューバー、バレルライド。ワールドチャンピオンの威厳を示してギャラリーを沸かせていました。

「ここはホームだけに本当に良心的なサポーターが集まっている。そして、家族や友人が全ているからやりやすいね。ジャドソンはハレイワ、サンセットと調子良くサーフィンしていた。自分も楽しんで見ていたよ。今日のような難しい波でもそれは変わらなかった。勝負の決め手はダブルアップしてくる波の見極めだったね。最初の波でエアーを決めたジャドソンがヒートをリードすると思い、彼との勝負に少し緊張したさ。でも、勝ち上がることが出来て嬉しいよ」

ハワイではアンディ・アイアンズ以来、オアフ島ではサニー・ガルシア以来、久々のワールドタイトルを持ち帰ったジョン・ジョン。
更に『THE EDDIE』を制し、人気投票の『Surfer Poll Awards』は3年連続で1位。
彼が手に入れていないビッグタイトルは今イベントでの優勝、パイプマスターの称号のみです。

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PHOTO: © WSL/Heff

11度のワールドタイトル、7度のパイプマスター。
来年は12度目のワールドタイトルを本気で狙いに行くと公言したケリー・スレーター(USA・写真上)も第2の故郷のハワイ、最も得意のパイプライン、バックドアでこの日のような波の戦い方を披露。
シグネチャーと言えるテールを抜いたパワフルなターン。プライオリティを利用して対戦相手のカイ・オットン(AUS)の波にドロップインしてそのまままビッグフローターをメイクするなどスコア的にはクロスゲームながら、負ける気がしないような試合運びでR3へ。

「最初にトライアルで優勝してこのイベントに参加しているフィン・マクギルにおめでとうと言いたい。自分が17歳の時、フロリダでバートン・リンチと対戦した時のことを思い出してストークしているんだ。10代にこんなチャンスを得ると本当に楽しくて興奮するんだよ。だから、彼のような選手がイベントに参加しているのを見るのは大好きなんだ。それは勝敗とは別の話。クオリファイを目指して熱心に戦っている若い選手を見て興奮や集中力を高め、インスパイアされるんだ。それは若返りにも繋がる。自分は間違いなく、古い選手ではなく、新しい選手に刺激されている。初心に戻るのと同じような気持ちかな」

現地の『F+』のつのだゆき編集長によると自身のサーフボードブランド「Slater Designs」が相当合っており、シーズンスタートとは別人とのこと。
今年はタヒチで合計4本の10ポイントをマークしてパーフェクトヒートまでメイクして完全制覇したケリー。
ウェイティングピリオド後半、ソリッドなパイプラインが姿を現せば最も怖い存在になりそうです。

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PHOTO:© WSL/Cestari

1ポイントを争うようなクロスゲームが多かったR1。
その中でもジェレミー・フローレス(FRA・写真上)、スチュアート・ケネディー(AUS)、ジョエル・パーキンソン(AUS)によるH8はエキサイティングな対戦でした。
序盤はスチュアートがまるでビーチブレイクのようなバックドアで2本のミドルスコアを重ね、主導権を握った一方、ジェレミーがバレルからターン、フローター、レイバック気味のフィニッシュまで決めて7.83をスコア。じっくりと波を待ったジョエルは中盤にターンで6.67をマークします。
後半、スチュアートが最後のクローズセクションで着地に失敗。浅い場所に落ちてしまいリーフにヒット。コンテストジャージが脱げてしまい、それを口でくわえて苦痛に顔を歪めながら(写真下)一度海から上がり、カレントがある場所までビーチを走り、ラインナップへ。バックアップスコアを伸ばすためにもう一本波に乗りますが、残り2分を残して海から上がってしまい、レスキューのバギーに運ばれて姿を消すことに...。
この時点でもスチュアートのトップは変わらず、ジョエルは2.33、ジェレミーは1.17で逆転可能なシチュエーション。両者共に必死に波を探し、ジェレミーが1.17をスコアしてこのヒートを制したのでした。

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PHOTO:© WSL/Cestari

「良いスコアからスタートしたけど、バックアップスコアは更に稼がないと勝てないと思っていたよ。途中、ボードが折れてしまい、走り回った。最後は僅か1ポイントのライディングが必要だったよね。レフトの波に乗ってワイプアウトしてしまい、すぐに乗った次の波で何をするべきか分からなくなってしまったのさ。’当てるセクション’はあったけど、そこで思い切りやるか、無難にまとめるか。普通に終えることはできなかった。でも、勝つことが出来たよ。ヒートに勝つためにはこんな幸運も必要だと思ったね」

昨年のこのイベントではビードがヒート中にワイプアウトで骨盤2カ所を骨折して病院送りになり、オーウェン・ライト(AUS)はフリーサーフィン中に頭をリーフにヒットして脳出血。両者共にシーズンを棒に振り、オーウェンに関しては来年のツアー復帰も明言されていません。
今年も日本語放送のメインMCを務める脇田貴之によるとパイプラインで一番浅い場所は膝しかなく、ここでは怪我をしない方が不思議なほど危険とのこと。
幸い、スチュアートの怪我は深刻ではなく、R2には出場する可能性が高いそうです。

その他にR1を勝ち上がったのは、ジュリアンン・ウィルソン(AUS)、ミシェル・ボウレズ(PYF)
ミゲル・プーポ、アレックス・リベイロ、フィリッペ・トレド、イタロ・フェレイラとブラジリアンの活躍も目立った一日でした。

R2の注目カードは五十嵐カノアvs キアヌ・アシング(HAW)
フランスで優勝したキアヌは現在23位でリクオリファイにはもう一つランキングを上げる必要があり、カノアの方はQSでリクオリファイは確定しているものの、このイベントで勝ち上がって22位以内に入ればQSの繰り上げで同じ「Quiksilver」のチームメイト、エゼキエル・ラウ(HAW)の初のクオリファイを助けることになります。

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PHOTO: © WSL/Heff

R1終了後はウィメンズによるスペシャルヒート『Pipe Invitational』が開催。
昨年はカリッサ・ムーア(HAW)がバックドアで驚異的なバレルライドを披露して優勝。
今年はカリッサの他、初のワールドタイトルを獲得したタイラー・ライト(AUS)、ステファニー・ギルモア(AUS)の3人ヒート。
フロントサイドでのスタイリッシュなマニューバーで9.00、8.00をスコアしたステファニー(写真上)がタイラー、カリッサをコンビネーションに追い込んで圧勝。
今シーズンは優勝がなく、ランキング6位と低迷していた彼女でしたが、最後の最後に有終の美を飾りました。

「この優勝は本当に嬉しいわ。一年を通して待ち望んでいたのよ。どんな勝負でもカリッサ、タイラーと戦って優勝出来たのはハッピーね。私の目には彼女達がベストサーファーと映っている。私達は真の競争相手と同時に笑い合う友人でもあるのよ。そして、一番求めているのは最高の波と最高のスコア。自分自身のサーフィンは強くなっていると感じている。来年は負ける気がしないって興奮しているわ」

なお、今年もライブ中継では脇田貴之、辻裕次郎による日本語放送が配信。
ヒート中の的確な解説に加え、選手達のインタビューやMCのコメントなども素早く翻訳してくれるため、普段よりも更にイベントを楽しめます。
公式サイトのライブ配信で「Japanese」を選択してみてください。

現地時間12月15日はサイズダウンに加えて風も悪く、レイデイがコール。
ネクストコールは現地時間12月16日の早朝7時30分(日本時間の17日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると大きな北〜北西ウネリが入るものの、風が悪い予想。
ウェイティングピリオドは20日までです。

WSL公式サイト

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト

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